栄えある「第一回上方漫才協会大賞」大賞はアインシュタイン!新人賞にミキら各賞も発表
1月11日(祝・月)、なんばグランド花月にて、「第一回上方漫才協会大賞」が開催されました。
昨年発足した「上方漫才協会」は、次世代のお笑い界を担う若手漫才師たちが所属し、その成長と活躍をサポートする組織。同じく昨年誕生した「よしもと漫才劇場」をホームグラウンドとし、この1年、多くの芸人たちが芸を磨いてきました。そんな精鋭たちの中から大賞をはじめ新人賞など各賞が選ばれるとあり、会場には多くの観客が詰めかけました。
式典は、数ある賞のひとつである「オープニングアクト賞」のパフォーマンスからスタート。「よしもと漫才劇場」で行われている「極LIVE」でオープニングを飾っているさまざまなユニットから、観客投票で1位に選ばれた「K-POP芸人」(祇園・木崎、マユリカ・中谷、サンディエゴ・大村ジーニアス、数学AB・コメ、イブンカ・テジュ)が登場、自慢のダンスと面白ネタで賑やかに盛り上げます。
オープニングVTRに続き、司会のハイヒール・リンゴ、そして上方漫才協会会長の中田カウスがステージへ。設立以来、「よしもと漫才劇場」に何度も足を運んできたというカウスは、近代漫才の歴史を振り返りつつ、700組を超える若手芸人たちの頑張りに言及。「彼らをサポートするのが上方漫才協会。大阪は芸人を生み出す土壌がある。それはすなわちお客さま。若手を育てるため、皆さんも漫才に協力してください」と呼びかけました。
大賞にノミネートされた芸人たちは、2階席で発表の瞬間を待っているとのことで、舞台上のビジョンにはその緊張の表情も映し出されます。現場レポートはスーパーマラドーナが担当。若手芸人たちの"兄貴分"ともいえるふたりからのインタビューでは、爆笑コメントが次々と飛び出しました。
いよいよ各賞の発表です。まずは「話題賞」。選ばれたのは、「ラッスンゴレライ」で日本中を席巻した8.6秒バズーカー。舞台に登場したふたりはスタイリッシュなスーツ姿で、漫才作家・金山敏治さんが手がけたという新作漫才で新たな魅力をアピールしました。
ネタが終わった後は、「緊張した〜!」とホッとした表情に。カウスからは、「まだ客席があたたまっていない時に、あれだけできる。才能があると見ています」とうれしい言葉も。近代漫才の礎である横山エンタツ・花菱アチャコの姿が掘り込まれたトロフィーを渡されると、はまやねんは喜びながらも「重荷ですわ〜」とコメントして笑わせていました。
続いての賞は「新人賞」。毎月「よしもと漫才劇場」で行われている「翔GP」の審査結果により、既に8組がノミネート。その場で行われた抽選によって、kento fukaya、男性ブランコ、マユリカ、ヒガシ逢ウサカ、ミキ、蛙亭、さや香、スーパーノヴァの順でネタを披露して競うことになりました。
審査員を務めるのは、上方漫才協会副会長の中田ボタン、漫才作家の大池晶さん、片山良文さん、金山敏治さん、なんばグランド花月の新田敦生支配人。8組は、漫才ありコントありピンネタありで、存分に持ち味を発揮していきます。
全ネタ終了後、別室で「新人賞」の審査が行われている間にも、どんどん賞が発表されていきます。次は「トータルコーディネイト部門賞」。舞台での衣装コーディネートに優れた芸人たちに贈られる賞で、カウス曰く「第一印象は非常に大事。衣装、メイク、ヘアスタイルに凝るのも芸人としてのエチケット」とのこと。選ばれたミキ、ダブルアート、祇園、トット、マルセイユ、ゆりやんレトリィバァは、舞台上のレッドカーペットをランウェイに見立てて闊歩。その後、協会トータルコーディネイト部 部長の筒井雅裕さんが講評を。「ミキは髪形もメガネも印象的でバランスがいい。ダブルアートは個性と体格に合ったファッションが勢いある漫才にマッチしている。祇園は木崎さんのナルシスト感がシルバーで表現され、ツッコミの櫻井さんの黒が木崎さんを勢いづけている。トットは最近グリーンの衣装にして、派手なスーツだが自然に着こなせている。マルセイユは対極なふたりのバランスがいい。ゆりやんレトリィバァは、かわいいのはもちろんだが体型にも合ったインパクトのあるチョイス」と、それぞれの受賞理由を説明しました。
ネタの台本や表現方法などに優れた芸人に贈られる「文芸部門賞」も、すでに受賞コンビが決定。「ただ笑わせるのではなく、内容や流れも意識している。しっかりとしたネタを演じているコンビ」(カウス)というマルセイユ、
シンクロック、
コマンダンテ、
吉田たちの4組がネタを披露。
その後、協会文芸部 部長の大池晶さんによる講評が。「オーソドックスな恋愛がテーマだが、後半、どんどん盛り上がる。漫才の基本を忠実にやっている」マルセイユ、「今までにない男女コンビの形が見えている。振りがあってきれいに落ちている」シンクロック、「漫才は意外性。それを徹底しており、すごく新鮮に感じた」コマンダンテ、「双子という特徴に頼らず、赤と青の応酬で笑わせる。処理の仕方がひとつずつ違う」吉田たちと、それぞれ評価のポイントが語られました。
さらに、「よしもと漫才劇場」の観客投票で決定した男前ランキングのコーナーも。スーパーマラドーナによる進行のもと、ベスト20が発表されていきます。誰もが納得のイケメンもいれば、物言いが付く人物もいて、2階席の芸人たちは大騒ぎ。さらに、ベスト5に入った芸人は舞台へ上がり、全員後ろ向きで決め顔を作ってスタンバイ。1位に選ばれたら振り向いて「かっこいいひと言」を口にするという趣向で発表されることに...。
