2月28日(木)、なんばグランド花月と5upよしもとの2会場を連動させての一大イベント「5upよしもと大感謝祭~卒業メンバーVS煌メンバー~」が開催されました。昨年大みそかの「THE FINAL COUNTDOWN LIVE bye 5upよしもと~前代未聞!! 1万人への手渡しチケットLIVE~」をもって5upよしもとから卒業した芸歴10年以上のメンバーたち。今回のイベントは、1月から5upよしもとで卒業公演を行ってきた彼らにとって、集大成ともいえる千秋楽となります。もちろん、3月から新たに5upよしもとを担っていく煌メンバーも大集合。新世代への引継ぎも行われました。
開演の19時半になると、ステージ上の巨大スクリーンに卒業メンバーたちの思い出の写真が次々と映し出されていきます。駆け出しの頃のプロフィール写真や舞台写真など、コンビ、芸人ごとのさまざまなシーンに、観客たちは笑ったり「懐かしい!」と声を上げたり、早くもテンション急上昇。続いて卒業メンバー&煌メンバーがステージに現れると、大きな拍手が沸き起こりました。
オープニングでは、卒業メンバーからジャルジャル、煌メンバーからかまいたちが、それぞれMCを担当。ジャルジャル・福徳は開口一番「こんなにいっぱい入ってくれるとは思わなかった」と喜びの言葉を。と、いきなりプリマ旦那・河野がおなじみのギャグ「ぐるぐる」でアピールし、さっそく両チームの対決が始まることに。卒業メンバーは『R-1ぐらんぷり2013』で見事チャンピオンに輝いた三浦マイルドに託しますが、当の本人は「吉本興業ってホントにいい会社ですね」とさわやかコメントを連発し、「なんか違う!」「そんな人じゃなかった!」と周囲を戸惑わせていました。負けじと煌メンバーが送り出したのはBKBことバイク川崎バイク。「バイクだけにブンブン!」のフレーズでは客席も一緒になって声を出すなど、ライブならではの一体感で盛り上げます。さらにグイグイ大脇の「グイグイ」、GAG少年楽団・福井の「誤解を招くぜ!」改め「5階に招くぜ!」などが飛び出しました。
一連のギャグ合戦が終わったところで、自ら挙手して前へ出たのは中張又張・白井。「(客席の)皆さんへ……」と少量の飴を持参し、しかもすべて包みを開けているという状況に、かまいたち・濱家は「ホンマに怖いやん!」とおびえていました。また、銀シャリ・鰻は「3月3日に結婚することになりました! 第一子が誕生します!」と爆弾発言。「発表するなら(千秋楽の)今日しかない」と語り、既婚者として先輩のかりんとう・川畑から「やっていけるか?」と真剣に心配されるなど、ビッグニュースに場内は騒然となりました。しかし、まさか後から大慌てで種明かしされることになろうとは……。
ここで、もうひとつの会場である5upよしもとと中継がつながり、MCのアキナが「こちらではプレイベントを既に行っていて、盛り上がってます!」と報告。さらに中間地点であるなんばグランド花月前広場からの中継にはトットの姿が! 2会場を行き来する芸人たちをキャッチすべく待機していましたが、周囲に人影はなく、寂しげな姿が笑いを誘っていました。
残念なことに、卒業メンバーであるモンスターエンジンは仕事の都合で欠席。というわけで、VTRでメッセージが流されました。「お金を貸した貸してないでモメて、(銀シャリ)橋本が(クロスバー直撃)前野にネコパンチ」(西森)、「こけら落としの芝居『ヘルプ!!』のときに5upの楽屋の窓から落ちかけた」(大林)と、それぞれの思い出トークを繰り広げますが、それがいつしかご存じ「暇をもてあました神々の遊び」に……。思わぬショートコントのプレゼントに、観客は大喜びでした。最後は福徳の呼びかけで、元気にコール&レスポンス。さあお待ちかね、本編のスタートです!
