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2018年12月30日 (日)

次長課長・河本、麒麟・田村、住みますアジア芸人が新しいかたちのコミュニケーションを学ぶ! 『未来言語×よしもと「次長課長 河本&麒麟 田村とつくる、笑いの未来言語」』レポート

12月29日(土)、東京・100BANCHにて『未来言語×よしもと「次長課長 河本&麒麟 田村とつくる、笑いの未来言語」』が開催され、次長課長・河本準一、麒麟・田村裕、住みますアジア芸人のアーキー、緑川まり、ダブルウィッシュ、KLきんじょー、ザ・スリー、黄金時代、タイガース、アキラ・コンチネンタル・フィーバー、そこらへん元気、手話できます芸人としてカエルサークル・ソイくんが出演しました。

こちらは、参加型ゲームを通じてコミュニケーションについて学ぶ新感覚なイベント。本日、よしもととコラボレーションする未来言語は、多様なバッググラウンドを持つメンバーによるコミュニケーションの実験プロジェクトで、ワークショップを始めとしたさまざまな実験を通して100年先のコミュニケーションを創造しています。こお未来言語からはNIHONGOの代表・永野将司さん、MUKUの代表・松田崇弥さん、IGENGO Lab.のリーダー・菊永ふみさん、Braille Neue創立者兼デザイナーの高橋鴻介さんが参加しました。
なお、会場となった100BANCHは、パナソニック、ロフトワーク、カフェ・カンパニーで運営している35歳未満の野心的でエネルギーを持つ人たちが新しい未来をつくるためのさまざまなプロジェクトをつくっている場所。弊社所属芸人のロカカカ・さんきゅう倉田は元国税局員であることを活かして、子供の税金に対するリテラシーをあげるプロジェクトや税金を簡単に学べるためのボードゲームの開発などを行なっているそうです。

