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2016年5月29日 (日)

初日のギャラリートーク&ライブペインティングも大盛況! 大宮エリー初の美術館での個展「シンシアリー・ユアーズ―親愛なるあなたの 大宮エリーより」いよいよ開催!

5月28日(土)、青森・十和田市現代美術館にて、大宮エリーの個展「シンシアリー・ユアーズ―親愛なるあなたの 大宮エリーより」が開催され、ギャラリートークとライブペインティングが行われました。
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脚本家、CMディレクター、作家、演出家、映画監督など、多彩な活動で注目される大宮エリーさん。2012年に行ったライブペインティングをきっかけとし、現在は絵画制作に本格的に取り組んでいる大宮さんが、このたび初の美術館での個展を開催することになりました。
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画家としてのキャリアはまだ浅いものの、2015年には絵画展を開催し、初の画集も出版するなど、その活動は勢力的。伸びやかで、天性のバイブレーションみなぎる絵画は、見る者の感情に訴えかけると高い評価を受けています。

個展の開催に先駆け前日に行われたレセプションパーティでは、十和田市副市長・西村雅博氏による挨拶のほか、主催者の十和田市現代美術館副館長・児島やよい氏、十和田市商店街連合会の会長・細川興一氏、大宮エリー本人による挨拶も行われました。
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「大学では薬学を専攻していたのに、なぜか絵を描くことになってしまって......(笑)」と笑わせたあと、「絵は難しい。絵に込められた思いを言葉で説明しようとしてもうまくできない。でも、絵は言葉にならないエネルギーは伝えられるんだな、って」と実体験を交えて話す大宮さん。さまざまな関係者が集うパーティは大盛況のうちに幕を閉じました。

翌日の個展初日のイベント直前、大宮さんに少しだけお話を伺いました。
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十和田の町の印象をたずねてみると、「私、温泉が好きなんで、銭湯に行ったんですけど、十和田のお湯はぬるぬるで、洗っても洗ってもすすぎきれない(笑)カンジで、いいんですよ。人もすごくあったかくて、あと5分で銭湯が閉まっちゃうっていう時間に行ったら、「逆に申し訳ない」って言われたり。あとは、山菜の天ぷらがおいしかったり......、緑も多いし、風も気持ちよくて。町も人も自然も本当に大好きな場所です」と、十和田の町が相当好きになったよう。

そんな十和田で新たに作品も制作したそうで、「今回、美術館での個展だけじゃなくて、町の、いわゆる"シャッター商店街"を活気づけるようなことが何かできないかと児島さんに言われて、『ぜひやらせてほしい』って返事をしたんですね。で、何ができるかなって考えたときに、空き店舗を使って絵を展示して、そこを美術館にしちゃおうという"商店街美術館"というのを思いつきまして。部屋は4つあって、『昔ばなしの部屋』『儀式の部屋』『息吹の部屋』と、もうひとつは『アトリエ十和田』。ここで描いた絵がありまして、その絵のテーマが"十和田の冬"。今は新緑が気持ちいいですけど、私が初めて十和田を訪れたのは冬で、私は冬に十和田の美しさを感じたんですね。冬の十和田を描くことで、他の季節の素晴らしさも感じてもらえるといいなと思います」と話す大宮さん。
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商店街の企画は他にもあり、「商店街の降りているシャッターに絵を描こうと思っていて、個展の期間中に子どもたちやいろんな方とライブペインティングが1回くらいできたらなと。それともうひとつ、商店街の屋根に虹をかけたいと思っていて。透明ないろんな色のセロファンを使って、虹に見えるようにしたいなと思っています」と、これからもどんどん変わっていく商店街美術館への意気込みを語ります。
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今回の個展で伝えたいメッセージについて伺うと、「『シンシアリー・ユアーズ』という個展のタイトルは、"親愛なるあなたへ"という意味でつけていて。どの絵も、dearから始まって、sincerly yoursで終わるという、まるで手紙のようにみんなに気持ちを届けられたらいいな、という思いを込めて描きました。伝えたい気持ちを届けるって大事なことだと思うし、みなさんにとっての1枚があるといいなと思っています」と、美術館という大きな場所の個展であっても、まるで誰かに宛てた手紙のように、1点1点作品を描いている大宮さんの気持ちが伝わってきました。
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その後、企画展示室では、美術館の副館長・児島やよいさんと、作品に囲まれながらのアーティストトークが行われました。
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昨年、代官山で行われた個展を観に行って、作品の持つエネルギーや、その魅力的なパワーに圧倒されたという児島さん。その時から十和田で個展を開いてもらいたいと思っていたそうで、実現して嬉しいと話します。

