中川晃教さんとアジアン・隅田が『ヒントン・バトルのアメリカン・バラエティ・バン!』の魅力を語る!
現在、なんばグランド花月で公演中の『ヒントン・バトルのアメリカン・バラエティ・バン!』。トニー賞を3度受賞したMr.ブロードウェイことヒントン・バトルさんが主演・演出し、本場ニューヨーク・ブロードウェイで活躍するシンガー、ダンサー、バンド、そして日本が世界に誇るタップ・ダンサーHIDEBOHを加えた豪華キャストで連日、プレミアムショーをお届けしています。
そんな『ヒントン・バトルのアメリカン・バラエティ・バン!』(以下、『AVB!』)を観劇したシンガーソングライターで俳優の中川晃教さんとアジアン・隅田美保。ふたりは2012年、吉本興業の100年史をつづった月替わり芝居「吉本百年物語」6月公演で共演した仲。息のあったやり取りで、『AVB!』観劇後のエキサイティングな対談を繰り広げました。
中川:見終わった直後ということでホットです!
隅田:ずっと“フー!!”って言ってたもんね!
中川:ヒントン・バトルさんの「ソフィスティケイテッド・レディ」が素晴らしかった! これ、毎日やってるんですよね!? ヒントンさんが素晴らしい! もちろんHIDEBOHさんも! これは本当に観るべき! 本来なら、日本じゃ観られない! エンターテイナーとして、ダンスも歌もタップもトークも、全部ひっくるめてお客さんを楽しませる。その中でもヒントンさんの歌声は飛び抜けて素晴らしいね。どうだった隅ちゃん? めんちょう中の隅ちゃん!
隅田:そうですね、めんちょう中の隅ちゃんは……いや、めんちょう中の隅ちゃんという紹介はいいんですよ。私は素人ですけど、観ていて本当に楽しい。ずっと前のめりで、耳も目も鼻も毛穴も…。
中川:穴という穴、全部じゃないですか。
隅田:全部しびれた! もうワクワク!
中川:中川:1幕では誰でも知っているような、聞き覚えのあるミュージカル・ナンバーがずらりと並んでいて。こういうメドレーもなかなか日本では聞けないよね。
隅田:そうですね。ミュージカルの看板の映像もいっぱい出てきて、本場で観ている感じになりました。よかった!
中川:本物だよね。当然ながら手を抜いたりとか、そういうレベルじゃなくて、ヒントンさんがエンターテイナーとしてやられてきたものがすべて詰まってる。ヒントンさんを知っている人も知らない人も、ミュージカルを観たことある人も観たことない人も、慣れている人も慣れていない人も、確実に引き込まれるのは何で?って。それは、ヒントンさんの持っているバックグラウンドにすべてあるんだよね。それが2時間半のショーの中で体感できる。日本にいながらこの本物を感じられるのは贅沢だし、ニューヨークに行かなくても、ブロードウェイの魅力が体感できるステージ。これはほかにはない!
隅田:観られないよね。
中川:こういうことをやっているところはほかにない。何でなんばグランド花月でやってるの!?(笑)。よしもとさんのお笑いでお客様を楽しませるという精神と、ヒントンさんのエンターテイメントのコラボが、さらにガチで見せられたら面白いだろうねってさっきも隅ちゃんと話してたんです。それが観られる日がきっと来るんだろうなって思わせてくれる、エンターテイメントの聖地になりつつあるなっていうのを感じましたね。
隅田:どういうコラボになるのか、思いつかないですよね! 世界が違うじゃないですか。今日、なんばグランド花月の出番やって、観ながら「あー、私、あそこで漫才やってた…。ええー!? ブロードウェイで漫才やってたんかな?」っていう感じになって。
中川:まさにシアターで融合してるわけだよね、一日を通して観られるわけだから。同じステージの上で、歌い手さんとコラボして。
隅田:お笑いで!?
中川:隅ちゃんが踊ってる姿も目に浮かんだもん。セットもそうだけど、すごくシンプルなんだけど、この劇場ってすごくいいなって思わせてくれる発見もありました。セットはシンプルなのに、ゴージャスに変化していくんだよね。すごくショーアップされてた。
隅田:すごいね。特別な装置もないのにね。
中川:すごく考えてるよね。飽きさせないし、一つのシーンが終わっても、また次に違う世界が見えるっていう、玉手箱みたいにどんどん開いていくから。英語だから何言っているか分からないんだけど、すごく乗せようとしている。そこでうまく空気に乗っかると、これぞ音楽、これぞエンターテイメントを体感できる。そういうことを計算つくしたことよって生まれたショーにようこそ!っていう準備は整っているから、あとは僕たちがそこに飛び込むか、飛び込まないか。この一期一会な感じが毎日繰り広げられているかと思うと、すごくレベルが高いよね。同じ仕事をやってる人間から見てもレベルが高い。素晴らしいと思った。バンドもいいね! もう自由自在じゃん。それを「すごい」だけで片付けちゃうんじゃなくて、そこに乗ったらもっと未知の体験が待っている。扉はもう開かれているって感じだよね。
--では、その開かれてた扉に飛び込む一歩って何だと思いますか?
中川:めんちょうさん、何だと思いますか?
