なりすましが出現?!「G(芸人)‐RAP韻KAGETSU~芸人ラップするってよ~」
11月17日(土)、よしもと沖縄花月で「G(芸人)‐RAP韻KAGETSU~芸人ラップするってよ~」が行われました。
この公演は沖縄よしもと芸人達が自由にラップで表現を楽しむスタイルで、今回で10回目を迎える人気企画です。
MCを務めるのはピーチキャッスル真栄城。なぜか真ん中に人が座らず、外側から人が埋まり、何かをぐるりと取り囲んだように着席している会場に向かい「おや?みなさんいい距離感ですね~」と早速ツッコミを行います。
その後今夜のラッパー、オーシャンりょうじ、さきはまっくす、ぐりんのーとA16らが登壇したのですが、そこでひと悶着。芸人ラップ企画の要とも言える、魁バーバリアンの砂川が外れており、新人のマッハ松島が代わりに入っていたり、着物を着てありんくりん比嘉になりすましたシーマン當眞がしれっと座っていたりと、今までの芸人ラップ企画と様子が違うのです。真栄城が「俺が前回休んでる間に何があった?!」とラッパーのみんなを詰問し、ラッパーのリーダーを務めるA16が「砂川はオーディションで松島に敗れた」と、実は松島がラップ甲子園に出るほどの実力の持ち主であることを話します。驚く真栄城。また、シーマン當眞に「何でお前がここにいる!」と聞くと、周り全員が「何言ってるんですか、比嘉さんですよ」とフォロー。しかし真栄城は「じゃぁ方言でしゃべってみろ!」とたたみかけます。さすがに挙動不審になり「大丈夫、途中からしゃきっとするから」と言い訳をするシーマン當眞に、「初めからしゃきいとせい!!」と真栄城の鋭いツッコミが飛び、会場は笑いに包まれました。
自己紹介が終わり、1つめのコーナー「ラッパーズトーク」がスタート。普段の出来事をラッパーらしくクールに話す、というのがコンセプトのはずなのですが、A16と松島がラップ甲子園に出場したとき、あまりにも有名なMCが出場していたので恐怖を紛らわせるためにお酒を飲んだら本番でグダグダになってしまった話や、りょうじのイオンモールライカムでムカデに出会った話など、クールとは程遠い内容。しかも、普段はオチ役の比嘉がおらず、代理のシーマン當眞が話すも、やはりグダグダのままトークが終了。真栄城は「琉球一面白い(ありんくりん比嘉の常套句)って言ってるのに面白くないじゃん!」と怒りますが、周りが「いやいや、比嘉さんにもそんな事がありますよ」とフォロー。相変わらずなりすましが続きます。
2つめのコーナーは「勝手にHipHop」。有名な歌の歌詞をラップで歌い、もとの歌を当てる、というものです。
出題者はA16。しかし1問目からあまりにもラップのレベルが高く、1回目ではステージ上も会場も全くわからない様子。「それじゃぁちょっとゆっくりめに歌いますね」とトーンを落として、やっとシーマン當眞が「ユーミンの『ルージュの伝言』」と正解を引き出します。そこでりょうじが「今日本人にご登場・・・」とボケをかまし、壇上の全員が一旦キョロキョロしたのですが、真栄城の「本物のユーミンが出演したら、ギャラでこの劇場つぶれるわ!」とツッコミ。会場から笑いを引き出します。
2問目は、歌う前にりょうじがボケで言ったつもりの「星野源の『恋』」がまさかの正解。出題の順番に悩み、「シャレにならないからやめてくれない?」と困惑するA16に向かい、りょうじは「うん、俺もうしゃべんない」としばらく沈黙を約束します。
3問目はだんだんスピードを落として歌ってもなかなか正解が出ず、3回目の歌のあと、会場から「桑田佳祐の『波乗りジョニー』」と正解が出て一安心。別の曲と勘違いしていた芸人達は目からウロコの様子でした。
続くコーナーは「MCバトル」。指名されたラッパー二人が8小節の2ターンで即興のラップを行い、その技を競うものです。
初戦はA16VS松島と、いきなりのハイレベル。しかもA16の「俺、前回松島に負けたんすよ」の言葉に、前回休んでいた真栄城は「え?!A16、県内で活躍してる本業のMCさんとバトルしても遜色ないレベルなのに!!」と驚きを隠せない様子。リベンジをかけて先攻A16、後攻松島のバトルが始まります。芸人ラッパーズリーダーとしての意地を歌詞に込めたA16に、下克上を狙ったフレーズを返す松島。歌い終わった後、真栄城が「上手すぎて引くわ~」と思わず一言もらすほど白熱したバトルでしたが、客席の判断はA16。見事リーダーとしてのプライドを守り抜きます。
