グロテスク&バイオレンスなインポッシブルワールドが炸裂! インポッシブル結成満十年記念単独ライブ『HELL GAME』
4月24日(日)、東京・ルミネtheよしもとにて、インポッシブル結成満十年記念単独ライブ『HELL GAME』が開催され、インポッシブルの2人が出演しました。
「でっかい昆虫と戦おう」シリーズなど、ちょっとグロテスクでアブノーマルな世界観のコントが魅力のインポッシブル。今回の単独ライブは、そのフライヤーにも「『HELL GAME』には暴力シーンやグロテスクな表現が含まれます」という但し書きがあるように、見る人をある意味"選ぶ"ライブでもあるよう。ライブ前のインタビューでは、今回のテーマを「ひるちゃん覚醒」と言っていた彼らですが、どんな覚醒を見せてくれるのか、 楽しみです!
オープニング、ピアノを習う男の子と女教師、さらには男の子の父親が繰り広げるダウナーなストーリーのVTRが流れ、インポッシブルの2人が登場。満席とまではいかなかったものの、8~9割のお客さんで埋まった会場を見渡して、「2年前の大宮ではお客さんが20人だったので、そこから考えると10倍以上......もう完売ってことでいっか」(井元)と、感慨深げな2人。
そこから話題は「金持ちになって大豪邸に住みたい!」という話になったのですが、蛭川が「じゃあ僕が大豪邸をやるんで、入ってきてください」と言います。人間がどうやって建物を体現するのかと思いきや、まずは虎の毛皮のじゅうたんのモノマネをする蛭川。続いてお風呂の蛇口のマーライオンのマネもするのですが、どれも生きているため「生きてないで~!!」という井元のツッコミが炸裂します。その後、最長のノリツッコミなどを挟み、普通に「もういいわ~!」と言った後に井元が蛭川を殴り飛ばして終了、というあたりがいかにもインポッシブルらしい漫才となっていました。
続いてはコント「病院」。オペが成功したはずのおじいさんが医者に呼び出され、「オペの際、心臓を入れ忘れたので再手術させてください!」と衝撃の告白を受けます。心臓を入れ忘れられたのにピンピンしているため、成功率の低いオペを受け入れられないおじいさんは悩むのですが......。シリアスさとバカバカしさの間を行ったり来たりする、シュールさが魅力のコントです。
ブリッジのVTRは「おねえさんとゴリ丸くんのほらできた♪」のコーナー。おねえさんが困っていると、ゴリ丸くんがやってきて、困りごとを独自の方法でズバッと解決するというミニ番組形式のVTRに少しほっこり(?)するお客さん。ゴリ丸くんシリーズはこの後も数回、ブリッジに登場していました。
コント「必殺仕事人2016」は、これまでにもやってきた「必殺仕事人」シリーズの最新作。「いたずらっ子のマナブ」や「商店街のカズコ」、「ちょっと前すいませんのたかし」など、タイトルだけで笑える仕事人が次々と登場。その他、外国人や動物、芸能人(?)的な仕事人まで登場し、そのバラエティに富んだラインナップにお客さんも大いに盛り上がります。
ゴリ丸くんのVTRを挟んで、続いてのコントは「谷本俊也」。毎年ラーメン王決定戦に挑戦し続けるラーメンバカ・谷本俊也の半生(?)を綴った壮大なコントです。謎のインチキ関西弁をあやつる谷本俊也にイラッとしつつも(笑)、そのバカバカしくもどこか清々しい生きざまに憧れに近いものを感じなくもないような、不思議な後味のコントでした。
続いては「往年の一発ギャグを200%の力でやってみよう」のコーナー。「アイーン」や「カトちゃんペ」、「だっちゅ~の!」などの往年の一発ギャグをインポッシブルらしく200%の力でやってみた結果、まったく別物になってしまうという、元のギャグと比較するとさらに笑えるコーナーとなっていました。
