2月28日(土)から公開される、映画『振り子』。世界中が涙した、鉄拳の感動の名作パラパラ漫画がついに映画になり上映されます。公開に先駆けて、2月23日(月)、TOHOシネマズなんばで舞台挨拶付き先行上映会が開催されました。
登壇したのは、主人公・長谷川大介を演じた中村獅童さん、妻のサキを演じた小西真奈美さん、そして監督・脚本の竹永典弘さん。
中村さんは、映画の主演が決まる前から鉄拳のパラパラ漫画『振り子』はすでにチェックしていたそう。「家でたまたまミュージックチャンネルを見ているときに、『MUSE』というバンドのPVで初めて見させていただきました。とても感動して思わず泣いちゃったんですが、それがこのパラパラ漫画との出会いです」とふり返りました。
また、映画の主演が決まったときもさまざまな思いが廻ったといいます。「私事で申し訳ないですが、ちょうど母が亡くなった直後にこのお話をいただいたので、自分自身も時間をとり戻すという気持ちになっている矢先だったこともあり、とても運命を感じました」とも。また、大介の人柄を「奥さんに甘えているんでしょうね。非常にワガママで。いいところは真直ぐで、自分に素直に生きているところ。不器用な生き方もどこか共感するところがあります」と語りました。
小西さんは「私もパラパラ漫画は知っていたんですが、脚本を読ませていただいたときに、本当に素晴らしくて。パラパラ漫画を見た方それぞれの想像があると思うんですけど、『この脚本で映画化したら、きっとものすごくいい作品になる』と感じました」と語りました。また、サキの人柄についてもコメント。「いろんな方に取材していただくときに、『サキはすごく尽くす女性だ』と言っていただくんですが、私は脚本を読んだ時から、尽くして耐え忍ぶというよりは、ただただ大さん(大介)が好きで、一緒にいることをすごく楽しんでいる女性だと受け止めたので、皆さんはどう感じていただけるのかな? と楽しみです」と笑顔で語りました。また、"ダメな夫"という印象の大介を「そんなにダメじゃないと私は思っています(笑)。感情の起伏があるけれど、そのあとの獅童さんの表情に注目してもらいたいです。そこに後悔の念が浮かんでいたり、『やっちゃった...』という表情が出ていたり、すごく人間臭くて。ダメっぽく見えるんですけど、逆にそこが愛らしい。根は一途で真直ぐなので、私は大さんみたいな人はとても素敵だと思います」とフォロー。
竹永監督もご挨拶を。「この夫婦は、非常に底抜けに明るいんですけどちょっと抜けていて、楽しいんだけどちょっとバカ、というか。どこにでもいる、本当に憎めない夫婦です。撮影中、このお二人が居間に入ると、本当に完全に昭和の居間が再現される。僕も現場で見ていて『この光景、見たことあるな』と何度も感じさせていただきました」と撮影現場をふり返ります。「お二人の芝居に見入ってしまって、モニターを見ながら僕自身が涙を流してカットがかけられなかったときが何度もありました」とも。監督自身も胸を打たれる作品に仕上がったよう。
中村さんも撮影の頃をふり返りました。「撮影中に、3回ぐらい雨が降ってきてしまったことがありました。普通の作品ならそこで撮影が中止になって延期になるんですが、監督の判断で『本当の雨があってもいいじゃないか』と撮影を続行したんです。普通なら、撮影中に雨が降るというのは最悪のことなんですが、雨が逆によかったんじゃないかと思うほど、自然にも恵まれました」。そのエピソードを受けて、「想定外の雨だったんですが、むしろ雨が降ってよかった形になったんですよね。何かに導かれているような、そんな現場でした」と竹永監督。
また、竹永監督が映画化の秘話を語る一幕も。「よく『4分しかない鉄拳さんのパラパラ漫画をどうやって映画化するのか』と尋ねられたんですが、あの原作にはひとつのライフストーリーが入っていますよね。人の一生は右か左か、つねに選択のくり返しです。この作品はひとりの男の後悔のストーリー。そのなかで、何が大事かというと『家族の人生』を描くこと。それは大変かというとそうではなくて、パラパラ漫画にはセリフはありませんが、セリフがない空間の中にたぶんこんなことがあって、こうなったんだろうなという想像が次々と浮かんできました。原作に忠実にやりながら、いろんなエピソードを入れています」とのこと。
そしていよいよ上演時間直前。最後に中村さんは「感情移入して見てもらいたいです。女性のお客さんはたぶん、後半にかけてすごく僕(大介)にいらつくと思います(笑)」と予言。さらに「私たちの愛情がたっぷり詰まった作品です。仕掛けもアクションもない地味な映画なんですが、昭和の時代にあった人との触れ合い、温もり、義理人情が、この映画の中ではまだ生きています。昭和をよくご存じの方も、そうじゃない方も何かを感じていただけたら。見終った後に、童話を読んだ後のような優しい気持ちになっていただけたらうれしいです」と話しました。
小西さんも、「映画祭に参加させていただいた時、初めて観客の皆さんと見たんですが、それ以来初めてこうして皆さんに見ていただけるので、とてもうれしいし、緊張もしています。ぜひ、ゆっくり楽しんでいただけたらいいなと思います」とご挨拶。
竹永監督は「2人のお芝居を見ていただくとともに、描かれている時代が昭和の日本が一番元気だった頃。1970年代から21世紀を迎えるまで、時代の移り変わりを経て2人がどうなっていくのかというのがひとつのストーリーになっているので、もしかしたら同じような体験をされている方がいらっしゃるかもしれません。それも懐かしみながら、楽しんでいただきたいと思います」と語りました。
『振り子』
2月28日(土)公開
監督・脚本:竹永典弘
原作:鉄拳 主題歌:あさ実
出演:中村獅童、小西真奈美、石田卓也、清水富美加、板尾創路、笛木優子、松井珠理奈(SKE48/AKB48)、鈴木亮平、中尾明慶、研ナオコ、小松政夫、ダイヤモンド☆ユカイ、
武井壮、黒田アーサー、中野公美子、サヘル・ローズ、ニコラス・ぺタス、齊藤ジョニー(Goose house)、長原成樹、小山田将、入山学、藤田彩華、山本耕史(友情出演)、武田鉄矢(特別出演)
http://furiko.jp/