桂文枝が大阪市24区それぞれの創作落語を披露する「参地直笑 祭」、第3回を港区で開催!
"笑いの力"で市民サービスの向上、地域の活性化を目的とした「包括連携協定」を結んでいる大阪市と吉本興業。取り組みのひとつが、大阪市24区の魅力発信をお手伝いする「住みます芸人」を各区に配置していること。芸人たちは様々なイベントなどに登場し、その土地の魅力を発信すべくがんばっています。
そして桂文枝が行っているのが「参地直笑 祭(さんちちょくしょう まつり)」。これは各区の特色を盛り込んだ創作落語を24本作って披露するというもの。文枝が"地域の皆さまのもとに参上し、直に「笑い」をお届けします"という思いを込めて命名したこのイベント。7月16日(月・祝)、住之江区、大正区に続き、文枝自身が中学、高校時代を過ごしていたという港区で第3回が開催されました。
会場は、ゆめホーム「ゆめ」かなえる港区民センター。連日の猛暑にも関わらず、開演時には多くの観客が会場に詰めかけました。まずは港区住みます芸人、ガチャガチャがステージへ。まずは自己紹介、そのあと「我々を知っている人、手を上げてもらってもいいですか?」と呼びかけますが、意外に少ないため、「知らない人?」ともう一度尋ねると、上がった手の数に「多いな!」と2人。その様子に会場は笑いに包まれます。それからショートコントならぬショート小道具を披露。客席も巻き込んでのネタに、会場も盛り上がります。最後はかんちゃんが見事にけん玉を決め、拍手を浴びていました。
続いて文枝が姿を見せると、会場から大きな拍手が起こります。12歳から28歳まで港区に住んでいた、と文枝。そして今日が自身の誕生日であることを伝えると改めて大きな拍手が。誕生日にぜひ港区でやりたいということでやらせていただくと話し、「港区、何度か足を運んだんですが変わりましたね」と懐かしそうに振り返りました。
当時住んでいた住所と番地を話したあと、近所の写真店や銭湯、散髪店などがなくなっていたと文枝。「一番ショックだったのは市岡商業高校も無くなっていたこと」と、自身の母校についても言及。そして港区時代に撮影された懐かしい写真を次々と紹介します。絵に、演劇に、漫才に、恋に、落語に、様々なものに目覚めた青春時代だったと回想。写っている場所や当時の思い出、懐かしい名称などを語るたびに、会場からも「あぁ〜」と声が漏れ、地元ならではの一体感が生まれていました。
それからもレツゴー三匹のレツゴー正児、桂春蝶、横山やすしとのエピソードなどを披露。横山やすしは挨拶が怖かったそうで、それが理由で漫才をやめたと話し、笑わせます。最後には五代目文枝との2ショットも映し出され、「青春の港区で誕生日を迎え、港区で落語ができることを楽しみにしていました、それではどうぞお楽しみに」と挨拶すると、会場からは大きな拍手が起こりました。
続いては大阪府住みます芸人の「span!」が漫才を披露。若手といっても14年目と自己紹介。自分たちの出演しているTV番組についてのトークで笑いを取り、水本が肩にマコトを載せる特技も披露します。街歩きや唄遊びなどをネタに、テンポのよいしゃべりで何度も笑いを取っていました。
次は桂三幸の落語。自身も7月が誕生日で、師匠から誕生日の電話をいただいたというエピソードから住んでいる九条について、好きなスポーツのことなど様々な話をマクラに、宿題を持って帰ってきた息子と父親の噺に入ります。思った以上に難しい宿題に四苦八苦、屁理屈でなんとか切り抜けようとする父親の様子が語られるたびに、会場からは笑いが起こっていました。
いよいよ文枝の出番です。青春の地、港区で誕生日を迎えられることがうれしいと話したあと、プレゼント受付中であることを伝え、さっそくひと笑い。マクラではとにかく女性が元気だということで、いろいろな場所で出会った大阪の女性とのやりとりを話します。そのとぼけた問答が披露されるたびに会場は爆笑。そして、今回の落語を作るために、港区へ3、4度足を運んだと告白し、海遊館で見た大阪の奥様の、これまたらしさあふれるやりとりで笑いを取ったあと、本ネタへと入ります。
今回の噺、「しあわせの鉄火巻」は海遊館にもっとたくさんの人を呼びたいと思っている、港区生まれの広報課長が主人公。仕事はできそうですが、縁がなく40を超えても独身です。その広報課長が、港区の幼馴染の関係でついにいい人を見つけそうに。ですが、子供の頃からお世話になっている食堂に初めての食事に行ったところ...というストーリー。海遊館の豆知識などが織り込まれていたほか、「市岡」「繁栄商店街」「赤レンガ倉庫」「だるまや食堂」など、港区の地名やスポット名がたっぷりと盛り込まれた噺に会場は大ウケ。知っている名称が出るたびに、笑いが起こります。たっぷり笑わせ、ジンとさせ、最後はやっぱりしっかりと笑わせてくれました。
落語のあとは、筋原港区長とのトークタイムです。区長は文枝の今回の落語を聞いて「港区らしい笑いと人情にあふれた噺、笑いましたね」と語ると、会場からは拍手が起こります。それを聞いた文枝は「トバしたところがあった」と告白。「港区は戦う区や、と一番いいたかったところをトバしてしまった」と話し、「港区は戦争も一番被害を受けている、それでもみんなで力合わせて頑張った区やって言いたかったのに...忘れた」と笑うと、会場も笑いに包まれました。
それからも区長に立ち位置を指示、MCの三幸にダメ出しするなど文枝は大活躍。区長の「港区を元気にしたい」という言葉には「元気になってると思いますよ、街の様子も多少変わってきてますけど元気になってる」と太鼓判。そして誕生日プレゼントがあると区長がギターを手にすると、再び立ち位置を指示します。サプライズのケーキと花束も登場、区長が先頭になって「ハッピーバースデー」の合唱が行われました。
文枝は似顔絵の描かれたケーキのろうそくを前に「最近は肺活量が...」と笑いを誘ったあと、しっかりと火を吹き消しました。そして花束を手渡されると、会場は改めて大きな拍手に包まれます。そのあと、文枝のリクエストに応え、区長が一曲歌い上げ、イベントは終了しました。
文枝の作る大阪市24区の創作落語を聞けるこの「参地直笑 祭」。文枝曰く、次回開催は此花区とのこと。今度はどんな噺を聞かせてくれるのか、これからも「参地直笑 祭」から目が離せません。
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