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2018年2月 2日 (金)

パンクブーブー佐藤が「賞レースのためのネタの書き方」を指南! YCC作家コース授業レポート

1月29日(日)、東京・神保町花月の上にあるYCC教室にて、パンクブーブー佐藤哲夫を講師に迎え、YCC作家コースの授業が行われました。
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しもとがスタッフ分野におけるオーソリティを育成すべく2008年に設立した養成学校YCC(よしもと クリエイティブ カレッジ)では、総合コースと構成作家コースの2つのコースを開講中。今回は構成作家コースの授業で、『M-1グランプリ2009』『THE MANZAI 2011』チャンピオンのパンクブーブー佐藤哲夫が「賞レースのためのネタの書き方」をテーマに講義を行い、YCCの生徒だけでなくNSCの現役生も多数出席しました。

講師として登場した佐藤は、開口一番「自分は天才だと思う人?」と質問。挙手する者がいないのを確認した上で、「大スターになるのは天才たちかもしれない。でも世の中に天才は0.1%もいない。活躍している人たちでもほとんどが凡人。これは凡人が天才とどうやって戦っていくかの授業です」と今回の講義の趣旨を説明し、「自分が天才だと思う人は俺の授業は受けないで、自分の思う通りやった方がいい。天才なら3年で結果出るから」とキッパリ。緊張が走る中、「僕も凡人中の凡人。ただ、M-1くらいは獲れます」と続けると、硬かった受講生たちからも笑いがこぼれました。
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天才と戦う方法として、佐藤は「凡人はどんなに努力しても天才には勝てない。でも、勝つ必要ない」と前置きし、メッセンジャー黒田から教わったという言葉を交えながら「天才には勝てないけれども、努力をし続ければ秀才にはなれる。秀才になれば、凡人には天才との区別がつかなくなる」と力を込め、「秀才になるための努力の仕方を教えていきます」と講義を始めます。
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まずは、佐藤は「プロと素人との違いは何だと思う?」と問いかけます。受講生たちから「素人は自分たちが面白いと思う漫才、プロはお客さんを楽しませるための漫才」「お金をかせげる稼げるかどうか」などの意見が出る中、佐藤が「俺の中でのプロと素人の違いは、ネタを作るスピード。作家として"3分のネタ1本書いて"と依頼して、5~10分で持ってきてくれる人がプロ」と口にすると、教室からどよめきが。受講生たちの反応を受け、元チャイルドマシーンで売れっ子作家の樅野太紀とのエピソードなどをあげながら「欲しいと言われた時点で用意してないとダメ。普段からネタを作り続けて、時間をかけて練り込んでるネタは、俺が3日で作ったものよりクオリティ高い。それを5~10分で出してくれるなら、そんなにありがたいことはない。そういう人と仕事がしたい」とプロとしての姿勢を指南。そして「消費する以上のスピードで作り続ける。どんな人にも対応できるようになったら、それがプロ」と常にネタをストックしておくことの重要性を説きました。
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続いて、ネタ作りについての話へ。まずは「大ボケと小ボケはウケ方の違いではない」と確認し、木に例えたイラストとともに「大ボケは木の幹。自分が何を面白いと思い、何をやりたいのかの大元。小ボケは、大ボケを活かすための枝。大ボケが活きるためのボケじゃないといけない。大ボケの邪魔になってしまうのはボケじゃなくノイズ」と新人が陥りがちな間違いを指摘。「大ボケとして面白い顔のネタをやりたいのに、ウケるからといって全裸になったりすると、面白い顔がウケなくなり大ボケの邪魔になる」と例を提示したり、大ボケを活かす小ボケを重ねていく時と、ノイズとなるボケを乱発した時のウケ方の違いをグラフを使って分析したりと、様々な形で分かりやすく説明していきます。さらに、パンクブーブーがM-1優勝を手にした陶芸家のネタを例にあげ、「メガネの小男がケンケン怒ってるのが面白いと思った」=大ボケからスタートし、「怒ってる人が言いそうな言葉に対し一声で返すボケをとにかく考えた」=小ボケを積み上げていき...と、実際にどのようにネタを作っていったかを解説。賞レースで勝つためのネタ作りにおいて大事なことを教えました。その他、笑いを積み重ねていくネタの構成、ありきたりなネタにならないためのテクニック、さらには「M-1」で優勝した年は1年間ある目的にそったネタばかりを作っていたという裏技まで伝授。結果を出したM-1チャンピオンの実践的な言葉の数々に、受講生たちは熱心に耳を傾けていました。
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一通りの講義を終えたところで、YCC生が書いた台本を元に指導を。どの台本も冒頭で設定を説明するやり取りが長く、「最初の15秒が勝負。ここまでに笑いがなかったら、ここから面白いのが来ても、もう取り戻せない」と指摘し、最初のボケまでの縮め方を指導。受講生の台本では1分近く使っていた2人の関係性の紹介も、「小学校からの知り合いだけど知らないこと多いよね」「えっと、〇〇くんだけ?」「名前は分かるだろ!」なら説明しながら笑いも取れると、実例を示しながら解説。また、多くの受講生が陥りがちなツッコミを無視したボケについては、面接のコントを例に「座ってください」と言われてボケた時「イスにだよ!」とツッコまれたら、次はイスに座ってからのボケしかないことをあげ、「ボケはツッコミの言うことをきくのがルール」と大前提を再確認。それぞれの台本の問題点をあげながら、改善策を提示し、指導しました。
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受講生たちからの質疑応答の時間も。作家としてのネタ作りについての質問には、「作家として書くのは70点でいい。残り30点は演者がキャラを乗っけて100点以上のものに仕上げるから。ネタの構成をしっかりすることを心がけ、誰がやってもそこそこウケるネタを目指す」と両者の立場でネタを作る佐藤ならではの回答を。そして最後は「継続してネタを作ること。これが一番難しいけど、それができればM-1獲れるくらいにはなれる」と激励し、講義は終了。その後も佐藤は教室に残り、受講生たちの質問に答えていました。


