桂文枝が若手落語家に焦点を当てる落語会をプロデュース! 第一弾のナビゲーター桂三度に直撃インタビュー
落語家・桂文枝が、若手落語家育成の一環として行う「神保町花月~桂文枝 プロデュース~戀する落語会」が6月8日(日)に開催。「落語を聴けばきっと人生が楽しくなる。きっと人間が好きになる。そして誰かを好きになる。だから落語を聴けば必ず戀が芽生えます❤」をコンセプトに、毎回1人の若手落語家に焦点をあてるこの落語会。その第一弾公演は、サブタイトルを「三度は3度“笑(しょう)ぶ”する」として桂三度をフィーチャリング。そんな桂三度に、今回の公演のこと落語の魅力について語ってもらいました。
――今回は、文枝師匠プロデュースなんですよね。三度さんはどのような立ち位置なんですか?
よくある、たっぷり最後に師匠が落語をする落語会、とはちょっと異なり、落語がありつつトークもあったりします。その中ではナビゲーターみたいな役割ですね。フィーチャーというよりもご機嫌をうかがうみたいな感じですよ。しかし、ペーペーの僕を師匠はどんだけ緊張させるんやろ?って思ってますね。プレッシャーが半端ないです。
――「戀する落語会」という名前は文枝師匠がつけられたんですよね。どういう思いが込められているんですか?
落語には、愛すべきキャラクターが出てきたり、その人のカワイイ生活感が出てきたりするんですよ。なので、聴いてみると人生や人間に戀できる、という意味なんだと思います。恋愛の“戀”とはまた違いますね(笑)。師匠の落語は創作なんですが、人間性や生活感といった普遍性のものがあるように作ってらっしゃいます。そういう世界を垣間見ていただければ。逆に、僕にはそういうところがないと注意されているんですよ。まだまだですね。
――といっても三度さんも落語を披露されるんですよね。どういう噺をされるんですか?
まだどうなるか分かりませんが、僕は自作の落語になると思います。今回は、僕だけではなく、文枝師匠をはじめ一門の若手も出ますので、色んな落語を楽しんでいただきたいです。また、今回はトークもあります。内容は見てのお楽しみですが、堅苦しくならないために、吉本のNo.1、2のやわらか芸人のたむらけんじくんとミサイルマン西代くんに来ていただくんで、会場を和ましていただけたらありがたいですね。公園にもブランコだけだと刺激がないので、すべり台や砂場といった色んな遊具を楽しんでいただけたら。しかし、このトークはいつもの僕とは違う一面になるはずなんですよ。袖に師匠の姿がチラチラ見えると思うんで…。かなんなぁ~という気持ちを隠しながらトークしている姿を見てもらえるとありがたいです。
――落語って一見ハードルが高いものと思われがちですが、今回はそのイメージを三度さんをはじめみなさんで払拭する感じでしょうか?
先ほど僕がナビゲーターって言いましたが、落語の“とっつきにくい”イメージを和ます潤滑油的な存在になるはずなんで、従来のイメージとはまた違ったものになると思います。この落語会をきっかけに、江戸・上方問わず落語を好きになっていただけたらいいですね。そんな存在の会を目指しています。この会で、落語ってこういうものだったのね、そんなにとっつきにくいものじゃないんだ、ということを分かってもらってから、次に寄席で落語を楽しんでもらえたら。そしてそっちには本来の楽しさもあると思うんでこの公演と同じように楽しめるはずです。今まで落語を見たことがない方にとってはものすごくいい機会なんじゃないですかね。オススメです。
――もともとコンビを組んでいた三度さんですが、落語家になろうと思ったのはなぜだったんですか?
恥ずかしながら僕はコンビを2回解散をしているんですが、1回目に相方から「別れよ」って言われたとき、自分を俯瞰的に見たんですよ。実は僕って自分のこと、芸人としてそんなに好きじゃなかったんですね。それでいい芸人になるためにはどうすればいいか?と考えたときに浮かんだのが、“放送作家”と“落語家”の2つ。では好きになるためにどちらかの道に進みたいと思い、その時は色んな理由で作家の道を選みましたが、そのときにすでに落語に対しては興味や思いは強くあったんですよ。そしてその後も色々やらさせていただいたんですが、やっぱり芸人としての自分を好きになれず…。そんなこんなしているうちにまた解散することになってしまい、やっぱりあの時の「落語家になりたい」という気持ちに正直にならんとダメかなと思い、入門しました。
――もともと落語に興味はあったんですか?
落語をやりたいと思う前は、好きじゃなかったです。で、落語をやりたいと思うようになってからは、聞き出したら絶対に好きになり、やりたくてたまらなくなってしまうから、ずっと避けていました。それこそテレビに映ったらすぐ消すみたいな(笑)。見始めたら止まらなくなると思っていましたね。色々あったけど、入門したことは本当に良かったと思っています。落語のことも本当に好きですし。ただ、入ってからは「エライことになってしまったなぁ~」って思っています。入る前から落語は難しいとは思っていましたが、その8倍難しかったんで、「しもたっ!!!」って(笑)。僕って、落語をやるまで好き勝手やってたんでヘンなクセがついてしまっているんですよ。それを直すところから始まって…。「こんなにヘタかねぇ~」と日々思っています。落語はやればやるほど、聞けば聞くほど、落語が上手い人のことを尊敬しますね。
――そう思える人の代表格が文枝師匠なんですよね。
もちろんです。なんていうのか、師匠しかできない技というものがあるんですよ。芸人って色んな笑いの取り方をする人がいると思うんです。刀を持ってバッサバッサ笑いを取っていくという人が多い中、師匠は弓をゆっくり引いて的を絞ってパッと軽く手を離すだけでドカーンっていうタイプ。ホンマカッコいいですよ。映画『ロード・オブ・ザ・リング』の弓使いのレゴラスもカッコよかったですし。弓使いはカッコいいんですよ。さすが元祖ハンサム。本当に、その笑いの取り方はほかの人にはできないですね。この年齢、実績、地位と名誉とすべてを持っているのに、いまだにイスからコケてるって…本当にすごいと思いますよ。
――そんな師匠がプロデュースする今回の会。どんな人に見に来ていただきたいですか?
師匠は、自分が今までいろんな人にお世話になってきたことをお返しする番だと考えているんだと思います。上方落語協会会長でもあるけれども、上方だけにとらわれず落語界を盛り上げていきたいという気持ちの一環だと思います。そして、落語に持たれている“とっつきにくい”というイメージを、「実はそんなことない」とみんなに伝えるための会なのではないかな?と。思いますね。今回はお昼なので来やすいはずです。若い人ももちろんですが、もう少し年配で落語に興味はあるけど腰が重くなっている方たちに気軽に来ていただきたいです。落語の楽しさに触れていただければありがたいですね。
「神保町花月 ~桂文枝プロデュース~ 戀する落語会
パートⅠ『三度は3度“笑ぶ”する」
会場:神保町花月
日時:6月8日(日) 開場13:30/開演14:00
料金:前売3000円/当日3200円
出演:桂文枝/桂三度/桂三若/桂三四郎/桂三輝
ゲスト:たむらけんじ/ミサイルマン西代