東京では35年ぶりとなる単独ライブで27年後の元気な姿も! 『ザ・ぼんち 三都市ライブ~日本一元気な漫才~』レポート
3月12日(土)、東京・ルミネtheよしもとにて、ザ・ぼんちの単独ライブ『ザ・ぼんち 三都市ライブ~日本一元気な漫才~』が開催されました。
ザ・ぼんち(ぼんちおさむ、里見まさと)にとって、東京での単独ライブは、MANZAIブームの最中に日本武道館で行った1981年以来、実に35年ぶり。
その武道館にも足を運んだであろうオールドファンからちびっ子まで、いつものルミネ以上に老若男女の観客が押し寄せました。
ぼんちおさむの愛弟子、チャド・マレーン擁するコンビ"チャド・マレーン"の前説が終え、開演時刻を迎えると、流れてきたのは1981年のヒット曲『恋のぼんちシート』のイントロ。
歓声と手拍子のなか、登場したザ・ぼんちの2人は、当時さながらのノリノリのテンションで歌いきると、「日本武道館以来の単独ライブで」(おさむ)、「35年ぶり、あの1万人の日本武道館から、この450人のルミネ、でかいなここ(笑)」(まさと)といった感慨深げな挨拶から入り、来場者への感謝を述べますが、「真面目な話はしないことになってるんですよ。できないですからね。アハー!」とさっそくおさむが声を張ります。
現在、MANZAIブームを振り返る特番から密着を受けているとの話題から、B&Bの島田洋七さんの名前があがり、「あいつ信用しちゃあきませんよ。おらんよ、がばいばあちゃんなんか」(まさと)、「半分はウソですよ。あとの半分は作り話なんですよ」(おさむ)と洋七さんのホラ吹きエピソードを連発。
また、MANZAIブームの頃にネタとしていた『アフタヌーンショー』のコーナー「テレビ事件簿」についても振り返り、おさむは「そーなんです」のひとことで拍手を浴びます。
その後は、改めて出囃子とともに再登場して、漫才を披露。
老いとの闘いをテーマにしつつも、自分で振って自分でボケたり、舌を鳴らしたり、縦横無尽に動きまわるおさむに、まさとからは「何が楽しいねん」「アドリブにしても長い」といった冷静なツッコミが入り、そのコントラストでも爆笑を呼び込みます。
2本目の漫才は、「最近の子供は、ことわざとか四字熟語とかちんぷんかんぷんや」というまさとの導入からおさむのボケが発動し、「あなたにとって今の時間はなんやったんや?」(まさと)、「ストレス発散や!」(おさむ)といったかけあいでも沸かせる2人。
クライマックスに差し掛かると、「メッシ! メッシ! メッシ! おかずも食べなさい!」というギャグや、孫が大好きな曲『わらの中の七面鳥』をハーモニカで演奏して拍手を浴びるなど、おさむの独壇場となり、最後は見事なオチを迎えました。
続いては、おさむのピンコーナー。
20年近くジャズに興じているというおさむは、『Fly me to the Moon』の一節をアカペラで歌った後、「めちゃくちゃタップが大好きなんですよ」と飛び入りゲストとしてHIDEBOHをステージに招きます。
そして、おさむが歌う『Unchain My Heart』(レイ・チャールズ)に合わせ、HIDEBOHがタップダンスするという豪華なコラボで会場中を魅了。
続いては、影マイクのまさとから「一番最初に手を挙げてくれました。僕もおさむもホント感謝しています。今、漫才にホントに力を入れています」と紹介されたレイザーラモンです。
HGが「ぼんち師匠、フォー!」と吠え、RGがレギュラー・西川の失神をマネるというツカミに成功すると、HGがモデルとしてファッションショーに出演し、そのBGMである「RGM」をRGが担当という設定で何度も笑いを起こした2人。
しつこいRGのボケに「2、3人がクスクス言ってるだけ」とHGは指摘しますが、「その2、3人が中毒になってますから」とRGが根拠の無い自信を覗かせるといったかけあいで沸かせつつ、ラストは「モデルになりたい奴がいたんですよー」とクールポコスタイルへの変貌を遂げました。
