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2016年8月 2日 (火)

桂文枝が"多言語会場字幕付き公演"の『桂文枝「字幕」落語会』を大阪で開催! 

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2016年5月に東京で発表会見を行い、各方面からご注目いただいている、よしもとクリエイティブ・エージェンシーとNHKグローバルメディアサービスLIVE TEXTチームで取り組む「多言語会場字幕付き公演」。ハンディキャップのある方や外国の方など、誰もが楽しめるコンテンツの開発に取り組み、今年6月5日には桂文枝が東京・神保町花月にて英語と日本語の字幕による多言語会場字幕付きの落語会を行いました。当日は、リアルタイムに映し出される字幕のタイミングや演出のクオリティの高さに観客が驚嘆するなど大盛況に終わりました。

そして8月21日(日)には、東京公演に引き続き大阪・朝日劇場で『桂文枝「字幕」落語会』を実施することになりました。文枝は『宿題』、『別れ話は突然に...』の2席を日本語落語で口演、英語・日本語の字幕付で披露。また、桂三金が『犬の目』1席を英語落語で口演し、日本語字幕を付けて披露します。

8月2日には、会場となる朝日劇場で桂文枝が本公演に対する意気込みなどを語り、会場字幕のデモンストレーションも行いました。

「せっかく花道があるから、花道から出たいなと思いまして」と朝日劇場の花道から登場した文枝。まずは劇場の思い出を語りました。

「この朝日座はよく見に来ていた劇場で、リニューアルして随分きれいになりました。まさか、ここで字幕落語をやるなんて思いもよりませんでした。私の創作落語に『男の花道』というものがあって、大衆演劇の一座が劇場でやっていたけど、うまくいかなくなって解散して、若い座長が芝居をやめてイタリアンレストランで働くという落語なんですけども、そこでここの劇場に通いまして、一座の皆さんにいろいろ聞きました。そのときの若座長である都若丸さんとは今でもおつきあいをさせていただいております。皆さんが一生懸命やられた舞台で字幕落語をやらせていただくというのは、大変うれしく思っております」とご挨拶を。

そして「久しぶりに通天閣に来るのを楽しみにしておりました。さっきも、通天閣の近くで、イシツブテというポケモンをゲットしまして、通天閣はポケモンの戦いの場になっているというのをここへ来て初めて知りました。また、通天閣は吉本興業が昔、持っていたということもあって、随分馴染みの深いところでございます。通天閣の下にある朝日劇場で今度、(落語会を)やらせていただくということをとても楽しみにしております」と続けました。

外国での落語公演を多く開催している文枝。印象深かった公演の思い出を語りました。

「東京でこの字幕落語をやらせていただいたんですけれども、とても楽しくやらせていただきました。外国人の皆さん、耳の不自由な方にも、大変喜んでいただきました。今までも字幕落語を外国のあちらこちらでやりました。その中でも(神保町花月の公演が)一番うまくいったんじゃないかなと思っております。というのは、フランスのパリでやりましたときは、上の方にフランス語の字幕が出るんですけども、向こうの劇場の方が落語を見たことがなかったと思うんですね。座ってやると思わなかったらしいんで、ずいぶんと上の方で字幕が流れてきたんです。お客さんは座りながら私の方を見て、そして随分上の方を見てという感じで。やっている方もやりにくかったです。ワシントンでやったときは、同時通訳だったんです。私が落語をやると同時通訳の方がばっとしゃべられる。みんなイヤホンで聞いていて、すごくお笑いになるんです。あとで聞くと『Shall we ダンス?』を通訳された方で、非常に笑いのセンスがある方だと。ですから、私の落語にお客さんが反応されているのか、自分が笑わせているのか、通訳が笑わせているのか、だんだんよう分からんようになってきまして、これはなんやろな思いながらやりました(笑)。ニューヨークでやったときは、字幕でやらせていただいたんですけど、字幕のやっかいなのは、私がしゃべると英語でぱっと出るんですけど、英語の場合は動詞が先に出るので、まだ笑いのところにいってないのにお客さんがわっとお笑いになるんです。なので、あとはただしゃべってるだけいう感じでした」。

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さきの神保町花月では、アクリル板を舞台の両側に設置して字幕を見せました。

「それは私が提案させていただいたんですけれども、『こんにちは』と言うと、下手の人間がしゃべってるときは上手のアクリル板に漫画の吹き出しのように会話が出るんですね。『よく来たね、まあまあ入りなさい』というのは、反対のアクリル板に出るんです。ですから、見ていただいた方には非常に分かりやすかったと思います。そのときも『宿題』と『別れ話は突然に...』をやらせていただいたんですけど、これが外国人の方にも、耳の不自由な方にも非常に分かりやすくてよかったです。まず、読んでおもしろいようにということを心がけて、読み物としておもしろいようにいろいろと直させていただきました」。

