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2017年2月 4日 (土)

「天才と戦うには70点のネタ100本のストックが必要」 パンクブーブー・佐藤がYCC生に漫才のネタ作りを伝授!

1月26日(木)、東京・神保町シアタービルにあるYCC教室にて、パンクブーブー・佐藤哲夫による漫才のネタ作りの特別授業が、YCC(よしもとクリエイティブカレッジ)「構成作家コース」受講生、並びに芸人を目指すNSC生に向けて行われました。

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『M-1グランプリ』『THE MANZAI』の両方を制したパンクブーブーのネタ作りを務める佐藤だけに、ネタ作りの基本から賞レースで勝ち上がるコツ、芸人と作家の関係性、作家としての心構えなどの実践的な話が次々飛び出し、受講生にとっては貴重な時間となりました。


受講生の前に登壇した佐藤は挨拶後、漫才を作る上で「これが正解とかではない」「自分に当てはめてみて、こういうところは使えるなと思うところを取り入れて」とこれからの講義について説明。
そして、自分に才能があると思っている人へは「全然聞かなくていいです。一年目でドンと行く人もいるわけだから、そこ(自分の才能)を信じてやるだけやった方がいい」と前置きした上で、才能がないと自覚する人へは「磨いて、努力して、技術を身につけていく。そうすることで、天才にはなれないけど秀才になれる」「秀才まで登りつめたら、この世界で食べていける」と力説します。

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まず、漫才を書く作家におけるプロとアマチュアの差について「スピード」が圧倒的に違うと断言する佐藤。
パンクブーブーがネタ1本を作家に求める場合、5分から15分で用意してこそ使えるプロだそうで、現在『しくじり先生 俺みたいになるな!!』などを担当する売れっ子構成作家・樅野太紀さんに、漫才の台本を1本依頼した際のエピソードを明かします。


樅野さんは、打ち合わせに遅れて来たものの、「こういうネタあるよ」とパソコンを開き、ストックしてある漫才の台本を次々に見せ、使えそうだとなったらプリントアウトしてきたそうで、その時間が「5分」だったとのこと。
つまり、どんな依頼があっても、すぐに対応できるネタを常にストックして、取り出せる状態にしてある作家こそがプロで、「1年間かけて練り直したネタなら、俺が1週間かけて書いたネタを超えてくる」のだそうです。

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ここからはそのネタのストックを作る方法について。
佐藤自身、他のコンビにネタを提供するケースがあり、その場合「70点のネタを作る」と心がけているそうです。その理由は、練りに練った100点満点のネタは、作り手の個性が強すぎて、演者としては変えようがなく、かつ当たり外れが激しいので、作家は誰が演じてもそこそこ面白くなる70点の漫才を提供し、残り30点は演者の個性で積み上げるとのこと。


そして、仮に70点のネタがボツになったとしたら、他のコンビに使えるかもしれない=ストックとなるが、100点のネタは使い回し出来ない=ボツになる可能性が高く、70点のネタが100本ストック出来たところで、1日で面白いネタを作ったり、アドリブで爆笑を奪う天才と張り合える秀才になれると結論づけます。


佐藤自身、才能はないがネタを作り続ける努力ができたため、「俺はなんとか芸能界の端っこの方で、バイトしなくても食べていけるくらいになってます。それくらいにはなれます。『M-1』くらい獲れます」とまで言い切り、笑いが生まれるシーンも。

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「この世界、ネタが一番の名刺になる」とネタの重要性を説いた後は、具体的なネタ作りの講義へ。
自分が面白いと思っていること、ネタを作ろうとしたキッカケを『大ボケ』、その大ボケを活かすためのボケを『小ボケ』と定義し、樹に例えて大ボケを幹、小ボケを葉として話を展開します。
大ボケと無関係な小ボケは、「ノイズなんです。雑音。ジャマ」と言い切り、どんなにウケても印象が薄くなり、「賞レースでは勝ち上がれない」と、図やグラフを使って解説。
仮に小ボケの方がウケるようだったら、それを大ボケにした別のネタを作ることも薦めており、「ネタを作る以上、無駄はないんです。根底の力になってくる」と提言します。

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その他にも、冒頭から15秒までにひと笑いもなければ、有名でない限り、興味を持ち続けてくれないので、ツカミを入れるなど「自分たちが無名だという大前提」でネタを作ることや、ツッコミはボケのパターン"ボケシロ"を少しずつ削っていく作業であること、さらにはテンポをよくするため、ツッコミにボケの振りを入れるといったテクニックも惜しげなく伝授。

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加えて、印象に残りづらいオーソドックスな設定を逃れる例として、『M-1グランプリ2009』で優勝を決めた「陶芸家へ弟子入り志願」を挙げ、一見、珍しい設定ながら後半畳み掛ける「帰れ!」「いやです!」の掛け合いは、昔からよくある新聞勧誘などと同じパターンだとか。
ちなみに、この時、パンクブーブーにとっての大ボケは「メガネをかけた小男(黒瀬)がケンケン吠えている姿」であり、1本目の隣人とのトラブルのネタも同じだと明かします。

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質疑応答では、『M-1グランプリ2016』を制した銀シャリは、オーソドックスな設定のネタだったのに優勝できた理由を訊かれると、「結局お笑いだから、ウケている奴が正義」「ベタでオーソドックスなネタは、圧倒的にウケなければならない」と答え、トレンディエンジェルが優勝した『M-1グランプリ2015』の審査員を務めた経験から「お客さんにウケているのが第一位と考える。同じくらいウケていたら、斬新な方が有利」といった持論も。


「ネタはいつ書いてますか?」との質問には「何が面白いかを思いついた時」と即答し、それが大ボケであり、大ボケありきでネタを作り始めるそうです。
『M-1グランプリ2010』の決勝で披露した「いろいろ想像させて裏切る」スタイルのネタは、営業帰りのバスの車中、前席に座っていたチーモンチョーチュウの菊地を相手に「うわー、今日は空がキレイだなあ...って思う奴もいるんだろうな」(佐藤)、「思ったんじゃないんですね」(菊地)といったミニコントを1時間半ほど続け、「これ面白いな」と思い、帰宅後、一気にまとめたといったエピソードも。

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休憩を挟み、YCC生が書いてきた漫才の台本に対して、具体的なアドバイスをしたり、希望者に指導したりと、時間いっぱいまでYCC生、NSC生と真摯に向き合った佐藤。
そして受講生たちも、今後の自分たちと直結する話だけに、熱心に聞き入った様子でした。


【パンクブーブー】【佐藤哲夫】

<インフォメーション>

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よしもと総合芸能学院(NSC)は1982年に大阪校が開校して以来、名だたるタレントを輩出。
YCCも構成作家や、テレビ・映像制作、デジタルコンテンツ制作を目指している人にとっては、充実した環境で勉強できる場となっています。

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