MCを務めるのは、タケトと未来言語共同創案者で100BANCHの河カタソウさん。タケトは「ワークショップっていうと固い感じになりそうですけど、今日は楽しんで帰っていただければと思います」と参加者に呼びかけました。
河本は「芸人なのでコミュニケーションは取っているほうだが、喋ってばかりなので、今回はどんなコミュニケーションが取れるのか楽しみです」とコメント。京都でIGENGO Lab.による異言語脱出ゲームに参加したという田村は、「吹田市の番組内で手話コーナーがあって勉強しているので、異言語に触れ合うのが楽しみ」と挨拶して、手話で自己紹介。見守っていた河本が「私の名前は田村ですって言うてたけど、喋ってやってもよかったよな」と呟くと、ドッと笑いが起こりました。
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その後、9つのテーブルに芸人それぞれが着席して、ワークショップはスタートします。
1つのテーブルを2つに分けた18チームが、それぞれ「みえない」「きこえない」「はなせない」に分かれて、まずはプロジェクトメンバーがしりとりに挑戦。「みえない」人が口頭でワードを伝えるも、「きこえない」人はわからないため、「みえない」人と「はなせない」人が協力してジェスチャーで伝えるなど、コミュニケーションを取るための工夫が必要なこのゲーム。河カタさんは「協力しないとできないんです」と説明します。
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フェーズ1として、自己紹介に挑戦。トリオのため、1人余ってしまったザ・スリーの浦は、タケトともにMCを担当します。
河本は「見えない人には言葉で伝えられて、聞こえない人には筆談で伝えられるんですけど、喋れない人に伝えてあっているかどうかを判断するのが難しかった」と気づいた点について言及。「けど、5人全員が手をぎゅっと握ることで伝えることができた。何も言ってないのに、僕のチームの5人はそういうことができたから、この5人で何かやりたいなと思いました」と興奮気味に語ります。
田村は「喋れない人、見えない人、話せない人、それぞれでは大変なところもあるけど、全員が揃うと伝えることができる。補い合えばコミュニケーションが取れるということは、人生が楽しいなと思える発見。みんなで力を合わせることの大切さを感じました」と笑顔で感想を語ります。
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フェーズ2は「芸人のボケにツッコもう」。お題に対して、それぞれが「みえない」「きこえない」「はなせない」というルールを守って答え、最後に芸人がボケたワードに対して「なんでやねん!」とツッコんで終わろうというもの。河カタさんが「ここからは筆談禁止です」と告げると、参加者から戸惑いの声が挙がりました。
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この結果を踏まえてそれぞれが考えたルールを用いて、フェーズ3に挑戦。このゲームでジョーカーに選ばれた人には、「みえない」「きこえない」「はなせない」全てが適用。その状態で、メンバー全員がサポートして、お題となっている名詞を当てます。1問目の「野球」は2組を除いて正解。2本目の「焼き鳥を食べる」は動作が加わったためか、間違えが続出しました。
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最後は、「未来言語大喜利」に、河本、田村、アキラ、緑川が挑戦。全員がジョーカーの状態で、芸人それぞれの答えを何かしらの手段を使って参加者それぞれに伝えて発表するというものです。
制限時間3分間の中、早々と伝え終えた河本とパートナーは手を握り合ってなぜか静止。何度もわからないというジェスチャーをされながらも表現の方法を変えない田村に、タケトは「変えろよ!」とツッコみます。結果、緑川チームがビンゴ!「目が見えない状況だと、相手に触られるのが怖い。だから、自分の顔に相手の手を持ってきて触ってもらうようにしました」と女性らしい気遣いを見せた緑川。解釈の違いで不正解となってしまった河本は「名詞はすぐいけたけど、動作が入ると急にわからなくなる。今回も家というのは伝えられたけど、それが何を指すかまで伝えるのは難しかった」と反省しました。
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休憩を挟んでのち、芸人とプロジェクトメンバーによるトークセッションが行われました。
ワークショップの感想を訊かれた河本は「何もしなくても伝わるという当たり前に慣れすぎているなと感じた。人のことを思って伝えることが大事やなと。雑に伝えて、相手を不快な気持ちにさせているかもしれないということを学べました」とコメント。アキラが「3分もあったのに伝えきれなかったということは、緊急時に大事なことを伝えることができないということ。笑いと同じで、コミュニケーションには無駄をはぶくことが大事なんじゃないかなと思いました」と語ると、河カタさんは「そういう無駄をノイズと呼んでいるんですけど、いかにノイズを減らすかという議題は僕らの中でもよく出ています」と同調します。
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ジェスチャーで伝えるにしても、文化が違えば異なるのは当然のこと。日本人の場合、お茶碗を片手で持ってお箸で口に運ぶしぐさで表現されますが、インドネシアは手で食べる習慣が。マレーシアに住んでいるKLきんじょーが「お金の数え方も違う」と言えば、フィリピン住みます芸人の黄金時代・田中が「チェック(会計)はこうです」と現地で通じるジェスチャーを見せるなど、文化の違いに参加者たちからは驚きの声が挙がります。
ミャンマー住みます芸人のアーキーは「ジョーカーが女性で、体を触って伝えなきゃいけないことがあったんですけど、男性陣はぼーっと見ておくしかなかった」と、セクハラとの境界線へ戸惑いも。これについて、河カタさんは「僕らもこの問題で悩んだこともありましたけど、やり続けると結果的に身体接触がいちばん伝わりやすいとわかった」とコメントしました。
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その後、言葉の伝わらない国や地域で暮らす住みますアジア芸人たちが、現地での体験エピソードを報告します。
ショートコント「◯◯」が伝わらないというのは、ダブルウィッシュ・中川。「日本人なら想像してくれるけど、ベトナムでは実際に机や衣装がないと伝わりません」(中川)「医者のショートコントをやっても、実際にお医者さんいないじゃんってなっちゃうんです」(井手)と話すと、「僕はアメリカに2年間住んでいたんですけど、日本人はここが宇宙船ですって言えばその世界観に入り込めるけど、アメリカだと普通のイベント会場じゃないですかってなってしまう。日本はマイノリティなんですよね」と河カタさん。ダブルウィッシュはコントの際、目ではっきりと伝えるように心がけているそうです。
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インドネシアでも似たようなことがあったようで、ツッコミが理解されなかったと切り出したのは、ザ・スリーの山口。「浦に僕ら2人がツッコまれると、なんで自由にさせてもらえないんだと言われるし、浦はなんでボケを止めるんだと言われるんです」と、笑いのツボの違いについて触れます。
「日本だとゴムパッチンで3、2、1ってカウントしているとき、2で手を離して痛がると笑いが起こりますけど、インドネシアでは通じません。かわいそうだろ、ちゃんと練習してるのかって真剣に説教されます」と浦。浜田が「そのせいで、浦は一時期、めちゃくちゃ嫌われてた」と話すと、ドッと笑いが起こります。
さまざまな試行錯誤を経て行き着いたリズムネタは、YouTubeで1600万回再生を記録。ザ・スリーは今やインドネシアでCMにも出演するほど人気者。マレーシア住みます芸人のタイガー・阿部が「ザ・スリーがうまくいってるので、よしもとの社員さんにあのまんまやれって言われた」と暴露。ダブルウィッシュも似たようなあるあるリズムネタをしていると明かすと、タケトは「その国々で(ザ・スリーを真似て)リズムネタをやればいいんじゃない?」と提案します。
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河カタさんが、ろう者である菊永さんに「彼らのリズムネタは伝わりますか?」と質問。参加したろう者の方から「面白かった」との意見もありましたが、菊永さんは「個人差があるのかなと思います。私は申し訳ないんですけど、よくわからないんです」と率直に。多民族国家のマレーシアで「サッカーの試合でゴールを決めた時の日本人とマレーシア人の違いをやるとウケた」と話したKLきんじょーが実際にネタを披露すると、菊永さんにも伝わったようで「面白かった」と笑います。
黄金時代・田中は「わかりやすいボケとして、日本には雪があります。フィリピンには洪水がありますって言うと、向こうではすごくウケるんですけど、お客さんが僕らよりさっきに『フィリピンには洪水があるぞ!』と言ってしまうから、言わないで......ってなっちゃうんです」と話しました。
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住みますアジア芸人たちのエピソードを聞いて、「音はドリフターズさんが使っていた。それが30年前の話」と話し始めた河本。「今の日本のお笑いは言葉が多くてどんどんレベルも上がっているけど、アジアにいくとその感じは伝わりにくい。フィリピンの話じゃないけど、僕らも『志村うしろ!』って志村さんに教えてた。あの頃の現象は、今のアジアの反応と一緒よね」と分析すると、タケトは「みなさん、ドリフターズを観なさい!」と声をかけました。
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