ベイブルースが20年振りに1日限りの再結成! 映画『ベイブルース』舞台挨拶
11月1日(土)、東京・角川シネマ新宿にて、映画『ベイブルース~25歳と364日~』の舞台挨拶が行なわれ、高山トモヒロ監督、波岡一喜さん、趙珉和さん、オール巨人(オール阪神・巨人)、小川菜摘、安田美沙子さん、光永が登壇しました。
同作は、高山自身がかつて組んでいたお笑いコンビ「ベイブルース」の実話を映像化。1994年10月30日、25歳という若さで天国へ旅立った相方・河本栄得との漫才に懸けた日々を描いた青春ムービーです。公開日の昨日10月31日(金)は命日、本日1日は46回目の誕生日ということで、この度、東京での舞台挨拶が実現しました。
まず、高山監督は「大阪でも盛り上がって、東京でもこんなにたくさんの方に来ていただいて、熱い気持ちでいっぱいです。笑顔をつくってますが、心の中では感謝で泣いてます」とお礼を。昨日が命日、そして今日は河本の46回目の誕生日ということで「夏休みくらいに死んでくれれば、もっとお客さんも来てくれたんじゃないかって、よしもとの営業に言われました」と笑わせつつ、お客さんを和ませます。
高山を演じた波岡さん。ベイブルースを演じたことを訊ねられると「え~~~~~」と考えた末に、趙さんへコメントを譲ります。それを観ていたオール巨人から、「"え~~"が長いほうが(コンビは)組みやすい言うけど、長過ぎるで」とすかさずツッコミが入りました。
話を振られた趙さんは「演じた時は34歳やったんですけど、16歳とかも演じていて、さらに約20年前のことだということもありつつも、どう観ても(自分が)オッサンにしか見えない」と自虐的に語りつつ、「なんとか持ち前の演技力でカバーしました」と笑いを誘うも、高山監督には「趙くん、この映画撮ってから天狗になってるな!」と容赦なくツッコまれます。波岡さんは「監督が常に隣りにいてくれたので、迷ったり悩んだりしたら雑談している時の笑い方や間(ま)......"なんでやねん!"の言い方も盗みながらやれたので、やり甲斐がありました」とコメント。高山監督も視線を常に感じていたようで、「ずーっと観てるから、意識してもうて撮影中に"昼休みにしようか"ってカッコ付けて言うてしまいました」と振り返ります。
趙さんに河本役、波岡さんに高山役を起用した理由として「趙くんは吉本百年物語でダウンタウンの松本(人志)さん役をやっている時から、目をつけていた。河本と雰囲気が似ていて、"こいつしかおらん"と思いましたね。波岡くんは結構いかつい役が多いんですけど、この人はきっと引きの演技もできるんじゃないかなと。性格はSに見えて、Mなんじゃないかなと思ったんです」と高山監督。司会の大上に「そう言われてますけど、どうですか?」と訊ねられた波岡さんは「Sに見えてMです!」と言い切り、笑わせました。
高山の母を演じた小川菜摘は、「大切に演じなきゃ申し訳ないなと思って、本当にすり切れるまで台本を読みました。愛に溢れている物語。この作品に出会えて幸せですし、自分の生き方を考えさせられる素敵な作品です」と熱くコメント。母親という役で自らを重ねる部分もあったそうで、「漫才師になってコンクールに出るシーンは、自分の息子のことを思ってリアルに演じられた。お母さんってこうなのよっていうことを伝えられたと思う」と語ると、「僕はオカンを恨んでるところがあったんですよ」と静かに話し出す高山監督。「でも、モニタで観ている(小川の)演技の中に、母のすごさを感じた。僕、涙でオッケーって言葉が言えなかったんです」と、迫真の演技を讃えました。
高山の妻を演じたのは、安田美沙子さん。「(雨上がり決死隊の)宮迫さんに色々とアドバイスをいただきましたけど、とにかく高山さんとの恋愛が大事なので、演じる波岡さんと恋愛しようと思って撮影に挑みました。けど、怖いイメージがあったので最初お会いした時にどきどきしてて」と振り返ると、「めっちゃビビってたよなぁ?」と波岡さん。ですが、「にこーって笑ってくれて緊張が解けました。あと、光永ちゃんを観てると"自分の産んだ子供がこんなになって"と思って、ジーンとしたりもしました」と語ると、波岡さんも「わかるわ!」と同調。「光永ちゃん観てるとジーンとくるものがあった」と言われた光永は、嬉しそうに微笑みました。
オール巨人は「河本とは一緒に野球をやったりもしてたけど、かつてのベイブルースには漫才師を目指すかたちがあるというんかな。漫才師の指標、こういうふうに生きなさいというお手本でした」と思い出を語りつつ、「昔は漫才に命を懸けていた芸人がいっぱいいましたからね。今は学校に入っただけで漫才師になったように思っている人もいるけど」と今の若手芸人へ、師匠らしくチクリ。「僕、怖いと思われてますけどね、僕、本当は優しいんですよ!」と、お客様へは笑顔で語りかけます。
高山の実の娘であり、トゥナイト時代のなるみを演じた光永は、作品を観て「夢を見てるみたい!」という感想を持ったんだとか。
