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2014年10月30日 (木)

若手漫才師のための「よしもと漫才劇場」が誕生!彼らをサポートする「上方漫才協会」も同時発足

このたびよしもとクリエイティブ・エージェンシーでは、5upよしもとを、上方お笑い文化の将来を担う若手漫才師たちのための新劇場「よしもと漫才劇場」として、12月1日(月)にグランドオープンすることとなりました。ここでは現在の「5upよしもと」および「High Stageよしもと」出演中の、おおよそ芸歴10年の若手漫才師約400組とスタッフが一体となり、芸を磨きながら、新劇場から大阪、そして全国へと活躍の場を広げていきます。

同時に、上方お笑い芸能文化の継承と発展の核となる若手漫才師を育成していくという目標のもと、彼らの環境からメンタル面までを幅広くサポートしていく「上方漫才協会」も発足。10月30日(木)、まもなく新劇場として生まれ変わる5upよしもとにて発表記者会見が行われ、同協会会長・中田カウス、副会長・中田ボタンと同劇場に出演する漫才師約150組が出席しました。

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司会を担当するのは、現在、5upよしもとに出演するピン芸人の堀川絵美。客席には若手漫才師たちがズラリと勢ぞろいしています。舞台には、新劇場の出演者代表として、ジュリエッタ、ビーフケーキ、プリマ旦那、吉田たち、アイロンヘッドが登場。まずはよしもとクリエイティブ・エージェンシー代表取締役副社長・戸田義人から概要が発表されます。

新劇場オープンにあたり、「吉本興業は、より『漫才』に力を入れる動きをしていく中で、今後の漫才界を担う若手の世代にもっと実力を付けてもらう環境を整備していく。寄席という舞台でお客さまに喜んでいただくことは吉本興業の基盤。劇場こそが原点であり、今回のシステム変更はその中でも核となっていく取り組み」と、その狙いを説明。現在の5upよしもとは、本日、発表となった11月24日(月)の追加公演をもって閉館し、約1週間のリニューアル工事を経て、12月1日(月)より「よしもと漫才劇場」としてスタートを切ります。

同劇場は次世代の漫才師を育成する劇場となり、出演者たちの目標は、まずは「なんばグランド花月の舞台に立つこと」に。実力のある者だけが出演できるという厳しい環境の中、常に緊張感を持ち、集中して漫才に取り組めるようさまざまな配慮がなされます。

12月1日(月)〜7日(日)の1週間は、お披露目公演として、現在、大阪にいる若手芸人約400組が20公演かけてネタを披露。12月8日(月)より通常公演となり、平日は「Kakeru翔LIVE」「Takeru猛LIVE」「Kiwami極LIVE」と銘打った寄席公演を実施。土・日曜および祝日の昼には「よしもと漫才ライブ」と題して若手からベテランまで幅広いメンバーが出演する寄席を行います。なお、12月公演は371組の若手芸人の中から74組と、ピン芸人11組の計85組が出演(現在の5upよしもととHighStageよしもと上位ランクのみ)。それ以外の若手は、今後のネタ見せを通過した芸人だけが舞台を踏めることになります。

続いて出演者代表の5組が、それぞれ意気込みを語ることに。ジュリエッタ・井尻は「ネタに精進できる劇場だと思う。一同頑張って盛り上げたい」とコメント。ジュリエッタ・藤本は「正直、始まってみたいとわからないという不安もあるが、この変化がチャンスにもなると感じている。しのぎを削ってより面白い漫才師になれたら」と目標を掲げます。

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「僕たちはふだんコントをやっているんですが、劇場ではコントの出番もあるとのことなので、そこでは引き続きコントで頑張らせてもらいたいんですが、漫才も頑張ります」と言うのはビーフケーキ・松尾。ビーフケーキ・近藤の「ここにいるみんなと、時には怒り合い、時には殴り合い、そして時には罵倒を浴びせ合いながら盛り上げていこうと思っています」との言葉には、周囲から「ケンカばっかりやな」とツッコミが入っていました。

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プリマ旦那・河野は「この劇場から新たな漫才ブームを作れたら。なんばグランド花月を目指してネタを磨き、賞レースで優勝できるように頑張りたい」と夢を語ります。「上方漫才協会会員ナンバー0001」と挨拶して笑わせたプリマ旦那・野村は、「劇場の形が変わるからといって、我々若手漫才師の姿勢は何ひとつ変わらない。より一層頑張っていきたい」と力強く話しました。

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吉田たち・ゆうへいは「大きな変化がある時は、新たなスターが生まれるもの。その筆頭になれるよう頑張りたい」。こうへいは「双子だけあって、言いたいことは一語一句、兄と同じでした」とボケつつ、「大阪から全国区の番組ができるように」と、さらなる野望もチラリ。

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アイロンヘッド・辻井は「大阪の若手は勢いがある。ライバルたちにも自分にも負けないよう頑張っていくことが盛り上げることにつながる」。アイロンヘッド・毛利は「NHKお笑い新人大賞のアイロンヘッドです!」と高らかにアピールしつつ、「漫才を頑張ります!」と決意表明しました。

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ここからは、もうひとつのプロジェクトである「上方漫才協会」についての発表が。こちらも協会事務局長を務める戸田が説明を行います。「新しい劇場に出演する若手漫才師たちの指導を行い、相談に乗り、精神的支柱となる」のが協会の使命とし、「師匠を持たないNSC卒業生に対しては、協会が師匠の役割を担う。芸を磨ける環境をメンタル面から支え、上方漫才80年の文化と歴史のなかで身に着けた経験と知識を伝承し、一流の漫才師になっていく手助けを。さらに、プロとしての厳しさも教え、道を外すもの、やる気のない者に対しては厳しく指導します」。吉本の社員だけでは担うことができない部分も多いため、実績のあるベテラン漫才師の協力も得たうえで、全員が一丸となって漫才師の実力を高めていく、とも。その中で、協会の顔といえる会長職を中田カウスに依頼。カウスの推薦により、吉本社員を代表する名誉会長に、吉本興業代表取締役会長・吉野伊佐男が就任しました。