その後は、4人での立ちトークへ。
まさとから「なんで漫才を(真剣に取り組む)ってなったの?」と訊かれたレイザーラモンは、19年間のコンビ活動を振り返り、10年ほど前にHGがブレイクし、個々で活動を続ける中、当時のマネージャーと大阪時代から親しい後輩の作家から「レイザーラモンさんは、コンビのネタめちゃくちゃおもしろかったのに、なんでしないんですか?」と告げられたことが、漫才へ取り組むきっかけとなったそうです。
さらに「自分らが出来ることを漫才に落とし込もうと思って」作ったのが、今回の裸とパクリを盛り込んだネタで、「斬新な漫才」と自負し、見事『THE MANZAI 2013』決勝へと進出するも、獲得票は0という結果に。
落ち込むレイザーラモンでしたが、スリムクラブ・真栄田から「ぼんち師匠がレイザーラモンのネタを見てすごいやる気になった」と伝え聞いて、現在のステージまで至ったと明かします。
レイザーラモンのネタについて「君らの漫才は予想もつかへんし、強いのはお客さんほったらかしにしてるやん」とまさとが評すると、「俺らの若手の時もそうやねん」と同調するおさむ。
「唯一クスクスって笑い取れてたのが、橋幸夫さんのものまねやったんですよ」とまさとが振ると、おさむが遂に「潮来の伊太郎~」と口ずさみ、拍手を呼びこむのでした。
続いては、おさむの一番弟子、ジミー大西とのコラボコント『伝説の刑事』。
容疑者のおさむと、刑事役のまさと、さらに伝説の刑事"落としのジミー"の異名を持つジミー大西との取り調べコントで、どこまでが台本でどこからがアドリブかわからないシーンが頻出し、徐々に笑いを大きくしていきます。
そして意外な(?)オチの後、「お前もがんばれよ」というジミーのひとことでコントは終了。
3人での立ちトークでは、「何回も何回もネタ合わせしたんですよ。それで今日ですよね?」(まさと)とコントの反省から入ると、弟子時代のジミーの話題へと移ります。
当時、唯一の3ショットという京都花月劇場の楽屋で撮った写真を映し出しながら、おさむに弟子入りした理由を訊かれたジミーは「早見優ちゃんに会いたかったので」と即答。
さらにジミーは、おさむから離れる際、東京で早見優さんに弟子入りしたいと告げたそうで、「なめてんのかこらー!」と怒るおさむに対して、ジミーは「(早見さんの)着替え、手伝います」とあくまでも私欲を求めたそうです。
そんな昔話に花を咲かせた後は、ザ・ぼんちが90歳になって漫才をしていたら......という未来が設定の漫才。
40年ぶりに出場した漫才コンテスト『THE MANZAI 2014』、35年ぶりに学園祭へ出演したことがモニターで紹介された後、「そして90歳になっても学園祭に出られるようにがんばります!」のメッセージが流れると、老人メイクを施したザ・ぼんちの2人がゆっくりとした歩みでステージに登場します。
「えらい歳になってしまってな」(まさと)、「あーあーあー」(おさむ)という導入から、徐々におさむのボケが出始め、スローテンポな味わい深いかけあいを展開。
のんびりとしたムードのままオチを迎え、エンディングに再登場した2人は、「楽しんでいただけましたか?」とおさむが問いかけ、拍手と歓声が起きると、まさとはその反応に安堵したか「半年間、大阪、名古屋、東京の(単独ライブの)ために、ホント2人ともちょっとしんどいめをしました。やっと解放されました(笑)」と吐露します。
そして、「おやすみの言葉に変えまして」(まさと)、「感謝の気持ちも込めまして」(おさむ)と、2人が大好きだという1981年発売のセカンドシングル『ラヂオ~NEWMUSICに耳を塞いで~』をしっとりと歌唱。
ザ・ぼんちの足跡と今後の活躍が感じ取れる一曲を歌い終えた2人は、緞帳が閉まり切るまで感謝を述べながら、手を振ります。
まさしく「日本一元気な漫才」というタイトルに偽りナシのひとときとなりました。
【ザ・ぼんち】【ぼんちおさむ】【里見まさと】