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この日、佐藤は小学生から高校生を対象としたジュニアコースにも参加し、アシスタントのNSC22期生のキヨイ・増田コーイチ、ゲスワット・羽羊とともに授業を行いました。
教室に入った佐藤は、「こんにちは!パンクブーブーの佐藤哲夫です」とひと際大きな声で挨拶。お笑いにおいて大事なのは、「声の大きさ。これが面白いんだと聞いている人たちに伝えること」と説明し、声を出す練習として前に立って自己紹介をすることに。まずは増田と羽羊がお手本を見せます。増田は堂々とした大きな声で「NSC22期の増田コーイチです。こんな感じでバイト先で嫌われてます」とコンパクトながら笑いも織り交ぜたコメントで、佐藤からも合格点を獲得。ところが羽羊は、声は大きいもののずっとフラフラ体が動いていたため、佐藤は「見事にダメな例。動きながらしゃべるとそっちが気になって話が入ってこない。しっかり立って堂々としゃべる」と留意点を指摘。佐藤のアドバイスを活かし、受講生たちは堂々たる大きな声で自己紹介をしました。
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続いて、漫才の基本についての説明を。佐藤が「フリ、ボケ、ツッコミ、わかる人?」と問うと、受講生たちは積極的に挙手して「フリはボケるための材料」「ボケは正論と外れたこと」など発言。佐藤はそれぞれの意見を聞きながら「フリは面白いことをするためのきっかけ。フリによってお客さんに正解が思い浮かんだところで、それじゃないことをするのがボケ。ボケの何が間違ってるか、どの部分が面白いのかをお客さんに伝えるのがツッコミ」と役割を説明します。
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基本を理解したところで「医者」という設定で、即興ネタをやってみることに。まずは、医者役の佐藤が「どうされましたか?」と問い、受講生たちが患者役でボケます。「患者は病状をいうことが正解だから、ボケは病状じゃないことを言う」とボケの基本を確認しスタート。受講生たちは「門限のばして欲しい」「交通費をいただきに来ました」など医者にいうことではないボケを繰り出し、佐藤のツッコミが炸裂します。中でも、診察室に駆け込むや否や遠くを指さし「隣の家が燃えてました」と叫ぶボケは佐藤も絶賛。身振り手振りを入れるとお客さんの視線を集めた上でボケることができるため、「ボケる前に聞いてもらえる状態を作るのが大事」と一段階進んだアドバイスを。
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続いては、受講生が提案したボケ「母がシンガーやってて、宣伝に来たんですけど」に対する、医者のツッコミを考えます。一人目は、佐藤のアドバイスを活かし身振り手振りを加え「いや、診察させろよ」とツッコミを。佐藤は「間違いではない」と前置きしながらも、これは全ボケに対してのツッコミであり「母がシンガーで宣伝に来た」というボケのツッコミではないとし、「"なんでやねん"と一緒で、何にでも使えるけど、逆に言えばボケの何が面白いかいってない」と指摘。「いや、医者じゃ広まらねえわ」「俺、広める能力ねえし。医者医者!」などツッコミの例を示しました。
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受講生たちのボケとツッコミがみるみる上達していく中、芸人として負けてられないと増田と羽羊も挑戦。患者(羽羊)が足を引きずりながら苦悶の表情で倒れ込み、医者(増田)が「どうしました」と尋ねると、患者「頭が痛いんです」、医者「頭かよ!」というボケとツッコミで爆笑をさらいます。佐藤も「100点に近い」と拍手。ただ、「意味は一緒だけど、ツッコミは「頭かよ!」より「足じゃねえのかよ!」が一番いい」とアドバイスし、言葉選びによりさらに笑いが増幅することを示しました。この後、設定を「取り調べ室」に変更してボケとツッコミを練習。実践的な指導に、受講生たちも手ごたえを感じたようでした。
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最後に、佐藤は「みんな面白い所を持ってる。お客さんの前に立った時、自信を持って、いかに伝えるか。そこを意識したら、お笑いの世界だけじゃなくいろんな世界にも通じる。自分の思ってることを誰かに使えることは、絶対に生きてくるから」との言葉を贈り、特別講座は終了しました。

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【パンクブーブー】【佐藤哲夫】