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2017年12月 5日 (火)

豪華ゲストと共に盛大に開催!「桂文枝 芸能生活50周年 ファイナルステージ~またここから始まる~」

落語家・桂文枝が昨年12月1日に芸能生活50周年を迎えました。それからの1年、メモリアルイヤーを盛り上げるべく、特別番組や富士山 頂上奉納落語会など、さまざまな企画を開催し駆け抜けてきた彼ですが、12/1、ついにその最後を飾る「桂文枝 芸能生活50周年 ファイナルステージ~またここから始まる~」を大阪・オリックス劇場にて行いました。三遊亭円楽、関根勤、さだまさし、加山雄三という文枝と縁がある豪華ゲストを迎え、お祝いムードに沸いた今回の舞台をご報告します。

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今回は後にも先にもない特別なステージとあって、開演前から会場は期待に胸膨らむ人々で満員状態。そんななか、暗転し緞帳が上がると「文枝の歩み」なる特別映像が大スクリーンに流され、文枝のインタビューと共に「MBSヤングタウン」や「ヤングおー!おー!」といった懐かしい番組の画像や映像が映し出されます。古くからのファンにはかなり感慨深かったことでしょう。そして、いよいよ公演が第一部からスタート!

 

まず姿を見せたのは、三遊亭円楽。その演目は「読書の時間」(三枝作)です。子供と先生や親の会話で繰り広げられる少し"大人向け"のネタも、"小池百合子"や"個人情報"といった今を感じさせるワードを交えながらテンポ良く軽快に進むのが、さすが! いっきに観客をステージ集中させる職人技とも言うべき落語を体感することができました。

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さて会場が十二分に温まったところでサプライズが! それは、俳優の鈴木亮平のメッセージVTR。実は彼、2018年の大河ドラマ「西郷どん」の主役を務めることから登場したのです。......というのも、お待ちかねの文枝による演目に理由あり。今回は「新・ゴルフ夜明け前」(三枝作/文枝改作)が披露されたのですが、これは幕末の志士・坂本竜馬と西郷隆盛が登場する物語。しかも新撰組とゴルフで対決するというファンタジーのような本当のような世界を描いたものでもあります。幕末という緊迫した空気感とピースフルなゴルフ、そして薩摩弁・土佐弁とカタカナ英語という対照的な組み合わせが散りばめられ、緊張と緩和の連続に客席からは笑いが止まりません。しかも、ゴルフスウィングや切腹といった場面ではキレのあるアクション&演技。知らぬ間に話の中に引き込まれ、約50分が知らないうちに過ぎています。まだまだ第1部ですが、すっかり笑いの"満腹状態"。......とここで公演は中入りを挟んで第2部へ。

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第2部は白亜の豪邸のリビングといったセットが用意され、文枝の弟弟子である桂きん枝も登場。きん枝は進行を司る執事という役割です。そして2人のもとにお宅訪問のごとく、ひょっこりとやって来たのは関根勉。実は彼のかつての芸名・ラビット関根は、文枝が命名したという話から次々にトークは広がり、文枝はあれこれとテッパンのモノマネを関根にリクエストします。ジャイアント馬場や長嶋茂雄といったスポーツ選手から、ペリーや小野妹子といった歴史上の人物まで、どれもオリジナリティあふれる芸で、会場も大爆笑の渦。さらに関根の孫への愛が妄想となっているプライベートな話まで明かされ、関根と文枝の仲の良さも感じさせました。

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そして次は音楽に満ちる第3部。まずは数々の名曲を生み出したシンガーソングライター・さだまさしが、今回文枝が特別に用意したという、さだのヒット曲「関白宣言」の出囃子に乗って現れます。"これは名曲が聴ける!?"......と思ったものの一筋縄ではいかない話し好きの2人。トークには大輪の花が咲きます。名曲「精霊流し」の歌詞について文枝が次々に突っ込みをいれると、とぼけた調子で「何も考えず書きました(笑)」(さだ)と返答。さらに「精霊流し」を実際に披露する段になっても、文枝・メイン&さだ・コーラスだったのがいつの間にか逆転するという、まるで歌謡漫談の展開。心に染み入るはずの「精霊流し」がいつの間にか、笑いに包まれて響きます。これにはさだも「こんな『精霊流し』初めてですよ(笑)」と言いつつまんざらでもなさそう。その後も「北の国から~遥かなる大地より~」では、歌詞の"ルールー"の"ル"を"コ"や"ポ"に変えよう!という提案が文枝から出るなど、原曲の雰囲気はどこへやら。笑い声が絶えません。そして最後は文枝が好きだという「主人公」をさだが歌い、50周年に花を添えます。その優しいメロディと味のある歌声は会場に大きな拍手を巻き起こしました。

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そして今日の最終ゲスト、大スター・加山雄三が登場。今回はバンドも引き連れて舞台上はにぎやかです。この2人の交流も深く、特に文枝は昔から加山が大好きで、彼に憧れて船舶免許を取り、ウクレレも演奏するようになったそう。そして文枝が「本当に、いつまでも元気な若大将でいてくれますね」と今も変わらない憧れを示せば、加山も「毎晩、文枝さんの落語を聞いてるんだよ」と相思相愛の様子。そんな2人は息の合ったウクレレの演奏も披露し、「アロハレイ」では会場をハワイの海辺に一変させ、加山は「文枝さんの歌、え~わ~」とべた褒め。文枝も「夢のようです」と興奮気味です。さらに「お嫁において」では会場から大きな手拍子が鳴り響き、ムードは最高潮。またこの曲にまつわる学生時代のせつない思い出も文枝から思わず飛び出します。そして文枝は大ヒット曲「君といつまでも」もおねだり。2人は肩を組んで歌い上げ、観客たちをうっとりとした表情にします。しかも、あの名セリフが文枝によって「加山さんといるだけで幸せなんや。これからもLINEの友達でいてくださいね。よろしいやろ?」と今日だけのバージョンに! これにはほっこりとした空気が会場の隅々まで行き渡り、多幸感に包まれます。そしてラストは「自分は芸の旅人やなあ」と文枝が感じたという曲「旅人よ」へ。観客は大きく左右に手を振って、2人のステージを最後の最後まで楽しみ尽くしました。

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そして、50周年もついに終わりの時が。文枝はピンスポットを浴び舞台に立ちます。涙をこらえているかのような声で「これからも芸の道をひたすら歩いて行きます」と宣言。その様子には観客も感無量のよう。大きな感動に包まれるなか、最後の「おおきに!」という文枝の言葉で記念すべき1年に幕が下ろされました。まだまだ現役のパワフルな落語やトークで、私たちを笑顔にさせてくれた桂文枝。52年目からの新たなフェーズでも活躍が続くことは間違いないでしょう。

 

【桂文枝】