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2018年11月 4日 (日)

奥山和由監督『熱狂宣言』がついに初日!南海キャンディーズ山里も「頑張ろうと思える映画」

 『GONIN』『ソナチネ』など数々の傑作を世に送りだしてきた奥山和由プロデューサーが、『クラッシュ』以来15年ぶりのメガホンをとった映画『熱狂宣言』が11月4日(日)にTOHOシネマズ 六本木ヒルズで初日を迎えました。上映前に行われた舞台あいさつには、本作主演の松村厚久さん、江角早由里プロデューサー、奥山監督、そしてMCとして南海キャンディーズの山里亮太が登壇しました。

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 映画『熱狂宣言』は、若年性パーキンソン病を抱えながらも、圧倒的な才気で会社を東証一部上場企業にまで押し上げた外食業界の風雲児・松村厚久さんの実像に迫ったドキュメンタリー作品。会場に集まった満員のお客さまを見渡した奥山監督は「TOHOシネマズ六本木ヒルズで上映させていただけること、関係者の方に感謝しております。最初はレイトショーで1回ということだったんですが、なんと朝から晩まで6回も上映していただけることになりました。皆さんも、今日、明日と、どんどんといらしていただけるよう薦めていただけたらと思います」とあいさつ。そして「以前から松村さんのことは、本やテレビなどでチラチラと拝見はしていたんですが、そういったものを見ていると、正体不明な元気をもらえるんです。この不思議さの正体を確認したくて、映画を撮り始めました。皆さんでその正体を確認していただければ」と付け加えました。

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 その話を聞いていた松村さんは「今日はありがとうございます。いい映画になりました。奥山さんに撮ってもらえてうれしいです。2年前に奥山さんが会社に来て、映画をやると言われまして。あんな有名な方がと信じられなかったですね。これは映画になるのかなと思いながらも、あれよあれよといううちに......なりました(笑)。先ほども言われていましたが、はじめはレイトで1回上映ということだったのですが、1日で6回も上映していただくということで、ありがたく思っております。今日は楽しんでください」と呼びかけます。

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 そして最後に江角プロデューサーが「足かけ約2年になりまして、ようやく初日を迎えることができました。本当に映画になるまでは、いろんな課題やトラブルがあったんですけども、このように皆さんの前で観ていただけることになりまして。感無量、うれしく思っております」とあいさつ。お客さまからの拍手を集めていました。

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 そしてその後はトークセッションを実施。司会は南海キャンディーズの山里亮太が務めます。「本編がやっと観られると思った方。まだまだ前菜は続きましたね」とジョークを交えて登場した山里は、松村さんが故郷のよさこい祭りに参加していることに感銘を受けたとのことで、「今年の夏に初めて、よさこい祭りに行きまして。祭りって世の中にたくさんありますけど、だいたいが地元の神さまを祀っているものなんです。でも、よさこいは違うんです。みんなが何を祀るのかというと、高知への愛を祀るんです。つまり自分が生まれた高知をなんとか盛り上げたいという気持ちがあって、その集大成があのよさこい祭りなんです。そこで全身全霊でやっていた、よさこいのチームが松村さんのチームでした。そこで一緒に練り歩いたんですけど、その時、高知の人たちが一緒になって"松村さん、今年も盛り上げてくれてありがとうね!"というんです。あれを目の当たりにして、この人はなんてすごい人なんだろうと。愛というものを表現するのに、こんなに素敵な人がいるんだと思って。それでなんとかお近づきになりたいと思って。いろんな力を使って、今ここに至ります」とあふれる思いを一気に語り尽くし、会場をわかせます。

 さらに「最高でしたね、今年のよさこいも金賞をとりましたしね。すごかったですね。来年も楽しみですね~」とたたみかけるなど、よさこいへの愛が止まらない山里ですが、いったんここで軌道修正。インタビュアーとして、登壇者の皆さんに質問を投げかけることにします。まずは「この映画の話が来た時はどう思いました?」という山里の質問に、「(アポイントはあったけど)本当に(会社に)来るのかなと思いました」と述懐する松村さん。その言葉を補足するように奥山監督が「あの時は不思議そうな目で、ジッと見られていましたね。でも本当は僕が行った時は松村さんとだけ会うつもりだったんですけど、社員の方10人くらいに囲まれましてね。松村さんに会ってから映画にするかどうしようか決めようと思っていたんですが、その10人の圧で、一気に映画の話が進んだということです」と説明。

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 その言葉に「それだけの人に、熱をもって支えていられているなら、いいドキュメンタリー映画が撮れるに違いないと思ったんですね」と納得した様子の山里。奥山監督も「そして何がいいって、何事も全力投球で、真っ向勝負じゃないですか。真っ向勝負のシンプルさ、そしてテレビや本などではあまり伝わってこないんですけど、この人の欠点がとにかく魅力的なんですよ。ありていに言えば女好きだし、ダジャレが全部すべるのに(構わず)言うし。余計なものが全然なくて可愛らしいんですよ」と松村さんの魅力を力説。その言葉を聞いた松村さんも「もう奥山さんのおっしゃる通りですよ。正解ですね」と深くうなずいていました。

