9月12日(金)、笑い飯の単独ライブ「笑い飯のなんばグランド花月LIVE」が、笑いの殿堂・なんばグランド花月で行われました。9月5日(金)のルミネtheよしもとに続き、満を持しての大阪開催。客席には多くのファンが詰めかけました。
スクリーンに「上方漫才大賞受賞記念」という文字が映し出されると、大きな拍手が。オープニングVTRの後、いよいよふたりが出囃子に乗ってステージに登場しました。今回のライブはすべて新ネタで臨むとのこと、期待が高まります!
冒頭、単独ライブ恒例だという「お客さんの年齢層チェック」が行われると、なんと80代の方も! ファン層の拡大を喜ぶふたりでしたが、一方で10代の少なさは相変わらずの様子で、その点はちょっぴり悲しそう…!?
ここから1本目の漫才に突入。「この年になると子どもが欲しくなる」という話から、分娩室の前で待っている夫と医師のやりとりを演じることに。さらに成長した子どもの大学進学へとシーンは移り、果てしなく続くWボケ合戦に何度も爆笑が起こります。
お次は「NGKゲストトーク」と題したひとつめのコーナーです。「なんばグランド花月のステージで、ぜひ一緒にしゃべってみたい人」(哲夫)という紹介を受け、登場したのは海原やすよ ともこ! ゲストは事前に発表されていなかったため、うれしいサプライズに観客は沸き返ります。出てくるなりともこは哲夫に対し「先生!」と連呼。かつてともこが住むマンションで警報器が誤作動する騒ぎがあった際、たまたま通りかかって助けてくれたのが哲夫だったそうで、以来「先生」と呼んでいるのだとか。そんな話題を挟みつつ、椅子に座って本編がスタートしました。
やすよ ともこも2年前に上方漫才大賞を受賞しているので、まずは受賞式の写真をスクリーンに映し出しでのトークから。ふたりが和装を選んだ理由や副賞についてなど、裏話があれこれ飛び出し、観客も興味津々で聞き入ります。
と、ここで笑い飯から「どっちがやすよさんでどっちがともこさんか、未だによくわかっていない」と衝撃の告白が。そこでさっそく、素朴な疑問をぶつけて、より深くふたりを理解しようという“質問コーナー”を敢行。ひとつめは「お姉さんがやすよさん?」という素朴すぎる疑問でしたが、これは名前の並びのせいで勘違いされるのではないかとの結論に。姉であるともこの名前が後ろに来ているため、よく間違われるそうで、「ともこ やすよでは語呂が悪かったから…」と説明するやすよ。
さらに「写真を見てどっちがどっちか確認したい」と笑い飯が主張すると、ふたりは「本人がここにおるのに!?」と戸惑いを隠せません。しかし、最初に出てきた数年前のやすよの写真でいきなり迷いまくる笑い飯。正解を聞いた西田は「やっぱり本人に聞くのが一番やなあ」としみじみつぶやきます。写真はどんどん古くなり、そのたび客席は大爆笑。なぜか今より老けて見える写真もあり、「年どうなってるんですか?」と西田から問いただされる場面もありました。子ども時代にさかのぼると、ふたりの境界がいよいよ曖昧に…。レアすぎる写真の連続に、やすよもともこも「なにこの写真!」「怖いわ笑い飯!」とうろたえるばかりでした。
この後も写真分類は続きましたが、途中から祖母である海原小浜さんの写真や、ついには血縁関係のない有名人、こけし人形などが混じってカオス状態。それでも「これはともこさんですね」「やすよさんでしょう」と分類し続ける笑い飯を前に、もはやふたりは諦め顔。最後に出てきたライオンの写真が「ともこ」と分類されると、ともこ本人も「私ココやったんや、元々」と、妙にスッキリした表情で語っていました。
まだまだ疑問・質問は続きます。「若い頃、ヤンキーだったのはやすよさん?」への回答は「違います。ともこです」(やすよ)でしたが、本人は「ヤンキーじゃない、不良やね」と訂正。やすよによると、ともこはグレていたというわけではなく、ただ「ケンカが好き」だったそう。ともこ曰く「好きというか、売りに行ってた」とのことで、1対50(もちろんともこが1=ひとり)という武勇伝には驚きの声が上がっていました。ちなみに当時の得意技は「飛び蹴り」でしたが、この日は腰痛のため実演を断念。期せずして命拾いした笑い飯でした。
ほかにも「旦那さんが元・男闘呼組の岡本健一さんなのはやすよさん?」(実際は、ともこの旦那さんが元・男闘呼組の前田耕陽さん)、「海原お浜・小浜師匠のお孫さんってテンダラーのおハマー・小ハマー?」などなど、質問の形を借りたボケの数々で翻弄。あまりのズレっぷりに、ふたりは訂正する気力も失っています。
「サーフィンが趣味なのはともこさん?」という質問では、最近やすよがサーフィンを始めたことが明らかに。しかも、既に答えがハッキリしているのに、「検証しましょう」と全員でサーフボード片手にポージング。それぞれが趣向を凝らしたポーズで爆笑をさらっていました。