ところが、2戦目の挑戦者を選んでいる最中に「生ぬるいライブしてるんじゃねーよ」と不穏な声が響きます。声の主を探そうとあちこち捜索する芸人達。そんな中「俺が本物のアツいライブを届けてやんよ」と魁バーバリアン砂川がステージに乱入してきたのですが、ここで全員「砂川が小さすぎて見つけられない」ボケに突入。ステージ中央にまで移動している砂川に向かって「誰~?」「どこにいるわけ~」「見えないけど~?」とキョロキョロし続けます。「じゃぁみんな中央に集まってみろ!ステージのここを見ろ!」とのツッコミで、どうにか自分の存在を気付かせることに成功した砂川。やっと会話ができるようになったので、まずはシーマン當眞に「お前誰だよ!」と質問。しかし真栄城のときと同じように、周りが「何言ってるんですか、比嘉さんでしょ」とフォローし、シーマン當眞も「琉球一面白い比嘉りゅうたです」と返事。また、比嘉の動作だけに使われる三線の効果音も発動し、「ね、誰がどう見ても比嘉さんでしょ」と、うやむやにされてしまいます。
主要メンバーだったはずなのに今回の公演から外され、さらにいつの間にかメンバーが変わっていることに怒り心頭の砂川。「これから5番勝負をして、俺が勝ったらお前らつぶしてやんよ!」と粋がりますが、逆に「じゃぁ俺達が勝ったらもっとつぶすからな。車上げるジャッキみたいに」とりょうじに返り討ちにされます。
砂川劣勢の中始められた5番勝負の1番目は腕相撲。「なんでラップで勝負しない?」とみんながいぶかしがりますが、砂川は「マイクが重かったら満足なパフォーマンスができないだろ!」と無理やり主張を通し、松島と対戦。見事砂川が一勝を収めます。
続く2番目は大喜利。「ラップは面白い韻をふまないとダメだろ」の主張のもと対戦が始まりますが、実は芸人ラップのメンバーは砂川をはじめ、全員大喜利が苦手。お互い苦しみながらもりょうじが勝利しました。
3番目はストリートファイト。ここでケンカ勝負?それともストリートライブでの人気バトル?などの憶測をよそに、砂川がステージに持ち込んだのはスーパーファミコン。「これでストリートファイター2の勝負をする!」と宣言し、対戦相手にA16を選びます。仲間内ではゲームが上手いと言われるA16ですが、「僕まだ24歳なんで、スーファミ知らないんですよね」の爆弾発言。世代的にスーファミ慣れしている砂川が勝利を収めます。
4番目はボーカル勝負。GReeeeNの「キセキ」をさきはまっくすと歌い合いますが、後攻のさきはまっくすが歌っている最中に比嘉が乱入。「上手かったね~!」「本人が登場したかと思った!」の絶賛を受け、さきはまっくすと比嘉が勝利をさらいます。
5番目は最終戦ということで、真打の比嘉を対戦相手にラップバトル。ところが対戦ボードに出てきたのは全く違う写真。比嘉は「あ、これ俺の七五三のときの写真です~」と、客席に爆笑を生み出していました。その後MCバトルと同じ要領で8小節の2ターンで即興のラップを行ったのですが、ラップが苦手な比嘉は言葉尻に「ライス」がつく料理を羅列したり、砂川に「パス!」と言って自分のターンなのに相手に歌わせたりと自由すぎるスタイル。しかしそこが最上にクールと判断され、比嘉が勝利を収め、5番勝負は3対2でラッパーズチームの勝利となりました。
「それでも俺はチームに入りたい!」と懇願する砂川に、「入れてあげましょうよ」と後押しする松島。そこで比嘉が「そういえば、やー(お前)誰か?」と松島に声をかけ、またもや会場から笑いを奪っていました。
砂川のチーム入りが決まったところで、最後に全員でG‐RAPスペシャルライブを披露。NOMIKAIに続き、IRUMINE、SHIPPAIの新曲2曲を堂々と歌い上げました。
公演後、今まで発表してきた曲を含めた全5曲入りのCDが観客に無料配布され、ロビーではお目当ての芸人と一緒に写真を撮ったりして楽しむ人の列が続き、和気あいあいとした雰囲気の中、この日の公演は幕を閉じました。