隅田:そうですね、めんちょう隅田から言いますと、いっぱい言い方があると思うんですけど、「気にするな」ですね。うまく言えないけど。私もあんまり「わーっ」てするのとかって苦手な方なんですよ。でも、周りの目が恥ずかしいとか、そういうこと関係なく、その空気に乗っかる。
中川:Have a fun!ってことだよね。ステージに上げられるお客さんもすごいノリがよくて。関西人ならではのウェルカム、楽しむぞっていう姿勢は全国で真似たいね。これ、東京でやったらすごいと思いますよ!
--各地からも見に来る価値ありですね。
中川:あると思います。1幕は割と王道。で、2幕でライブハウスになった。ショーとライブハウスの一体感。感動させられるかっていう、一番大切なものがあるんだよね、この作品は。こういうショーを続けてやっていく。続けていけば、興味がなかった人も、興味があったけど観られなかった人も、必ず「あ、また来てる、なんかすごいらしいよ」って口コミになって、「大阪でしかやらないらしいよ」ってなって、観に行こうってなると思う。そこで初めて、本物のエンターテイメントの底が上がっていくんじゃないかな。みんなが楽しめるエンターテイメントっていうところに広がっていくんだなって思う。
--その可能性を十分に感じられた?
中川:はい。ただ、これを日本人がやっていないのが惜しいですよね。ミュージカルをやっている者からしたら、ちょっと嫉妬だよね。花月でこんなすごいことをやってるんだ!って。嫉妬するよね。どう? ちょっと俺ばっかりしゃべってるから。
隅田:良かったシーン? 良かったシーン…。
中川:ずっと寝てたんですよ、横で。
隅田:寝るかアホ! 前のめりやったわ! 全部よかったんですけど、ヒントンさんとバンドの人がやり合ったり、お客さんを舞台に乗せたりするところはすごくいいなと思いました。楽しい。言葉がなくても分かるから、楽しい。私、ブロードウェイで生のステージを観たことなくて、今回の『AVB!』が初めてですけど、重みというか、深みというか…、濃い。うまく言われへんけど、観ていて自分がアメリカ人になったような感じになった。
中川:なんか分かる気がする。あのね、本物を見た時の「何やこれ」っていう、ある意味ショック状態。そのすごさが何なのか分からない。比べるものがない。ブロードウェイまんまの世界じゃないですか。たとえば2回、3回、4回と観ていくと、「同じタップでもこういうタップがあるんだな」とか、「HIDEBOHさんのタップとヒントンさんとかダンサーのタップは、同じタップでもこんなに音色が違うんだ」とか気づくと思うんです。どっちも素晴らしい。その融合がまた素晴らしい。歌も、本物はこうなんだって、お互いの魅力が分かるというか、まんま本物を観てあっけにとられるというか、圧巻される。そういうショックじゃない?
隅田:なんかね、日本でミュージカルを観ていて、体が動いたことがそんなにないんですよ。でも『AVB!』はキャストがほぼ外国人だからか、体が勝手に動くし、観ていて乗ることが恥ずかしいと思わないんです。日本人のミュージカルも素晴らしいですけど、動くのが恥ずかしいというか。そういうことを忘れて観る楽しさがある。それは大きいですね。
中川:このステージを観た人が、日本人のミュージカルとかと見比べることができるわけでしょ。ということは、俺たちも負けないものをやらなくちゃいけない。そこには嫉妬するっていう意味も含まれるわけだけど、お金を払って来てもらっている以上は、それ以上の収穫を得て帰ってもらわなくちゃいけない。それが拍手とか、お客さんのノリ、あの空気の中にすべてあるわけだよね。本当の楽しさを知ったお客さんが日本の舞台を観たときにどう思うのかっていうこととかを考えると、このクオリティの高さに負けないもの、高みを目指していくことをすごく感じた。僕たちがそう感じるからこそ、お客さも観て絶対に損しないものなんだよね。楽しめる。それがテーマだよね。ポピュラーなものをお客さんは求めると思う。…どう? うまくまとまってないよね?
隅田:まとまってますよ~、晃教さん。ありがとうございます、私の気持ちを訳していただいて。
--すごく刺激を受けられている様子が、ひしひしと感じられますね。
中川:うん、すごく。嫉妬しますよ。吉本興業さんでもっとこういうもステージを作りましょう!
隅田:ミュージカルと笑いの融合で。
--舞台に立たれる側として、中川さんは嫉妬するとおっしゃいました。隅田さんは?
隅田:「憧れる」です。私は憧れます。
中川:うまいだけじゃない、踊れるだけじゃない、何かがある。エンターテイメントはそうですよね、歌だけじゃない、芝居だけじゃない、プラスアルファで何がそこにあるか。隅ちゃんもそうじゃないですか。お笑いだけじゃない。翼をつけたり、めんちょうをつけたり。
隅田:ですよね~。
中川:そういうことをいっぱいやってるからこそ!
隅田:中川さん? …その辺にしとけよ!
●公演情報
HINTON BATTLE’S AMERICAN VARIETY BANG!
ヒントン・バトルのアメリカン・バラエティ・バン!
<公演日程> 2013年12月14日(土)〜2014年2月14日(金)
<振付・演出・出演>ヒントン・バトル
<共演>HIDEBOH
<脚本>ラリー・ビルマン
<エグゼクティヴ・プロデューサー>高平哲郎
<会場>なんばグランド花月
<チケット料金> S席(1階席・2階席前方)8000円、A席(S席以外)6000円
<お問い合わせ> キョードーインフォメーション ☎06-7732-8888(10:00〜19:00)
HP: http://www.americanvarietybang.com/
アジアン隅田の動画はこちら ⇒ http://ynn.jp/u/145
【アジアン】【隅田美保】