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2016年11月29日 (火)

キングオブコント9代目キング・ライスが、NSC在学生にリアルな芸人事情を語る!『NSC特別授業~KOC覇者:ライスの話』レポート

11月24日(木)、NSC東京にて『NSC特別授業~KOC覇者:ライスの話』が開催されました。

1982年の開校以来、多くのスターを輩出して来たNSC(吉本芸能総合学院)。この日は、先に行われた『キングオブコント2016』で9代目キングに輝いたライスが、2016年度の在学生を前に授業を行いました。

「おはようございます!」という、威勢のいい挨拶で迎えられたライスは「何から話したらいいんですかねぇ」と言いながら、まず自身の在学時代について話し始めます。
ハリセンボン、しずる、パンサー・菅良太郎、囲碁将棋、えんにち、サルゴリラなど、個性的な同期が集結する東京NCS9期生の彼ら。そんな中、いち早く売れたのは女性コンビのハリセンボン。続いて、ショートネタブームでしずるが注目を集めたわけですが、「どこが1組でも売れると気が楽ですよ。ハリセンボンもそうだったけど、しずるっていうコンビがお笑いブームの波に乗っかってお金を稼ぐようになりましたからね」と、ゲスなコメントで笑わせる田所。「同期が売れて"くそっ!"って思うより、いい金づるができたと思うがいい」という関町の言葉にも笑いが起きると、田所は「すみませんねぇ。しょっぱなからお金の話で」と謝りつつ「ただ、解散の理由ってお金の問題も大きい。地方から出て来て家賃が払えなくて辞めるっていうパターンもあるから」と、いきなり現実を突きつけます。
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在学中は、常にトップクラスだったというライス。関町は「まぁ、入学当初から組んでたから当たり前といえば当たり前だよね。(自分達よりあとに結成した)ほかのコンビが11月くらいに頭角を現し始めたら、僕らは12月くらいから一気に調子が悪くなった。だから今、選抜に入っている人も調子に乗らないほうがいいですよ」と冷静にアドバイスします。
多くの人同様、2人も「卒業したらすぐ、余裕で売れる」と思っていたそうですが、現実は厳しく......。「卒業して8ヵ月間、1つも仕事がなかった。初めての仕事が、12月のシアターDの舞台」(田所)「うん、よしもとの常設劇場には一切出られなかったよね」(関町)とシビアな状況を語ります。
さらに、1つ後輩の10期生だったオリエンタルラジオが、在学中に大ブレイク。「どこでイベントをやっても、オリラジが出れば超満員だった」(関町)「すごかったね。あれほどのコンビは、オリラジ以降出て来てないんだけど、1つ後輩でそういうコンビが出るのって、だいぶしんどかった」(田所)と当時のダメージを吐露。も、オリエンタルラジオのブレイクをきっかけにスタートしたCS&インターネット番組の前説の仕事が入るようになったことについて、田所は「ありがたかった。当時は仕事がなかったから」と呟きます。
その後ショートネタブームの波が来るも、「僕らは一切引っかからなかった」と静かに語る関町。大きく頷く田所はテレビ番組のオーディションの仕組みについて語りつつ、「僕ら、テレビのことはアドバイスできないんですよ。13年間ほとんど受かったことがないからね。テレビにもほぼ出てないし」と正直に話しました。
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芸人仲間やライブシーンを良く知る関係者からは、若い頃から「天才的に面白い」と注目を集めていたライスですが、2人が話すように、テレビのバラエティ番組などへの出演はほぼ皆無。お笑いブームが去り、ネタ番組が一気になくなると、周りには解散するコンビもチラホラ......。そんな厳しい状況の中で、今年初めて『キングオブコント2016』の決勝へ進出し、優勝を手に入れました。
「優勝したからこそ偉そうに言えることかもしれないだけど、実は『キングオブコント』がむっちゃくちゃ苦手でした」と明かした田所。「9回挑戦して準決勝まで残れたのは、今年を含めて3回。周りからも"ライスはこの大会に向いてないよね"って言われていた。けれど、2本だけむちゃくちゃいいネタがあれば、優勝できる可能性が高くなる」と断言。「今年やったネタはどっちも以前、『キングオブコント』の決勝に行くために、毎月2本ずつ新ネタをつくろうぜっていうライブをやってたときにできたコント。それで今年はがんばろうと。新ネタはがんばってつくらなくてもいいやって思ってました」と続けると、関町は「もちろん、何回か舞台で試すのは大事。ネタを叩くというかね。1本目のネタも、僕の台詞の言い方はどんどん変わっていきましたから」と補足します。
