今年、芸能生活40周年を迎えた落語家・桂小枝が、これを記念して行ってきた「桂小枝の会 全国ツアー」が、9月26日（金）、大阪・天満天神繁昌亭で千秋楽を迎えました。名古屋を皮切りに、全国6カ所をまわってきた同ツアー。この日はフィナーレにふさわしい豪華ゲストも登場し、会場を大いに沸かせました。
露の眞が「手水廻し」、桂三金が「千手観音」を演じた後、いよいよ小枝が高座に上がります。まずは全国ツアーの報告を行い、「今日はサプライズゲストがあります！」と告げるとお客さんからざわめきが…。話はやがて家庭での夏休みのエピソードに移り、演目「船弁慶」へ。暑い夏にぴったりの噺で大きな笑いを巻き起こしました。
仲入り後はお待ちかねのトークコーナー。現れたゲストは東野幸治です！ 実は宝塚高校の先輩・後輩というふたり（小枝が9期生、東野が21期生）。「小枝師匠たちが校則を変えてくだったので、僕らの頃は制服はなく私服だった」（東野）と、さっそく学生時代の思い出話からスタート。小枝が「楽屋でも先輩、先輩と言ってくれる。そんなんあんただけやで」と言うと、東野からすかさず「どんだけ嫌われてるんですか」とツッコミが入るなど、テンポのいいおしゃべりが続きます。
また、小枝は東野の私生活に鋭く切り込む“敏腕インタビュアー”ぶりを発揮。離婚を経て同じ女性と再婚したという珍しい遍歴に触れ、なれそめから家の価格、ローン秘話までぐいぐい聞き出していました。夫婦のラブラブ度を問われた東野が「0」と答えると、「それは寂しい！」とダメ出しも。「みんな最初はひとりぼっち。結婚して点と点が線になって、子どもができて三角形、四角形になり、孫ができて、どんどん増えて円になる。これが円満」と説くと、対する東野は「師匠に言われても響かない」と笑わせつつも、神妙な面持ちで耳を傾けていました。
爆笑トークが終わると、再び小枝の出番です。まくらでは、今年なんばグランド花月で上演された「THE舶来寄席2014」で目にした“神業”の数々を面白おかしく紹介。そこから「軽業講釈」を披露し、鳴り物も入る賑やかな噺で、客席をたっぷり魅了しました。
最後は「なんやかんや言うて大阪がええわ。ホッとするわ」としみじみ語った小枝。加えて、来年2月8日（日）にABCホールで「小枝のらくご 8時間耐久落語会」を開催することも発表！ 「出演者は僕だけです。8時間辛抱しようかという人、ぜひ来てください」と呼びかけると、どよめきと爆笑、そして期待の拍手が起こっていました。
終演後の囲み会見では、「全国ツアーが無事に終わりホッとしている」と、すがすがしい表情。「2週間空いてまたやって…というペースなので、気持ちを維持していくのがしんどかった」と、3カ月にわたったツアーを振り返ります。「8時間耐久落語会」は、何年も前からやりたいと考えており「やっとGOが出た」そうで、「若いうちに体力使うことをやっておきたい。どうなるかは自分でもわかりません」と笑いをまじえて挑戦の理由を述べました。当日は2席演じて10分休憩、これを8回繰り返し全16席を口演予定。お客さんに向けては「お腹が空くと思うので飲み物食べ物持参で。客席では食べられませんが、仲入りにロビーで飲食してもらえれば」と呼びかけました。
これほどの長時間、ひとりで落語を演じると言うと、「みんなに驚かれる」と小枝。「そんなにインパクトのあることならやっておこう、と。かといって12時間はようせんし（笑）、バイクの8耐があるので」8時間に決めたそうです。今後は本番に向け、「お稽古もせなアカンし…若いうちに自分を追いつめて、できるだけのことはやってみる」と、ますますの“落語漬け”生活を覚悟。ちなみに、万一声が出なくなるなどして8時間に到らず終演となった場合は、チケット料金を「全額お返しします」との公約も！ 無事に完走するため「しんどいネタは後に回すなど工夫を。お客さんを飽きさせないようバランスよく配分したい」と、早くも策を練っていました。もちろん、タバコを控えるなど体力面にも気を遣っていくそうです。
来年は還暦を迎えますが、「スタンスは40代ぐらい」とまだまだ身も心も軽やか。締めくくりには、「世間の人は、まだ落語と小枝が結びついていない。小枝＝落語のイメージを根付かせたい」と力強く語った小枝の新たな挑戦に、どうぞご期待ください！
●イベント概要
桂小枝芸能生活40周年記念興行「小枝のらくご 8時間耐久落語会」
日時：2015年2月8日（日） 12:30開場 13:00開演
出演：桂小枝
会場：大阪・ABCホール
料金：未定
※チケットは年内の発売を予定
【桂小枝】【東野幸治】【桂三金】
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