ウーマン・村本、斬られ役に挑戦するも及び腰!? 映画『時代劇は死なず ちゃんばら美学考』初日舞台挨拶
12月3日(土)、東京・有楽町スバル座にて映画『時代劇は死なず ちゃんばら美学考』の初日舞台挨拶が行われ、中島貞夫監督、主演の山本千尋さん、応援芸人のウーマンラッシュアワーが登壇。MCを清水圭が務めました。
今作は京都で半世紀以上にわたって映画キャリアを積み上げてきた中島監督が、京都で生み出された時代劇の"ちゃんばら(殺陣)"を、映画人という立場から内部考察した作品。監督自身が殺陣師、俳優、映画研究家、評論家などの指揮官にインタビューするパートと、東映剣会の出演するオリジナルちゃんばらのメイキングシーンとともに完成作をつくっていくパートと、2つの側面を持つドキュメンタリー映画となっています。
中島監督は「ちゃんばらとはなんなんだろう。ちゃんばらの本当の面白さとはなんなんだろうと長い年月考えていまして、こういう作品をつくりました」と挨拶。客席を見渡した村本は「お客さんの感じが多少はワー! キャー!っていう感じなのかと思ってたんですけど、監督の大ファンであろうお客さまがお集りのようなので、余計な言葉を差し控えて監督の言葉を聞きたい」と、熱心な監督ファンを前に少し怖じ気づいた様子。村本に「ちゃんばらとか観てた?」と訊いた清水は「正直言うと観てなかったです」という返答に「そうやんなぁ。俺らの世代はおじいちゃん、おばあちゃんんが必ず観てたから、一緒に観てた。面白いもんですよ」と話しかけます。
『極道の妻たち 決着』以後、今作で17年ぶりにメガホンを執った中島監督。「これまではお金のかかった映画をつくってきたわけですけど、その後、学校の先生をやったりして過ごしながら"自分の本当に撮りたいものはなんなんだろう"と考えるようになった。この世界に入った昭和34年は映画全盛期で年間11億人を超える人が映画館へ来てくれていた。その5年後、東京オリンピックの年には半分以下になっていたんです。さぁ、これから映画界でどうやって生きていけばいいのかという中で七転八倒しながら時代劇を変えようということで、女性絡みの作品をつくってきました」とこれまでの軌跡を振り返ります。さらに「時間が経つにつれて、ちゃんばらに焦点を絞ってみたらどうだろうと思い、徹底的にちゃんばらを考える映画をつくろうと思いました」と製作の経緯について語ります。
清水が「裏側の方がどんなことを考えながら、ちゃんばらをつくっているのかわからなかったんですけど、この映画を観て(裏方の方々から)貴重なお話を聞けたのが興味深かった」と告げると、中島監督は「今作を観て、時代劇に少しでも興味を持っていただければ。改めてちゃんばらについて考えていただいた上で、本物のちゃんばらを観たいという思いに至っていただきたい」と呼びかけました。
3歳から中国武術をやっていたと話す山本さん。「中国武術と少し似ている殺陣をしていくうちに、中島監督や福本清三さん、東映剣会のみなさんに殺陣の素晴らしさを教えていただきました。1斬り1斬りに思いがあるということを改めて感じた撮影現場でした」と撮影を振り返ります。
「ちゃんばらと時代劇は同じなんですか?」という村本の質問に、丁寧に説明する中島監督。また、中川パラダイスの「斬って鞘に入れるまでの所作が綺麗でかっこいいですよね」という言葉には、「斬る側っていうのはスターでそっちばかりに目がいくと思うんだけど、実は斬られるほうが難しいんです。斬られるほうは斬るほうにタイミングを合わせなければいけないし、倒れ方もそれぞれで違う」と説明。山本さんから先ほど名前に挙げた斬られ役の名脇役である福本さんの凄さについて話すと、清水は「『探偵! ナイトスクープ』の探偵をやってた頃、時代劇でいつも斬られている人がいるけど、あれは誰?っていう以来が来て、(桂)小枝さんが行かれたんかなぁ? 福本さんを太秦まで探しに行ったんですよ。そこから話題になって、その後『徹子の部屋』にも出られて大スターになられた」と説明。興味津々で聞き入っていた村本の「そういう人は、のちに主役になっていくんですか?」という問いかけに、中島監督は首を横に振って「斬られ役に徹するその美学だよね」とポツリ。「うわぁ~、確かにかっこいい!」と感嘆する村本でした。
その後、「村本は斬られ役に向いているのか?」を検証するも、稽古用の模造刀を持っただけでへっぴり腰になってしまう村本。山本さんに手取り足取り教えてもらうも上手くいかない様を観て、中島監督が「演技として2人の呼吸が合わないと」とアドバイスすると、清水は「それは難しいですよ。村本は人と呼吸を合わせようとしたことは今までないですから」と嘆きました。
フォトセッション後、清水に「我々は期待してしまう。この映画は、監督による新しいちゃんばら映画へのネタ振りなんじゃないかと」と訊かれた中島監督は「そう思ってください!」と断言。「みなさんのお力をお借りして、"ちゃんばら映画が少ない"という声が多く上がれば新作はつくれるんだろうと。その準備は進めております」と続けると、客席からは大きな拍手が起こりました。
【ウーマンラッシュアワー】【清水圭】
映画『時代劇は死なず ちゃんばら美学考』
監督: 中島貞夫
出演: 中島貞夫、山本千尋、木村彰吾、東映剣会、松方弘樹
制作:KATSU-do
製作:吉本興業
公式サイト: http://www.chambara.net