コマンダンテ・石井、アインシュタイン・河井、祇園・木崎、ラニーノーズ・洲崎、8.6秒バズーカー・田中シングルの中から、1位に選ばれたのは祇園・木崎! ところが、何故かざわつく客席...木崎は「えーって何や! 自分らで選んどいて!」と絶叫し、爆笑に包まれる結末となりました。
さあ、「新人賞」が決定したようです。ノミネートされた8組が再び舞台へ上がり、ボタンから受賞者が発表されます。選ばれたのはミキ! ボタンからトロフィーを授与され、喜びを爆発させるふたり。ボタンは「今日ほど苦しい思いしたのは久しぶり。ちょこちょこ(劇場に)見に行っているが、今日ほどパワーがあってエネルギーがある舞台は初めて。ますます吉本は安泰です」と笑顔で語りました。亜生は「いつもお兄ちゃんに苦労をかけてばっかりだったので、賞が獲れてよかった」と兄弟愛をにじませる一方で、昴生の白髪を抜くボケも披露してしっかり笑いをとっていました。
いよいよ、お待ちかねの大賞です。各分野のプロデューサーからの推薦でノミネートが選出され、その中から最もふさわしい1組を審査会で決定するこの賞。まずはノミネートされた31組が、客席通路を通って舞台へと登場、サプライズ感あふれる演出で観客を喜ばせます。全員が揃ったところで、上方漫才協会会長・カウスが、栄えある第一回の大賞受賞者を発表。選ばれたのはアインシュタインです!
カウスは「ふたりが五分にわたりあう漫才、かけあいをいつも見せてくれているアインシュタインの受賞は当然のこと。実は先日、有名な『早慶戦』より前に録音されたエンタツ・アチャコ師匠の漫才が発見されたが、そこに『かけあい』という言葉があった。アインシュタインはその『かけあい』のDNAを持っている」と、実力に太鼓判を。トロフィーを受け取ったふたりは喜びいっぱいで、稲田は「誰も獲っていない賞、関西若手の顔ですよ、言わば! 光栄です!」と胸を張っていました。
さらに今回は、レベルが高く甲乙つけ難かったため、特別賞を設けて大賞ノミネート芸人の中から1組に贈られることに。受賞したのはバンビーノ! 「今までにない形のネタを見せてもらったし、ふたりの呼吸もいい。さらにメデイアへの露出も。いろんな面から見て、特別賞を贈ることになった」とカウス。石山は「芸人になってから初めての賞です。藤田くんは、すぐ叔父さんの(桂)きん枝師匠に報告すると思います」と、笑いをまじえて喜びを表現しました。
最後は、特別賞受賞のバンビーノ、
大賞受賞のアインシュタインが、それぞれネタを披露。
エンディングではカウスが「お客さんが最後まで元気で。皆さんの力があればこそです。ありがとうございます!」と客席の皆さんへお礼を述べ、大きな拍手とともに幕となりました。
終演後の囲み取材でカウスは「この1年、どの子もみんな力をつけて、今日改めて感心した」としみじみ。同賞の今後については「毎年あるかというと、ないかもしれない。でも来年はありそうな感じ。誰かに必ず渡すというのはレベルを下げることにつながるので、そこのところに気をつけながらやっていきたい」と明かしました。一方、ボタンは「わずか1年で、協会ができて、こんなに盛り上がって、これだけ若手が育ってくれて」と驚きを隠せない様子。「私は何もしてませんけど(笑)、子どもはほっといても育つんやなと、つくづく思いました」と感想を述べていました。
熱戦を目の当たりにしたリンゴは、「12年漫才をお休みしていて、再開して3年なんですが、日々『こんなに難しかったんやな』と感じている。若手がそれを1年でクリアしていくのが、すごくうらやましいし刺激される」とニッコリ。また「女の芸人で頑張っている子たちもいるので、彼女たちもここの舞台に上がってこられるように」と、後輩女性芸人たちの活躍にも期待を寄せていました。
受賞者からは、代表してアインシュタインのふたりがコメント。「僕らが5upよしもとを卒業した後、劇場を守ってくれた後輩が、結果を出したり人気が出たりということで、お客さんをたくさん漫才劇場に運んできてくれた。僕らはその中で先輩風を吹かさせてもらって、持ち上げてもらっただけなので、これにあぐらをかかず、今度は後輩に恩返しできるような先輩になっていきたい」と話したのは河井。稲田は「コンビだなあと思いました。全く同じことを言おうとしていました」とボケつつ、「記念すべき第一回目なので、この賞を皮切りにいろんな賞を獲って、恩返ししたいなと思います」と決意を新たにしていました。
また、質疑応答で「今後の目標は?」ときかれたアインシュタインは、「昨年、『M-1グランプリ』で悔しい思いをしたので、そこでしっかり結果を出して、この賞に恥じないような結果を残せるよう1年間しっかり精進したい」(河井)、「僕みたいなヤツでも、賞を獲ったり、テレビに出たり、活躍したらモテるんだということをブサイクキッズたち、小さなブサイクたちに教えてあげたい」(稲田)と、それぞれ回答。硬軟織り交ぜた(?)内容で、漫才さながらの笑いを起こしていました。
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