続いて会長のカウス、副会長のボタン、名誉会長の吉野が挨拶を。カウスは「この世界に入って今年で50年、コンビを組んで47年、吉本興業にお世話になって半世紀近くになる。師匠方にいろんなことを教えられて、漫才コンビで曲がりなりにも飯が食えている。その経験を若い子たちに伝えていくのが役目」と、会長職を引き受けた理由についてコメント。

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吉野は「今回、劇場の名称も形態も変わる。これは会社にとって大きなことで、漫才の道を目指している若手の諸君とってはひとつの変化。この変化にうまく乗っかり精進して、漫才の道を究めていただきたい」と期待を。さらに「これだけたくさんの人たちが笑いの道を目指してくれているのだから、何とか彼らの夢を実現させてあげたい。協会も会社も真剣にやっていくので、芸人さんたちも頑張って、なんばグランド花月の舞台を目指して」とエールを送りました。

ボタンは「今回、このプロジェクトを立ち上げるにあたり、相方は寝る間もないぐらい『ああでもない、こうでもない』と悩み、打ち込んでいた。私は隣で居眠りしていましたが...(笑)。自分自身の襟を正して取り組みたいと思います」と笑いを交えてコメント。また、カウスは「僕たちが吉本に入った頃は、20代は自分たちだけだった。今は1000人ぐらいおり、そこから芸人だけじゃなく、お笑い料理人、お笑い建築家など、いろんなジャンルに羽ばたいて活躍している」と笑いの世界の広がりにも触れ、若手たちに奮起を促しました。

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同協会の具体的なプランも紹介されました。同協会には、新劇場と連携しながら、NSC生に限らず一般からも広く参加が可能。将来的には吉本芸人だけでなく他事務所からも会員になってもらえる環境を整備します。また、若手漫才師に贈る新たな賞レース「上方漫才協会大賞」を新設。漫才の日を設け、その日は全国各地で漫才のお祭りなども企画していきます。ほかにも、漫才作家の育成や、一般の皆さんが参加できる漫才教室の実施、衣裳やヘアスタイルなどの相談に乗れる環境づくり、海外交流なども進めていく予定だそう。

この中から、文芸部として漫才作家の募集や育成をともに行う漫才作家の大池晶さん、トータルコーディネート部として衣裳やヘアスタイルにアドバイスを行うRUCCA代表・筒井雅裕さんが登壇して挨拶。「これからは若手の人も作家の漫才をやれるような環境を作っていきたい。最近は10分のネタを書く作家も少なくなったので、育成も同時にさせていただく」と大池さん。筒井さんは「今までになかったファッションやヘアスタイルのコーディネート部分を、プロフェッショナルとしてお手伝いしていく」と話し、それぞれの立場から若手漫才師をサポートすることを誓いました。

おふたりの言葉を受け、カウスは「漫才の命は新ネタだが、自分でできる限界が漫才師にはある。若手の頃は僕らも自分たちでネタを作っていたが、ある時期から大池先生のお力も借りるようになった」と漫才作家の皆さんの重要性を自身の経験にからめて説明。衣裳については「今の若手の場合は、衣裳というより作業着。僕たちも若い子たちの心をつかむためGパン、Tシャツで舞台に登場し、先輩からかなり説教をされましたが(笑)、それらを衣裳として楽屋に持ち込み、普段着から着替えて舞台に向かったもの」と意識改革を呼びかけ、「プロの力を借り、洗練された漫才コンビを1組でもたくさん世の中に送り出せれば」と語りました。

「上方漫才協会大賞」に関しては、漫才そのものはもちろん、トータルコーディネート賞やアドリブ賞など今までにない賞も作り、若手の励みにしていきたいとのこと。漫才の日は「これを設けて、その日は全国どこでも漫才が見られるようにしたい。お子さんからおじいちゃんおばあちゃんまで、皆さんのところに我々が行くし、直営の劇場は漫才ばかりになる。いろんなことが考えられます」と構想を明かしていました。

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質疑応答では、記者の皆さんからさまざまな質問が。気になるシステムについては、寄席形式が中心となるため、ピラミッド形式のバトルシステムはなくなり、日頃のネタの仕上がりやウケにより出番が決まる形に。仕上がりの遅いコンビについては出演間隔が開き、その間に仕上がっているコンビが新たに入っていくという形で、競い合いながら寄席の頂点とも言える"トリ"の出番を目指します。

賞のスタート時期はまだ検討中ですが、「漫才をきちっとできる、漫才のカタチが一番できている子たちにあげたい。それも結局はお客さんの爆笑が決めるんですが」とカウス。同協会が掲げる"厳しい指導"についてきかれると、「僕らの時代は親と縁を切ってこの世界に入ったもので、弟子入りし、師匠の姿を見ながら自分で(芸を)吸収した。大事なのは『常にお客さんのことを考える』、そして『行儀』と教えられました。そういうことができていない子も多いので、もう一度改めて教えていきたい」と回答。一方で、「コンビができない」「うまくいかない」といった相談にもどんどん乗りたいと言い、「漫才師としてのふたりの距離感とかね。そういった精神的なことは、経験したものでないとアドバイスできないから」とも。合わせて、支配人をはじめスタッフも常に芸人たちに目を配り、気軽に相談してもらえる環境を作っていきます。カウスは、同協会の存在に「(若手漫才師たちは)今までにない厳しさと温かさを感じるのでは」と話していました。



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