5upよしもとの魅力はやはりネタ! というわけで、「あの素晴らしいネタをもう一度」と題したコーナーへ。MCの銀シャリによると、「卒業スペシャルということで、事前にお客さんに投票してもらい、それぞれ1位に輝いたネタをやる」という企画だそう。ここでまたまた鰻から「鼻の軟骨を手術して、鼻水が止まらないんです。だから詰め物をしています」と爆弾発言が! 再びざわつく客席に、橋本は「情報が多すぎてすいません」と謝っていました。
卒業メンバーからは3組が登場。ウーマンラッシュアワーの1位ネタは「ムラセン」! 女子高のモテモテ教師・ムラセンと女子高生・中川さんが繰り広げるドタバタに大爆笑の客席でしたが、「昔の方がウケた」と村本は悔しそう!?
スーパーマラドーナの1位ネタは「2/16の単独でやった一番ネタ」。イントロクイズをテーマにしたやりとりは、田中が繰り返し口にする謎の歌手名が気になりすぎる展開に……。
銀シャリの1位ネタは「カラオケ」。とある歌のタイトルが出てこない鰻を橋本が助けようとしますが、上手くいかず大モメ。朗々と歌い上げる鰻の歌声に、大きな笑いが起こっていました。
5upよしもとからも、中継でさらなる人気ネタが。こちらのMCは天竺鼠。アイロンヘッドが1位ネタ「スーパードクター毛利雅俊」でトップバッターを務めます。何でも治す医者・毛利のスーパーぶりと、辻井の「ありがとうございますー」で客席を沸かせました。二番手はかまいたち。1位ネタは「ホームルーム」です。教室で起きた事件に憤りつつ、まさかの絡み方を見せてくる生徒・山内の怪演に、濱家が笑いをこらえきれなくなる一幕も。天竺鼠の1位ネタは「飛車と角」。飛車・瀬下と角・川原が織りなす独特の世界に、笑いと歓声が上がります。
お次は「卒業メンバーVS煌メンバー ゲームバトル」。スマイル・瀬戸がMCを務めますが、ここにきて銀シャリ・鰻が「結婚は嘘です!」とオープニングでの発言を全面否定! 実は5upよしもと会場でのプレイベント時、ゲームに負けた罰ゲームとして嘘の「結婚」か「解散」を発表することになったとのこと。「思いのほかのリアクションで……新聞社の方、結婚は嘘です!」と平謝りの鰻。オープニングを見ていた5upよしもと会場の観客や芸人たちは大爆笑だったそうですが、なんばグランド花月会場では当然ながら真剣に受け止められてしまい、慌てて否定するに至った様子。すると、これに助け舟を出す形で、おいでやす小田が「今月、結婚しました」と電撃発表! 拍手に包まれつつ、「新聞社の皆さん、既に作っていた記事の『鰻』の部分を『おいでやす小田』に変えるだけで、そのまま使えます」と呼びかけていました。さらに、ガリガリガリクソンは「3月10日に私のラーメン屋が破産します!」、スマイル・ウーイェイよしたかは「5日前から(スーパーマラドーナ)田中さんと同棲し始めました!」と発表。コーナーの盛り上げ(?)にひと役買っていました。
5upよしもと会場でも同時進行で煌メンバーを中心としたゲームが行われていますが、なんばグランド花月にも煌メンバーの精鋭5人が参戦。GAG少年楽団・坂本、アイロンヘッド・辻井、ポラロイドマガジン・リーダー、ななまがり・森下、コマンダンテ・安田が、卒業メンバーを負かすべく送り込まれました。
ひとつ目のゲームは「ギャグしりとり」。即興ギャグでしりとりをするという内容で、卒業メンバーからは田中、よしたか、ウーマンラッシュアワー・中川、ガリクソン、かりんとう・宮本が名乗りを上げます。一番手のガリクソンは「い」からスタート。なんとかギャグをひねり出すも、すぐさま「助けてくださいー」と瀬戸に懇願するという、波乱含みの幕開けです。最初は肩慣らしということでギリギリ「OK」を出していた瀬戸ですが、「か」で始まるギャグに挑んだリーダーが初の「失格」に。しかも面白さに対する評価ではなく、ギャグが「ん」で終わるというしりとりのルールを無視した暴挙が理由とあって、ステージ上は大混乱となりました。ここから一気に評価が厳しくなり、田中、宮本、安田、ガリクソン、坂本が次々と「失格」していきます。残ったのは卒業メンバーでは中川とよしたか、煌メンバーでは怪奇じみたギャグを炸裂させた森下ひとりとなり、卒業メンバーの1勝となりました。
