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2018年11月 6日 (火)

「これからも一生懸命コツコツと、皆さんに愛を届けたい!」歌にトークに新喜劇と笑って泣いた仙堂花歩20周年記念公演

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11月4日(日)、大阪・なんばのイエスシアターで、元宝塚歌劇団で現在はミュージカルや音楽、また堺少女歌劇団のクリエイティブプロデューサーとして活躍する仙堂花歩の20周年記念公演が行われました。

満員のお客様に迎えられた本公演、オープニングから中島岳バンドの皆さんの迫力ある生演奏で盛り上がり、歌とダンスによるレビューのような華やかさで幕が開きました。仙堂もドレスからタイトなミニスカートへと衣裳を着替えるなど、様々な表情で魅了しました。

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「このたびは仙堂花歩の20周年にお越しくださってありがとうございました。このような機会を与えてくださったのも皆様のおかげです。今日は20年間の感謝を込めて精一杯、務めさせていただきます」とご挨拶しました。

まずは仙堂の年表から振り返りました。優しい父と元タカラジェンヌの美しい母のもとに生まれた仙堂。「母の芸名を知るのは宝塚に入ってからで、全然知りませんでした。私は母のようになりたくて、母のようになるために宝塚を目指しました。だから、幼稚園の頃からタカラジェンヌになりたいと言っていました」と、憧れは母親だったと話します。そして1989年、9歳でミュージカ『レ・ミゼラブル』のコゼット役に抜擢されます。日本舞踊や歌を習っていたことも彼女の魅力の一つとして、すでに花開いていたのでした。宝塚音楽学校では首席卒業、卒業時には小林一三賞・花柳禄寿賞をW受賞と、こちらは宝塚歴代初の快挙でした。宝塚歌劇では宙組『シトラスの風』で初舞台を踏み、花組や星組の娘役として大活躍。2005年、『長崎しぐれ坂/ソウルオブシバ』で退団後、「笑いの世界である吉本新喜劇」に入団し、周囲を驚かせました。

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MCのスーパーマラドーナは、仙堂の華々しい活躍に舌を巻き、どのようにしてトップを走り続けたのかと質問。「レッスンをたくさんしました。みんなが寝ている時間もレッスンにあてていました」と仙堂。とにかく努力したと続ける仙堂に、「一流になるには、努力の積み重ねなんですね...」と感心しきった様子で言葉をかみしめていました。子どもの頃はいつも兄が守ってくれていたこと、まさかの電撃入団であった吉本新喜劇入団のオーディションでの裏話などでも盛り上がりました。

中島岳バンドの演奏に乗せて、再び音楽のショーへ。スペシャルゲストで、元宝塚歌劇団トップスターの北翔海莉さんが登場すると会場は大歓声に包まれました。仙堂と同期の北翔さん、お互いを「麻衣ちゃん(仙堂)」「みっちゃん(北翔さん)」を呼び合う中です。北翔さんは「同期の麻衣ちゃんは宝塚音楽学校時代に大親友になって、2年間ずっと一緒にいました。なかなかステージの上を動けなかった私を、麻衣ちゃんが一つ一つ、教えてくくれたんです」と思い出を語られました。「私たちは宝塚でも所属する組が違っていたので共演することがなくて。やっと夢が叶いました。でもこの時間が最後と思うと...。昼の部では感極まって涙が込み上げたのですが、夜の部は頑張ります」と仙堂。早くも声を詰まらせながらも、「今日は大切な時間をみっちゃんと過ごしたいと思います!」と意気込みました。

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北翔さんのソロをたっぷりと堪能した『サークルオブライフ』をはじめ、北翔さんがロミオに、仙堂がジュリエットになっての『エメ』では、ミュージカル本編の世界観が立ち上ってくるような臨場感があり、贅沢な時間を過ごせました。『あなたと夜と音楽と』では、二人の優雅でのびやかなダンスがさらに会場をゴージャスな雰囲気に包み込み、今日が特別な夜であることを改めて物語っていました。「20年間の夢が叶って感無量です。20周年公演で何がしたい?と聞かれて、みっちゃんと一緒に出させてくださいとお願いしたんです。そしたら実現できて。お稽古中もずっと話が尽きなくて...」と楽しそうに語る仙堂。北翔さんも音楽学校時代からの仙堂とのエピソードを明かされ、「私が20年続けて来られたのも、ステージでの土台を教えてくれたのが仙堂花歩さんだったからです」と語られました。

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続いては『吉本新喜劇』です。よしもと財閥のお嬢様・カホリーヌ役で登場した仙堂。社会勉強として屋台のうどん屋で働くことになったカホリーヌが、執事の吉田(吉田裕)やうどん屋店主の伊賀(伊賀健二)、その娘の藍(酒井藍)など、強烈な個性の持ち主らに囲まれて、騒動に巻き込まれるドタバタコメディを披露しました。

