定期公演化も決定! 『東京グランド花月』初日レポート
3月29日(火)、東京・池袋サンシャイン劇場にて『東京グランド花月』が開催され、月亭八方、西川のりお・上方よしお、COWCOW、タカアンドトシ、トータルテンボス、ロバート、ピース、吉本新喜劇メンバーが出演しました。
よしもと100年の歴史に裏付けられた看板寄席である "グランド花月"の東京公演である本公演は、3月29日(火)~31日(木)の3日間にわたり開催されましたが、一昨年、昨年末に引き続き全公演のチケットが完売。"グランド花月"文化をさらに広げるべく、本公演を皮切りに定期的に東京公演を行っていくことが決定しました。
お笑いの本場・大阪でも見ることができない、人気の若手から大御所までが総出演する『東京グランド花月』。漫才、落語、コント、吉本新喜劇のほか、ブレイク中の人気芸人や、今後の活躍が期待される芸人が多数出演。 吉本の全てを詰め合わせた"最高の寄席"を、豪華ラインナップでお届けします。
満員のお客さんの期待が高まる中、初日の昼公演のトップバッターとして登場したのはピース。登場するなり、「どうも~、トップバッターの芥川賞で~す」と、なぜか綾部が言い、笑いを誘います。そのあとは、「子どもは昔話には興味を示さないが、すかし話は好き」だと主張する又吉が「すかし話」とはなにかを説明。同様に、子どもは「ぼかし話」「せかし話」も好きだと主張し、それぞれの話を語る又吉に場内は早くも爆笑です。
続いての登場はロバート。CDショップ「ヒロシレコード」の店員・ヒロシの元に、ようすのおかしな客(秋山)が現れ、曲名も歌手名もわからない曲を探していると告げます。ただ、歌は覚えているので、今から歌う曲が何かを調べてほしいと言って歌い出すのですが、その歌がまったく聞き覚えのないヘンな歌で困惑するひろし。と、そこにもう1人の客(馬場)が現れ、秋山の歌う曲を一緒になって歌い出し......という、ロバートならではのシュールでコミカルなコントが繰り広げられました。
3番目の登場となったのはトータルテンボス。「どうも~、トータルテンボスのトータルテンボを担当している大村で~す!」とにこやかに挨拶する大村を見て、しぶしぶ「スを担当している藤田です」と言う(しかない)藤田の挨拶にドッと笑いが起こります。その後も、自己紹介と称して話を始める大村ですが、聞いているとどうもトータルテンボスのプロフィールではなさそう......とお客さんが思い始めた時点で「それ自己紹介じゃなくてジーコの紹介だろ!」という藤田のツッコミが響きわたります。終始人を食ったような大村に翻弄されまくる藤田に笑いが絶えない客席でした。
4番目に登場したのはCOWCOW。登場するなり、手を振るお客さんに「何ですか?」と尋ねる多田。話が節約の話題になると、「お風呂の残り湯で洗濯してます」という善しに対抗した多田は「お風呂の残り湯でごはん炊いてます」と言い、笑いを誘います。「もうええわ!」の後に、自分たちでセンターマイクを舞台袖まで持っていき、再登場して「アンコールありがとうございます!」と、あたりまえ体操 恋愛バージョンを披露。なかなか珍しい、アンコール付きの漫才となりました。
続いてはタカアンドトシ。今年が始まってまだ3カ月ですが、芸能ニュースがすでに盛りだくさんなこの状況を反映してか、時事ネタで沸かせます。といっても、時事ネタを話そうとはするのですが、タカが時事ネタを間違って覚えている(「ゲスの極み」を「ゲッツの極み」、「育休」と「肉球」など)ため、いちいちトシがツッコミながら修正していくハメに。当然本題にはほとんどたどり着きません(笑)。そこから新婚時代はよかったという話題になり、新婚時代の夫婦の設定で漫才を繰り広げるタカトシの2人。安定の漫才に大きな拍手が起こります。
6組目は西川のりお・上方よしお。最近のお客さんは昔に比べてきれいな人が多く、芸人もシュッとしてる人が多い、とベテランならではの意見を述べるのりお。さらに、いろんな人のギャグをすべてうろ覚えでやるのりおによしおがツッコむと、「なんやねん、頭の上に自転車のサドル乗せやがって」と相方イジリも忘れません。途中、とても言いたいことがあったらしく「この問題、顔を大にして言いたい!」と言い、「顔?」とよしおにツッコまれるのりお。時事ネタも、微妙に古い話題も混ぜつつタカトシとはまた違った切り口で聞かせてくれる漫才となりました。
新喜劇前のトリを飾るのは月亭八方。「池袋に初めて寄せてもらいました」と言う八方は、「東京は人が多い。タクシー乗り場もすごい人で、朝の9時半に並んで、乗ったのが昼の2時」と話し、お客さんの「え~!!」と驚いた声を聞いて、「ウソですよ?」と涼しい顔をします。さらに、落語になじみのないお客さんのために落語とはどういうものかを簡単に説明するのですが、「要は新喜劇の用意ができるまでつなげ、と」と自虐的なウソまでつき、笑いを誘っていました。
10分の休憩をはさみ、続いては吉本新喜劇。今公演では前回公演に続き、すっちー座長公演です。公演前にタイトルや出演者などがナレーションされるのですが、出演者のところで「タックルながい」だけが何度も読み上げられ、幕が上がる前からお客さんのクスクス笑いが止まりません。
今回は、「すち子の"ひとめぼれはつらいよ"」と題し、喫茶「フラワームーン」を舞台に、フラワームーンで働くすち子や店長、その母親などを中心に、借金取りや警察官、さらにはとなりのおじさんまでをも巻き込んだドタバタ喜劇が展開します。
物語の冒頭、いきなりカウンターを飛び越えて登場したすち子に、お店にやってきたカップルだけでなくお客さんもビックリ! するとすち子は「ビックリさせてゴメンね〜、アメちゃんあげるわ」と、さっそく大阪のおばちゃん臭を出してきます。カップルだけでなく、客席にもアメを投げて配るすち子にカップルの男性が「誰にアメまいてるんですか?」と聞くと「......シマウマです」と謎の返しをしていました(笑)。
ちょいちょい「youtubeで見た」というおばはんのマネを挟んだり、借金取りに「あんた、あばれる君やね」と決めつけるなど、とにかく自由なすち子。途中、会場でお客さんの携帯が大音量で鳴るというアクシデントすらもアドリブで笑いに変えるすち子に観客は大爆笑! とにかく大盛り上がりの新喜劇となりました。
終わってみればあっという間の2時間あまり。今後は定期公演化されるとのことで、これからもますます笑いを届けてくれる『東京グランド花月』にご期待ください!
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