ふたつ目は「借りもの競争」。卒業メンバー、煌メンバーのそれぞれ3人が、互いの会場に出向き、「芸能人に似ている人」を客席から見つけてくるというミッションに挑みます。卒業メンバーからは福徳、橋本、マイルドが5upよしもと会場へ、煌メンバーからは瀬下、ビーフケーキ・近藤、アインシュタイン・いなだがなんばグランド花月会場へ乱入! 中継地点で待ち受けるトットの隣には、なぜかみのもんたさんに扮した学天即・奥田の姿もあり、大急ぎで移動する芸人たちをつかまえては絡んでいました。
瀬下ら3人がなんばグランド花月の客席に現れると、観客は大興奮。瀬下と近藤は早々にめぼしい人をキャッチしましたが、いなだはなかなか見つけられず途方に暮れています。ついにはたまたま居合わせたスーパーマラドーナ・武智の手を引き会場を後に! 方や5upよしもとにも福徳ら3人が乗り込み、そっくりさんを見つけていきます。戻ってきた卒業メンバー3人は、それぞれヒューマン中村似、三浦マイルド似、アンドーひであきさん似の人をステージ上で紹介。よく見ると、アンドーひであきさん似の人とは霜降り明星・佐々木であることが判明。たまたま舞台袖にいたところを捕獲されたそうで、奇しくもステージには『R-1ぐらんぷり2013』決勝を賑わせたファイナリスト(に似た人)が揃い踏みすることとなりました。ちなみに5upよしもとでは、近藤が連れてきたかまいたち・山内似の女性が大きな話題に。服をひっぱられると「やーめーてー」のフレーズも飛び出し、相方の濱家をはじめ芸人たちに大ウケでした。瀬下が抱えてやってきたのは、銀シャリそっくりのブルースーツに身を包んだちびっ子兄弟。いなだが連れてきた武智は、逆にいなだのことを「山瀬まみさんのそっくりさんです」と紹介し、「いなだ版・山瀬まみさん」のモノマネが披露されるという珍事態に。瀬戸のジャッジは煌メンバーの勝利! ということで、ゲームコーナーの勝敗は後半戦に持ち越されました。
ここで、再び珠玉のネタがズラリ登場! まずは『R-1ぐらんぷり2013』で準優勝、優勝にそれぞれ輝いた、ヒューマン中村と三浦マイルドです。ヒューマンは英文を意訳するネタ、マイルドはR-1でも披露した広島弁講座から「お蔵入りになった」ネタで沸かせました。
さらにまたまた「あの素晴らしいネタをもう一度」と題し、煌メンバーからはGAG少年楽団と藤崎マーケットが5upよしもと会場で、卒業メンバーからはスマイルとジャルジャルがなんばグランド花月会場で、それぞれの1位ネタを繰り出すことに。GAG少年楽団の1位ネタは「別れたつもりない」。バイト仲間同士の宮戸と坂本のもとへ、宮戸の元彼・福井が乱入するというストーリーで、福井が執拗に連発する「別れたつもりない」というセリフが笑いと悲哀を誘います。藤崎マーケットの1位ネタは「細かいモノマネ」。すっかりおなじみとなった、藤崎らしい視点でとらえるピンポイントなモノマネの数々で、大いに笑わせました。
スマイルの1位ネタに選ばれたのは、ズバリ「SETO」。よしたか扮するETが主役かと思いきや、さっそうと現れ場をさらうSETO=瀬戸の姿と表情が、いつまでも余韻を残します。
そしてジャルジャルの1位ネタは「理解不能者」。福徳扮する、野球を知らない新入部員のふるまいが、何度も大爆笑を巻き起こしていました。