一方、大宮さんは「私が絵を描いて画集を出すなんて、トチ狂ってるじゃないですか(笑)」と笑わせたあと、児島さんから作品について「土着的、プリミティブだって言ってもらって、それはまさに私の絵そのものだと思った」と、感じてもらえた嬉しさを語っていました。
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その後は個々の作品についてのエピソードを話し出すエリーさん。

『世界ふしぎ発見!』に初登場したときのテーマが沖縄県の久高島で、行ったことはないのに全問正解し、感想を聞かれた際に「これは絶対久高島行きますね」とコメントし、有言実行で本当に久高島へ行き、そこでたまたま儀式を体験したという大宮さん。その体験を絵に描いたというエピソードを語る大宮さんに、「スピリチュアル系、多いんですか?」とたずねる児島さん。

それに対し「そんなことはないんですけど、自然が好きなんです」と話す大宮さんですが、知らず知らずのうちに"呼ばれ"、その経験が絵に反映されるということは多いよう。

また、「商店街美術館」には写真も展示されていると説明し、「シャスタっていう、クリスタルカイザーの水源のある山で撮った写真で。写真を展示するっていうのもこっぱずかしいんですけど、なかなか気軽に見に行けるような場所ではないところの景色だから......」と、自分が感動した景色をみんなにも見てもらいたいという思いから展示に踏み切ったと話す大宮さん。写真作品も絵と同じく、自分の感じた気持ちを誰かに伝えたいという思いから展示されていることがわかります。

トークを聞いていた小学4年生の女の子2人組に「廊下のところに小さなドローイングの絵があるんだけど、それを見たらたぶん、『私でも描ける』って思うと思うよ(笑)」と話しかけて笑わせる大宮さんですが、児島さんは「あのドローイングを見て、エリーさんってふだん描く絵はダイナミックなのに、ホントは繊細なんだな」と思ったそう。

絵を描いている瞬間は「無心になる」と言い、「歌ったり叫んだり、泣きながら書いたこともある」と告白する大宮さん。また、絵には伝えたいメッセージが込められているけど、その絵を言葉で説明すると、人が絵から感じることを邪魔してしまう場合もある」と、その難しさを語ります。
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「せっかくの機会だから」と、お客さんからの質問を募る大宮さん。あるお客さんの「湖畔の絵は実際のどこかの湖を描かれてるんですか?」という質問には「具体的にはないんですよ~。というか、湖畔に行ったことがないんです(笑)」と笑わせますが、その後、そのお客さんが「今の時期の十和田湖のキラキラした感じが出ているな~と思って感動したんで」と続けると、「そうなんだ。嬉しい! じゃあ、十和田湖ってことにします(笑)」と、完全にお客さんに乗っかっていました(笑)。
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この後行われるライブペインティングについても少し触れ、「ライブペインティングは"みんなと作る"感じ。みんなが感情を共にする、心のコール&レスポンス」だと話します。

ロンドンのフリーマーケットでも定期的に行っているそうで、そこでも「お酒を買ってきてくれる老紳士や学生さんなんかもいる」と、アットホームな雰囲気の中でライブペインティングをしているようすを語っていました。

