よしもとニュースセンター

桂きん枝が四代 桂小文枝を襲名する披露公演が、来年3月12日（火）、なんばグランド花月にて開催されることが決定しました。これにともない、きん枝自ら公演の概要を発表すべく、記者会見を実施。上方落語の継承と発展に貢献した先人を顕彰する境内社「高坐招魂社」で、襲名への決意や公演に込める思いなどを語りました。



冒頭、きん枝は「いよいよ来年春、3月に小文枝襲名ということになりまして、いろいろと準備のほうもあるようでございますけども、粛々とやっていきたいと思っております」と挨拶。続いて襲名披露公演について、「3月12日は師匠（三代目桂小文枝・五代目桂文枝）のご命日。（襲名の）記者会見もその日にさせていただきましたし、襲名興行のほうもこの日に」と説明し、会場がなんばグランド花月であることや、料金が記念品付き8000円となることなども発表しました。



口上には、東西からきん枝にゆかりのある噺家たちがズラリ。「まずは私の大好きなざこば兄ちゃん（桂ざこばさん）。動楽亭で先日、出番が一緒でしたが、もう落語もしっかりとなさっておりましたので、大丈夫であろうということで...。そして、去年、四代目になられた春団治兄ちゃん（桂春団治さん）。東京からは、東京で仲がいいというのはこの方以外にいてませんので、三遊亭円楽さん」と名前を挙げていきます。さらに、兄弟子である六代 桂文枝、盟友・月亭八方、一門から桂文珍、上方落語協会会長・笑福亭仁智が顔を揃え、口上の司会は桂坊枝が務めます。

続く質疑応答で、「亡き師匠へどのように報告するか」ときかれたきん枝は、「もし元気にされていたら、反対されるんちゃうかな。『きん枝、お前か〜。誰かほかにおらんのか〜』みたいな（笑）」と笑わせつつ、「まあ、どこかで喜んでいただけたらええかなとは思っております」とニッコリ。目標とする"小文枝像"についても、「襲名なさった方にいろいろ聞いてみたが、襲名しても人間自体は変わらないわけですからね。あまり深く考えない質ですし、流れるように生きていきたいというのが私の信条ですので（笑）、何年か経ったときに『あ、こんなふうになればええんかな』という形ができれば」と、あくまで自然体を貫きます。



50年名乗ってきた"きん枝"の名前ともお別れということで、「かつて師匠が、ある高名なお坊さんから『この名前は浮き沈みの多い名前や』と言われたらしい（笑）。でも、ひらがなの名前と言うのは少ないし、『色気があってええ名前やなあ』とよく言われた」としみじみ。一方で、小文枝という名前については「文枝も大事ですが、一門の人間には小文枝のほうがすごく親しみもあるし、大事にしてきた名前」と語り、「未だに（桂）小枝は舞台上で『反対です』と言うてますけど（笑）、誰かが継がんことには」と表情を引き締めます。「（師匠の）奥さまからは『（自分が）生きてる間にがんばってやりや！』という言葉をちょうだいした」そうで、自身も「"小"がつくと非常にやわらかい印象になる。非常にしっくりとくるいい名前」と話すなど、襲名への決意を新たにしている様子でした。

また「当日の演目は？」ときかれると、「すごいメンバーが出はりますので、私ひとりで30分、40分は取れないと思う。いちばん最後に出る私は、たぶん時間調節」と回答。「前がどんどん押してきて、21時20分に高座に上がるなら、あと10分しかないわけですからね。そこから長くできないでしょうし...いま考えている最中ですね」と続けて笑いを誘いました。



「襲名について子どもたちの反応は？」との問いには、「何も知らんでしょうね。うちの子どもは漫才が好きで、落語に関することはいっさい知らない。説明してもわからんのちゃうかなあ」ときん枝。さらに「落語会をやっても、あんまり見に来ませんしね。嫁も来えへんしね（笑）」とボケてみせるなど、最後まで笑いの絶えない会見となりました。



【桂きん枝】