ついに、雌雄を決する「ゲームバトル」の後半戦! 前代未聞の「棒倒し対決」で勝負です。ステージ上で卒業メンバーが支えている棒、その上にささっている「卒」の字が記された旗を、守るか奪うかで勝敗が決まるというこのゲーム。5upよしもと会場で出演中の全芸人が、なんばグランド花月を目指して押し寄せてくるという、まさに怒涛のクライマックスです。合図とともに、いっせいに5upを飛び出した煌メンバーたち。彼らが留守の間は、学天即・四条ただひとりに託されることに! 突然の指名に呆然とする四条を残し、煌メンバーたちが続々となんばグランド花月の客席になだれ込んできます。ステージに上がらせまいと必死で後輩たちを押し返すジャルジャルら卒業メンバーたち。終了の合図が鳴り響いたとき、まだ「卒」旗は天高くはためいていました。最後まで旗を守り抜いた卒業メンバーたち、そしてスクリーンに映し出される、5upよしもと会場に残された無表情な四条……悲喜こもごも(?)の結末に、客席は大いに盛り上がりました。
と、これまでのお祭り騒ぎから一転、ステージでは口上が行われることに。ズラリと並んだ煌TOP3組が頭を下げるなか、後ろに控えた卒業メンバー代表が、それぞれ祝辞を贈ります。瀬戸は「先日、GAGがMCの極意を聞きにきました。だから僕のセトールを宮戸に受け継いでもらい、ミヤトールとして巻くことになりました。いつか『瀬戸でした』と『宮戸でした』のコラボをしたい」とエールを。「僕のキャラは天竺鼠の瀬下くんが受け継いでくれることになりました」というよしたかの言葉には、瀬下が思わず顔を上げ戸惑いの表情を見せます。中川パラダイスは「みんなすごいいじってくれた。皆さん、僕をおいしくいてくれてありがとう」と感謝のひとこと。村本は、これまでTOP3の計7人におごった総額を暴露し、周囲から「少なっ」と総ツッコミを受けるとともに、「これからも伸びていくメンバーばかりで安心。他はいいので、瀬下だけをよろしくお願いします」とやはり瀬下推しの発言で締めくくりました。「旧ZEROメンバーで唯一の眼鏡だったのですが、このキャラは(GAG少年楽団)福井くんに引き継いでもらいたい」とボケたのは橋本。福井からの無言のツッコミを軽く流しつつ、「これからは僕も5upを見に行きたい」と話します。鰻は後輩たちに守ってもらいたい3つのこととして「嘘をつかない」「大事な日の前に手術しない」「頑張ろう!」と、この日のライブを通じて得た教訓を伝授。「ひき肉にしてやんよ」のフレーズを引き継ぐ芸人として、シンクロック・吉田を指名した武智は、「TOP3には5upの秩序を守るべく、厳しい先輩になってほしい」と希望。先頭を切るべき後輩として、山内の背中を思いきり叩き、悲鳴を上げさせていました。慣れない一人称「俺」で後輩たちに語りかけたのは田中。「上で待ってんぞ!」と言い放つや否や、隣の武智から「俺らもなかなか下や!」と強く叩かれ、その場に崩れ落ちていました。後藤は「この3組がTOPにいる限り大丈夫。僕の髪の毛ペッタペタにするキャラは、瀬下が受け継いでくれます」と、またしても瀬下を名指し。瀬下に対する先輩からの信頼度の高さがうかがえる結果となりました。福徳の「これからも5upよしもとを、よろしくお願いします!」という言葉で、引き継ぎは無事に終了。2時間半を超えるイベントも、ついにエンディングを迎えることに。
再び全メンバーがステージに集結。ずっと屋外で待機してきたトットも加わり、多田が念願の歌を歌い始めます。周囲からのブーイングをものともせず、『栄光の架橋』を熱唱するトットのふたり……やがて山内が、濱家が、そして後藤まで加わり気づけば大合唱に。この後も、5upよしもと会場から四条の秘蔵ギャグや、コロコロチキチキペッパーズ・ナダルの「いい声」トークなどが中継で届けられ、最後まで和気あいあいの雰囲気。これからさらなる大海原へと漕ぎ出す卒業メンバーたち、そして新生5upよしもとを支える煌メンバーたちが勢ぞろいした最後の夜は、こうして幕を閉じました。