最後は「梅宮アンナさんとメッチャ仲良しなのはやすよさん?」という質問が。ふたりとも仲はいいそうですが、正解はともこ。なんと20年来の友達だそうです。なのに、これももちろん要検証…。ルミネtheよしもとでの単独ライブにゲストとして出演したロバート・秋山の置き土産・体モノマネ用のお面を使い、ふたりがアンナさんになったり梅宮辰夫さんになったり。気付けば西田もまじってノリノリの「体モノマネ祭り」となりました。哲夫は「これでやすよさんかともこさんかわかった」とご満悦。漫才同様ボケ満載の壮大な“ネタ”を思わせるトークコーナーは、これにて終了となりました。
ネタやコーナーの合間にも、「上方漫才大賞受賞」にちなんだ趣向が。授賞式の際の映像を改めて流した後、哲夫と西田がそれぞれ「受賞したのに言い忘れたこと」を記者会見スタイルで語るというものです。ここでは先攻の哲夫が、タイムリーすぎる自虐ネタで観客の期待にしっかり応えました。
2本目の漫才は、童話を現代風にアレンジするというネタ。みんなが知っている『ウサギとカメ』の物語も、ふたりにかかればとんでもない方向へ!? それぞれが考える“現代風”の解釈とはいったい…。
続いてはふたつめのコーナーです。「笑い飯40歳記念 おもしろバック・トゥ・ザ・フューチャー」と題し、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドクに扮した哲夫、マーティに扮した西田が登場。ゲストとしてトミーズ健、ダイアン・津田、藤崎マーケットが加わり、過去40年に起こったさまざまな事件や出来事にちなんだゲームに挑戦しました。
最初にタイムマシーンが止まったのは1974年。この年の出来事といえば、長嶋茂雄さんの現役引退です。というわけで、「長嶋茂雄名ゼリフチャレンジ」というゲームを行うことに。制限時間内に巨人のユニホームに着替えヘッドスライディング、さらに電話でセコムを解除してもらってからお立ち台に立ち、有名な名ゼリフに代わるおもしろフレーズを言わなければなりません。ところが制限時間がたったの30秒とわかり、挑戦者たちからは大ブーイング! トップバッターとして若く運動神経もよさそうなトキが挑みましたが、ユニホームを着ている間に時間切れ…「すばしっこそう」との理由で二番手となった津田も、セコム解除の段階であえなく脱落。しかも無理やりお立ち台に上って発した言葉が「巨人バンザーイ!」。もちろん却下され、なんとすぐさま次のゲームへ!?
1992年は「風船おじさん騒動」。この出来事にちなんだゲームは「風船ドラ鳴らしチャレンジ」です。体に風船をつけ、トランポリンでジャンプして吊るされているドラを鳴らすのですが、ドラの位置が想像を絶する高さ! 最初に挑んで全くダメだった田崎は、トランポリンの性能にも疑問を投げ掛けます。健やトキ、津田のチャレンジも不発に終わり、最後の西田がすべての風船をつけてジャンプしたものの、そこは運動神経悪い芸人、とてつもなく低い打点しか見せられずじまいで…。
さらに、1992年の「双子のおばあちゃん、きんさんぎんさんブーム」や1985年の「青函トンネル開通」などをテーマにした珍チャレンジが続き、誰ひとり成功する者なくコーナーは終盤。挑戦者たちは2012年の「東京スカイツリー開業」にちなんだ「東京タワースカイツリーキャッチ」に最後の望みをかけます。これは、東京タワーのかぶりものを身に着けた田崎に向かって、分断されたスカイツリーを輪投げの要領で投げていき、新しいタワーに生まれ変わらせるというもの。はたして成功することができるのでしょうか?
最初は順調だったのに西田が失敗して暗雲が立ちこめましたが、何度かの際チャレンジでなんとかクリア。フィニッシュは相方・トキのナイスシュートで見事成功! コーナーの賞品である『バック・トゥ・ザ・フューチャー』DVDをようやくゲットすることができた挑戦者たち。「言い残したことはないですか」と哲夫に聞かれ、疲れ果てた健は「燃え尽きた」と力なくひと言。これには一同大爆笑でした。
「受賞したのに言い忘れたこと」記者会見も後半戦。西田は今年、笑い飯とともに奨励賞を受賞したダイアンが授賞式で見せた“裏の顔”を暴露しました。
最後はもちろん漫才で締めくくり。夜中にケンカを目撃した男が交番に行くというシチュエーションで、互いに謎めいた警官になりきりボケまくりの前半戦。後半は夢の家政婦ロボットをテーマに、人とロボットのどこまでもわかり合えないやりとりで笑わせました。
エンディングでは、「1時間オーバーしてしまいました! すいません!」とお詫びしたふたり。しかし、濃密な笑い飯ワールドを満喫した観客からは、この日一番の大きな拍手と歓声が送られていました。
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