ゴリラのモノマネが得意な森田まりこと共にゴリラの動きをまねたり、島田珠代のはちゃめちゃキャラをそっくり演じてみたりと、それまでの仙堂とは思えないコメディエンヌぶりを発揮。また、スペシャルゲストに北翔さんも婦人警官役でご出演。驚きの扮装に加えて、ふたりのユーモアたっぷりのセリフやアクションに、会場は割れんばかりの歓声が飛び交いました。吉本新喜劇を終えて仙堂は「やっぱり新喜劇は生キズが絶えませんね」と思い出したように話します。出演は5、6年ぶり。ちゃんとできるか心配だったそうですが、お客様からの声援にほっとした様子でした。また、北翔さんのご活躍ぶりにも声を弾ませ「あそこまでやってくれるとは思わなかった!」と感激していました。

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20周年特別公演はまだまだ続きます。トークコーナー「ココが変だよ!仙堂花歩!」を。出演者に仙堂花歩へのアンケートを取ったところ、おかしなエピソードが次々と飛び出してきたため、コーナー化したとか。吉本新喜劇からも証言者として前田真希、山本奈臣美、吉田裕が登場、また、中島岳バンドのリーダーであり仙堂の夫でもある中島岳さんや、亜聖樹さん、SHIHOさんらが登場し、仙堂の天然エピソードを明かしました。前田は「ファッションセンスがすごい!」と、普段着からステージ衣装のようだと話します。その流れで、吉田がかつて吉本新喜劇の稽古で目撃した衝撃の場面も暴露し、早くも騒然となりました。SHIHOさんは「ダンスは完璧なのに...」。歌もダンスも完璧な仙堂ですが、ステージから舞台袖へ移動するときにペンギンみたいな動きだと紹介。実演してもらうと一同口をそろえて「確かに...」。仙堂は「20周年を機に"出ハケ"をがんばります!」と気合を入れました。最後は亜聖樹さん。「普段と違って...」と仙堂のもう一つ横顔を。普段はとても可憐で清楚でおしとやかな仙堂ですが、いざ生徒へ指導となるととても厳しくなるとか。それでも、指導の後には「言い過ぎたかな...」と心配し続けてもいるそう。「舞台で活躍したいという夢を持っている子どもたちの人生を任せられているので、一緒に戦っているつもりでつい、厳しく言ってしまうんです」と仙堂。スーパーマラドーナ・田中を生徒役にして、お客様にもその厳しさを体感してもらいました。

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いよいよクライマックスへ。仙堂のナレーションで改めてこれまでの歩みを紹介しました。そして最愛の父が「麻衣の『アメイジング・グレイス』は最高やな」といつも褒めてくれたこと、そんな父が病と闘っているさなか、耳元でこの歌を歌い続けて励ましながらも残念ながら力及ばず、悲しい別れを迎えてしまったこと。それから歌えなくなったこと...。「今、20周年を迎えて、前に進んでいること、幸せでいること父に伝えたい」と、様々な思いを胸に『アメイジング・グレイス』を披露しました。仙堂のアカペラから始まり、徐々に荘厳な世界を作り上げていきます。純潔で喜びや悲しみを讃えた仙堂の歌声は時に神聖で、時に慈悲深く、静かな祈りも込められていました。たくさんの経験を乗り越えたからこそ迎えられた20周年という一日。少女だった仙堂はいつのまにか凛とした芯の強さを持つ女性へと成長を遂げ、慈愛と強さを併せ持った表情を浮かべていました。『陵の丘に咲く花』では、客席を歩きながらお客様一人一人のお顔を見つめながら歌う仙堂。声を詰まらせて歌えない場面もありました。

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歌い終わると「今日は本当にありがとうございました」と深々と頭を下げ、涙がこらえらえません。「どうしてみんなこんなに私のことを温かく支えてくださるのだろうって、いつもみんなが支えてくれて、私は本当に皆様に恩返しができているのかと思い続ける20年でした。私は、舞台人はお客様に育てていただくものだと教わりました。観に来てくださる方々がいなければ、舞台は務められません。皆様の拍手と笑顔が私たちの元気の源です。これからも歌い続けていきたいと思います!」と感極まった様子でご挨拶を。スペシャルゲストの北翔さんを再び舞台に招き『ホール・ニュー・ワールド』をデュエットで魅了し、最後は「心をこめて歌います」とオリジナルソング『素直なままで』を披露しました。

閉幕を惜しむ拍手に包まれる中、「これからも一生懸命コツコツと、皆さんに愛を届けたいと思います!」と仙堂。アンコールでは「夢にまで見た20周年で、プレッシャーがすごくて本番でも口紅が塗れませんでした。そしたらみっちゃん(北翔さん)が大丈夫、大丈夫、上手にやらなくていいんだよと楽屋で声をかけてくれて、皆さまに本当に助けられました。こんな私ですが、舞台に立ったらしっかりします! これからも、未来のスターたちを生み出すために頑張ります!」と最後は大輪の花のような笑顔を見せ、幕を閉じました。

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