またもゴリ丸くんのVTRを挟み、コント「魔界TV」へ。魔界のTV番組、『地獄のデス柳徹子の部屋』のデス柳徹子が登場、謎の擬音を合間合間に挟みながらトークします。この日のゲストはラグビー選手の六百六十六郎丸さんで、電気椅子に座ってのトークを繰り広げます。とにかく悪魔すぎる演出にお客さんからは拍手が起こりますが、コント終了後には「見ていただいたコントがグロすぎたため、ただいまから10分間の休憩となります」というナレーションが入ります(笑)。
「自己責任で見てください」というナレーションに続いて、グロテスク&バイオレンスな演出で「第2部スタート!」と告げられた後は、コント「一文字変えてみた」。東京スカイツリーを一文字変えて「東京不快ツリー」、「かっぱ寿司」を一文字変えて「まっぱ寿司」、「ミラノ風ドリア」を一文字変えて「ミラノ風ドリル」など、一文字変えるだけで全然違うものになっているさまを描きます。
ブリッジVTRは「ピタゴラスイッ血」。あの『ピタゴラスイッチ』にソックリな、かわいい感じのからくり装置が動き出すのですが、徐々に雲行きが怪しくなっていき......。仮面の男や、縛られて目隠しされた男が出てきた時点でお客さんは爆笑。最初、キャッキャしていた客席のお子さんがどんな反応をしていたのかがとても気になったVTRでした(笑)。
続いてのコントは「エリカとマリコ」。彼氏に二股をかけられたと泣くエリカ(蛭川)に「そんな男、別れなさいよ」とアドバイスするマリコ(井元)でしたが、「だから私、リベンジポルノをしようと思って」というエリカに度肝を抜かれます。覚悟を決めたようすのエリカを見て「やっちまいな!」と応援するマリコでしたが、おっぱいをバズーカに改造して彼氏をこっぱみじんにするつもりだというエリカに「それリベンジポルノじゃなくな~い!?」というマリコのツッコミが炸裂し......。大掛かりな仕掛けもある、とにかく爆笑につぐ爆笑のコントでした。
「失格シリーズ」は、途中までいい感じなのですが、最終的に失格となってしまう選手に審判が「失格!」とジャッジを下すようすを、「100m走」「柔道」「重量上げ」「スキージャンプ」などの競技で次々とテンポよく見せていくという、蛭川の渾身のジェスチャーが見どころのコント。
「ピタゴラスイッ血」を挟み、続いてのコント「腕相撲」では、元アームレスリングチャンピオンの男に小学生がチャレンジしてくるのですが、その小学生がどこかただ者ではない雰囲気を漂わせており......という、先の読めない対戦が続くコントです。
ラストのコントは「インポッシブル日本昔ばなし おっぱい地蔵」。畑を耕しにいくおじいさんとおばあさんですが、おばあさんは帰ってくるなり疲れて寝込んでしまいます。そんなとき、おじいさんはいつもの道に見慣れないお地蔵さんを見かけ......。"クマと戦うおばあさん"など、タイトル通り、インポッシブル流の昔ばなしが堪能できる作品でした。
コント終了後、改めて挨拶をしてから舞台を去ったインポッシブルでしたが、客席からは「アンコール! アンコール!」の声が......。お笑いのライブではなかなか聞いたことがないアンコールですが、その声に応えてアンコールコントが行われました!
音声でのみ始まった「ドラえもん」をモチーフにしたコントは、大恐竜展に行きたいのにスネ夫から仲間はずれにされてしまったのび太が、タイムマシーンに乗ってドラえもんと一緒に本当の白亜紀に行き、恐竜に出会うのですが......。ラストシーンのみ現れた驚愕のシーンに観客も驚き&大爆笑!!
予定の120分を大きくオーバーした力作ぞろいの『HELL GAME』。全体的にグロテスクなのにかわいらしいピコピコ音が随所に使われていて、それが余計に怖さを増す結果となっていた、という演出ひとつとっても、インポッシブルの10年の集大成というだけでなく、今後の可能性が大いに感じられる、お客さんも大満足の爆笑単独ライブとなりました。
【インポッシブル】