「お話は聞いたことありましたし、本ももちろん読みましたけど、小さかったんでほとんど記憶にないんです。やから、(そういう聞いていた話が撮影で現実のように目の前で行なわれていて)タイムスリップしてるみたい!と思いました」と大喜び。普段は高山のことを"パパ"と読んでいるそうですが、「撮影のとき、他の人はちゃんと話を聞いてくれるのに、(光永は)こうしたほうがええでと言ったらブッスーっとして、家に帰ってから"パパがあんなこと言うから、恥かいたわ!"とか言うんですよ」と高山監督が怒ると、「それはいけません。吉本ではお父さんが先輩やし、映画の監督なんやから。怒られるうちが華やで」と諭すオール巨人。さらに「で、"パパもNGKでスベってたやん!"って言うんですよ」と付け加えるも、オール巨人は光永の味方に。「それは言うたり! まぁ、漫才に関しては(相方の和泉)修くんの責任もあるけどな......」とケツカッチンの漫才について、まさかのダメ出しが入りました。
劇中で波岡さんと趙さんが演じたベイブルースの漫才について、巨人は「しっかりした漫才でよかった」と好評価。『THE MANZAI』への出場も勧めたようで、「この前の『THE MANZAI』のレイザーラモンくんよりはいい!」と笑わせつつ、「当時のベイブルースは一生懸命、命を懸けてがんばってたから、こうやって映画にまでなった。だらだらやってたら、こうはならない。サラリーマンでもなんでもそうでしょう?」と厳しく指摘つつ、「高山くんも熱い人。こういう人間が芸の世界に残っていくべき」とエールを贈りました。
本日は、河本の46歳の誕生日。
初日を観に来てくれたお客様へのプレゼントとして、高山監督が約20年前のベイブルースのネタを披露!「20年前のネタなんで、かなり劣化してますけど観てください」と語りかけると、客席からは温かい拍手が起こりました。
酔っぱらってカラオケを歌おうとする高山の、入力した曲のPVの中にいる河本が、高山の歌いっぷりにダメ出しするという映像を使用したコント。高山の切れ味鋭いツッコミが入るたびに、お客様から大きな笑い声が起こります。
コントを終えた高山は引き締まった表情で深々とお辞儀。「20年ぶりに顔観ましたけど、河本の顔、やっぱりムカつきますね!」と笑顔を見せました。
見守っていたオール巨人は「映像でやるからには練習が必要やけど、これ、だいぶ練習したんやろ?(しっかり頷く高山に)僕、練習量が見えるのが嬉しいねん。点数を付けるなら、100点中......末広がりで88点かな。とにかく嬉しかったわ」と感慨深そうです。
ここで、大上が客席にプライベートで観に来ていた陣内智則を発見。高山監督らに手招きされて登壇した陣内は「すみません。急にお休みになったんで、観に来ました。思いっきりプライベートなんで、面白いことは言えないですけど」と挨拶。「あのネタ、当時観てました。映像で河本さんを観れてよかった。芸人として、またがんばろうと思える作品でした」と感想を語ります。
大上から「何点? 自分も映像のネタやってるでしょ?」と振られると、しどろもどろになりながら「4点」とボケつつ、高山監督へ「面白かったというか、ベイブルースの影が見えました」としみじみと話しかけました。
最後に、高山監督から締めの言葉が。
「昨日初日を迎えて、今日で2日目。河本も喜んでると思いますが、あいつは20代半ばやったんで"俺、すごいな"と思ってるかもしれません。"ベイブルースは天才やった"とか"ポストダウンタウンやった"とか書いてくれる記事もありますけど、それは勘違い。荒削りなヘタクソな漫才師を、世の中が盛り上げてくれているだけです。今日どこかで河本は観ていて、出て行くお客さんに"俺、すごいやろ?"って言うてるんじゃないかなと思いますけど、"観に来てくれたお客さんにありがとうございますって頭下げろや"と。40代半ばの僕から、20代半ばのあいつにそう言ってあげたいです。あいつ、いますから、お客さんも河本によかったら何か声をかけてやってください。東京ではまったく知名度がなかった僕らですけど、こうやって観に来てくれてありがとうございます。河本に代わって、お礼を申し上げます」
隣りには、涙ぐみながらも笑顔を見せようとする光永の姿がありました。
舞台挨拶終了後、ロビーでは映画化を記念して文庫化された高山の著書『ベイブルース 25歳と364日』(幻冬舎よしもと文庫・刊)のサイン会が開かれました。すぐさま長蛇の列ができ、用意していた文庫は完売に。それでも並んでくれたお客様のために、チラシへ丁寧にサインします。
舞台挨拶時に「河本のサインも書けるで!」と宣言したことで、河本のサインを書いて欲しいというオーダーが殺到。当時の思い出を語る方、光永を知ってベイブルースにたどり着いたと話す方......。一人ひとりの言葉に耳を傾け、気さくにサインや握手に応じる高山監督でした。
●作品情報
ベイブルース~25歳と364日~
監督:高山トモヒロ
出演:波岡一喜、趙珉和、小川菜摘、安田美沙子、オール巨人(オール阪神・巨人)、石田えりほか
配給:よしもとクリエイティブ・エージェンシー
●書籍情報
ベイブルース~25歳と364日~
著者:高山トモヒロ
価格:600円(税抜)
発行:幻冬舎よしもと文庫
【高山トモヒロ】【オール巨人】【光永】