 本作を鑑賞した山里は「あそこまでさらけ出していいのだろうか、というくらいにいろんな松村さんの表情を見せていた」と驚きを隠せない様子。「それに対して抵抗はなかったんですか?」と松村さんに質問をぶつけますが、当の松村さんは「タブーはないですね。普段からそういうのはまったく構わないんですよ」とまったく意に介していない様子。奥山監督も「最初にタブーなしでいいですねと聞いたら、タブーはまったくありませんと言っていただいたので。それなら傑作が撮れるかなと思ったんです」とその意見に同意します。


 「実際にこの映画を観てもらうと、この話に納得していただけると思います。タブーがあったら上映出来ない映像が出てきますからね」としみじみ付け加える山里に対して、江角プロデューサーも「そういうことは相当ありましたし、使われていない映像でも、着替えのシーンから病院のシーンまで。相当撮っているんですけど、すべて撮って構わないと言っていただいた。その意味ではクリエイティブを重要視されるというか。奥山さんからもやりやすかったとおっしゃっていただきました」。

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 劇中では、松村さんが徳永英明さんの「レイニーブルー」を歌うシーンが登場しますが、「あの歌の下手くそさったらね」と笑う奥山監督。山里も「詳しくは言えないですが、今のキーワードを聞いて本編を観ていただけると、これかと思っていただけると思いますよ。なかなか個性的な『レイニーブルー』が出てきますからね」とお客さまの期待をあおります。松村さん自身、「あれ以来歌っていない」そうですが、奥山監督によると、「タブーはなかったですけど、唯一言ったのが『レイニーブルー』を入れ替えてくれないか、ということ。今度はうまく歌うから、ということだったんですよね」と明かし、会場は大笑い。そして山里が「これだけ『レイニーブルー』という単語を出てくるとワクワクするでしょ。でも歌に行きつくまでがめちゃくちゃいいところなんです。初めて観ると、あの歌がすごく染みるんですよ」と見どころを紹介しました。

 そして松村さんの会社の広報として、さらに本作プロデューサーとして松村さんを支えてきた江角プロデューサーには「松村さんってどんな人なんですか?」と質問。それに対して江角プロデューサーは「映画の許諾で、このシーンが使えるか使えないかという部分で、たくさんの課題があったんですが、そのたびに社長に相談をするんです。もちろんすぐに解決しない問題もあるんですが、真摯にそうかそうかと話を聞いてくださって。そしてわたしが悩んで疲れている時は、『社長室にアイスがあるから持ってきて。俺の分も一緒にね』と言って。アイスを一緒に食べながら相談したりして、本当に支えてもらいましたね。社長は、女性には怒らないんですよ」と明かします。

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 しかし、その答えの中にあった「女性には怒らない」というキーワードに鋭く反応した山里は、「そうなると男性には怒ると捉えていいんですか?」と質問。すると松村さんが「そりゃ怒りますよ」と即答し会場は大笑い。「もともと女性にモテたくて起業したのに、女性に嫌われたら元も子もない」と語る松村さんに、山里も思わず「めちゃくちゃ軟派な男じゃないですか。でもそれも映画を観ると納得しますよね」と笑顔。さらに江角プロデューサーが「こんなにフェミニストな社長はいないと思います」と続けると、奥山監督も「病気によっていろいろな価値観をそぎ落とされて、こんなにさわやかな笑顔になったわけですよね。この映画でも一番意識したのが笑顔ですね。こんな歳なのに、彼の笑顔が異常にかわいいんですよ。それはモテますよ。だいたいが会社の社長のドキュメンタリーなんていやらしいじゃないですか、ヨイショ映画になっちゃう。でも真っ向からヨイショにならない映画を撮ろうということで、ありのままを撮りました」。

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 映画を通じて松村さんに触れた山里は、「松村さんと一緒にいると自然と頑張ることができるというか。呼吸をするように頑張ろうとさせる人ですね。だから何かに向けて頑張ろうという人たちにこの映画を観てもらいたい。ドーピング的に頑張れるというか、いつの間にか、頑張らないといけないという空気にさせられてしまうんですよね」としみじみ。「本当に不思議ですよね」という奥山監督も「そのまんまの松村さんを撮ろうと思ったんですよ。この映画にパーキンソン病の説明を入れてくれとか、仕事はどう成功したかといった解説が必要だという方もいらっしゃった。病気になる前の姿も入れるべきだろうとも言われました。確かに元気だった時の資料はいっぱいあるんです。でもそれは面白くないんですね。それは不思議ですよ。パーキンソン病にかかってからの方が、すごく魅力的なんです。ですから、この映画を通じて、その正体を観ていただきたいと思います」と会場に呼びかけました。