また、コントと漫才それぞれの長所と短所についても、独自の見解を。「漫才は準備がなくてもできるから、営業には呼ばれやすい。コントは何をやるかを早めに決めなきゃいけないのは面倒くさいんだけど、コント師は根強いお客さんが付いてくれる印象がある」(田所)「漫才は1回観れば、人となりが見えてくるけど、コントはいろんな人格を演じる分、いろんなネタを観たくなるのかもしれない」(関町)など分析します。
「卒業後、芸人の仕事だけで生活できるかどうか、知りたいですよね?」と語りかけた田所は多くの生徒が頷くのを観ながら、「生活はできないです」とキッパリ。「テレビに出ていない芸人さんは全員、バイトしてるはず。僕らも贅沢ができるほどのお金はないしね」と語ります。
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芸歴13年目にして賞レースで優勝と1つの結果が出たことについては、「初めてちゃんとしたチャンスが来たなという感じだった」と言いつつ「けど、13年なんて実際やってみればあっという間ですから。売れるのは時間がかかると思っておいたほうが気が楽ですよ」(田所)「如何に楽しくやるかが大事。楽しくやれたら、あっという間に時は過ぎていく」(関町)と、実際に経験したからこそ話せるリアルな心情を言葉にします。
『キングオブコント』の優勝も、変な力みを抜いたことで手に入れることができたと感じているようで、「今年は気を抜いていこう。気楽にやってみようって思っていた。僕、今年1年間、パチンコ屋でずっとスロット打ってました(笑)」(田所)「僕も旅行に2回、フェスに1回行きました」(関町)と発言。「力を入れ過ぎてもね?」(関町)「うん。"ダメかな? まぁ、いいっしょ!"くらいの気持ちでやったのがよかった」(田所)と話しました。
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コンビ名の決め方、挨拶の大切さ、先輩や後輩との関係性などNSC卒業後、ライブを中心として地道な活動を続けてきたからこその現実的な芸人事情が次々と語られた、今回の特別授業。
質疑応答での「企画ライブやネタづくりなどの発想が浮かぶのはどんなときですか?」という質問には、「基本、2人で喫茶店とか吉本本社とかで集まって雑談して。僕ら、高校からの友達で、仲がいいんで集まるのが苦じゃないんですよ。大体、ネタ合わせの1日目は雑談で終わって」(田所)「2日目からは本番ですね。コンビなら、ネタは2人で話して決めたほうがいいと思います」(関町)とアドバイスします。
演技に定評のある2人だけに、「演技の練習はどんなことをやったらいいですか?」という問いかけも。「若手は神保町花月でお芝居をやるんで、そのときにプロの演出家の方に演技をつけてもらえるので勉強できますよ」と答える田所。関町も「神保町花月の経験は意外と大事」と同調します。も、「コントでの演技なんて、必要ない気もする」と言い出す田所。「キャラに入れば、なんとかできますよね。どっちかっていうと、漫才師のほうが演技は必要なのかも。何回も聞いたことのあるボケでも、初めて聞いたフリをしないといけない。それが上手い人、全部アドリブなんじゃないかと思わせられる漫才ってウケますよね」と、コント師ならではの視点を語りました。
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「ネタ以外で大事なことってありますか?」と訊ねられると、「僕らが今いちばん困ってるのはそこ」と関町。「(バナナマンの)設楽さんに"ライスって次の日には思い出せない顔だよね"って言われた。キャッチーな見た目のアクセントは大事な要素なのかなと思う」と続けると、田所は「俺らもそういうのがあったらいいなって思うよね」と現在、直面している問題であることを話します。さらに「質問の趣旨とは変わっちゃうかもしれない」と前置きしながら「漫才師はちゃんと衣装を決めたほうがいい。私服でネタをやると、どうしても漫才がヘタに見えてしまう。お金をかけたほうがいいですよ」と進言しました。
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最後に、「実になる話ができたのかはわかりませんけど、現実的な話はできたと思います。13年間売れなかったけど、辛くなかった。みなさんも楽しみながら長く続けましょう」と呼びかけた田所。関町も「キツいことも、笑い話に昇華できるので不安なんか保たずに楽しんでいってもらえたらいいんじゃないかなと。一緒のライブになったときは、ぜひ声をかけてください」とエールを送りました。
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【ライス】