英語に訳す際の気配りもありました。

「英語にするときにオチになる言葉を言ったときに、同じようなタイミングで笑っていただけるような訳を考えてほしいというふうに言いました」。

パーフェクトなスタッフ、技術者に囲まれ、自分だけがパーフェクトではなかったと反省する一場面も。

「落語は、"え?何?どういうことよ?"とか、そういうときの気持ちでしゃべるものですから、なかなかお芝居の台詞のようにしゃべることが身についていないんです。それがものすごい難しかったです。一生懸命、自分の落語を覚え直して、自分の落語を間違いなくしゃべることがいかに難しいか、つくづく思い知らされました。落語をそのとおりに演じるということは、自分としてはまた元へ戻ったような気になりましたね。ここからもっとおもしろくなっていくという、自分の感覚の中にはそういうものがあるものですから、自分のやった落語が後戻りしてるというような感じで、僕としてはやりにくかったです。でも、そのやりにくいことにまたチャレンジして頑張りたいと思います」。


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とはいえ、字幕落語を体験したお客様がものすごく喜んでおられたことを知り、とてもうれしかったそうです。そして「こういうことをきっかけに落語が外国に広がっていったらと思います。これから外国人も増えてきますし、こういうおもしろい芸が、おもしろい話が日本にあるよと世界に広がっていけばありがたいことですし、また、耳の不自由な方にも落語はおもしろいものなんだなと分かっていただけたら僕も本当にうれしいですし、噺家冥利に尽きると思いますね。朝日劇場のステージでの落語は初めてなので、どうなるか分かりませんが、一生懸命やりたいと思いますので、よろしくどうぞ、お願いいたします」と意気込みを語りました。

質疑応答では、まず、字幕落語会をするにあたり『宿題』と『別れ話は突然に...』を選んだ理由を尋ねられました。

「何にしようかいろいろ考えたんですけど、あんまりダジャレのないものを。ダジャレは英語で表現しにくいというのもありますので。『宿題』は、私の弟子の三輝(サンシャイン)が外国でよくやっていて、よくウケるというのを聞いたものですから、もしや『宿題』は全国共通で、世界共通、子どもの宿題や勉強をお父さんが見るというのは、相通ずるもんがあるんじゃないかと思ってやりました。(噺の中で)私は鶴亀算なんですが、三輝は外国でやるときは亀とフラミンゴになっていたらしいんです。でもそのあと、また鶴に変えたということです。『別れ話は突然に...』はまだ弟子が英語でやったことがないですし、オチが心がほっとするような、温まるような落語なので選びました」。

そして、字幕付き公演の意義と、今後の寄席でもシステムを導入するのは可能ですか?とのご質問もありました。この字幕付き落語公演の話を初めて聞いたとき、「ぜひやりましょう!」と即答した文枝。実際に神保町花月での公演を経て、課題も見つかりました。「(字幕が)英語と日本語が出るので日本語が字が小さくなってしまうんですね。その辺が読みづらいので、そこをもっともっと工夫をしなければいけません。これにチャレンジすることは大変なことが多いんですけども、チャレンジさせていただきました」と、その気概もあらわにしました。

落語の字幕は文枝が口演している映像を見て文字に起こしたものを使用しました。ただ、ライブでは毎回、細かいところが異なるため、手直しをすることも。同じネタでも会場の雰囲気によって台詞が微妙に変わるため、同じようにやるのは難しいとさきにも話した文枝ですが、「朝日劇場での公演も、時間をかけて、ゆっくり手直しをして、読んでおもしろいようにさせていただこうと思います。あとは、僕の表情などで『今、これをしゃべってるんだな』というところを見ていただけたらなと思います。パーフェクトにできれば」とさらに気を引き締めました。

英語訳に関しては、スクリーンに字幕を映す際に、"ここ"という笑いのポイント部分で字を大きくする、色を変える、字を動かしてみるなどの案も考え中。工夫を凝らすことでもっと面白くなるのではないかと期待を込めます。

最後に、「多言語会場字幕を使っての今後の展開は、日本にいる外国の皆さんだけじゃなく、できれば世界に出て行って、いろんな創作落語をやりたいなと思ってます。僕の希望、夢としては、この字幕落語でいろいろと世界へ行きたいなと思います!」と夢を語った文枝。新感覚の落語が楽しめる『「字幕」落語会』は8月21日(日)に開催されます。この機会にぜひ、お楽しみください!

【桂文枝】

『桂文枝「字幕」落語会』

日時: 2016年8月21日(日)11:30開演(11:00開場)
場所: 朝日劇場 (大阪市浪速区恵美須東2-1-26)
【出演】
桂文枝「宿題」「別れ話は突然に」 ※日本語落語+英語字幕+日本語字幕
桂三金 「犬の目」 ※英語落語+日本語字幕
料金: 前売3,500円 当日4,000円
チケット情報: チケットよしもと
Yコード:999140