トーク終了後急きょサイン会を行うことになったのですが、ライブペインティングの設営の関係上、外でサイン会をすることに。天気もよく、気持ちのいい午後に、芝生の上で一人ひとりとていねいに会話しながらサインを書く大宮さんの姿が印象的でした。
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この日の夕方からは、いよいよハープとギターのユニット、tico moonとのコラボレーションによって開催されるライブペインティングです。
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はじめに、「一応言っておくと、私、最初は描きませんから」と大宮さん。音楽を聞いてイメージが浮かぶまではただ聞いているそうで、「以前、持ち時間が30分なのに最初の20分何も描かなかったことがあって、描き始めたときのお客さんの盛り上がりがすごかった。『描いた~!』って(笑)」とお客さんを笑わせます。
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ハープとギターの、柔らかく優しい音色が会場を包む中、ビールを飲みながらただ聞いているエリーさん。ときおりリズムを取ってみたり、腕組みをしてみたりと、なにやら考えている(?)よう。

そのうち、緑と黄色の混ざった色を塗り出す大宮さん。円を描くように丸く塗り広げていきます。しばらく塗ってから、「ここで終わってもいいけど、これじゃダメだよね?」と信頼をおくスタッフにアドバイスを求めますが、さらに描き続けることに。「自分では調子がいいような気がしてるんだけど(笑)」と言いながら描き進めていくうちに、急にお酒が飲みたくなったのか、かなり小走りでビール瓶を取りにいく姿に思わず笑いと拍手が起こると、「拍手はいらない(笑)」とお客さんにツッコむ一幕も。
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時には手で直接描いたり、届かないところはジャンプしてみたり、クレヨンで絵の具の上から描いたりと、どんどん力強い絵がキャンバスから生まれてくるさまは圧巻。

だんだん緑の色合いが濃くなり、ときには絵を描いているロールをキャンバスにぶつけてみたりと、さまざまな効果を狙って(?)描き続ける大宮さん。使いきった(と思われる)絵の具のチューブは、どんどん放り投げられていきます(笑)。
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「色を足そうかとも思うんだけど、もうやめた方がいいかな?」と、スタッフだけでなく、tico moonやお客さんにまで聞く大宮さん。みんなの意見を聞きながら絵を描き進めている雰囲気が独特で、こういうやりとりの中で作品が生まれてくるところが、ライブペインティングの醍醐味なんだなと改めて感じさせられました。

1枚目の絵が完成し、拍手が起こったところで、スタッフがその絵をはがす作業へ。作業が終わり次第次の作品にとりかかるのですが、ここでいったんtico moonとMCを繰り広げます。

ハープを指さし、「これ、新幹線で運んだんだよね?」と大宮さんが聞くと、お客さんからは驚きの声が。続いて、「どうやって運んだの?」と質問すると、ギターの影山敏彦さんがすかさず「一生懸命」と答えたため、会場は大爆笑です。

続いて2枚目に取りかかろうとするのですが、その時最初に演奏された曲が映画『戦場のメリークリスマス』の主題歌、「メリー・クリスマス ミスターローレンス」。すると大宮さんは驚いたように「ええ~!」「えええ~っ!?」と言いながら、迷わず茶色と黒の絵の具でタテ方向に描き始めます。実はこの曲、先ほどインタビューの話にもあった、"十和田の冬"を描いていたときにずっと流していた曲だったそうで、"十和田の冬・ライブペインティング版"とも言えるような作品ができあがっていました。
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演奏が終わったあと、「なんで!? なんで!?」と不思議そうにtico moonに尋ねる大宮さんに、「さっきエリーさんが、この曲のフレーズを口ずさんでたから」とサラッと答えるハープ奏者の吉野友加さん。それを聞いて「私? 口ずさんでた?」と、記憶にないようすでしたが、「いや~、ビビるね」と驚きを隠せないようすの大宮さんでした。

この後も次々と絵を描いていく大宮さん。描いている最中こそ凄まじい集中具合なのですが、中座してトイレに行ったり、まるでトークショーかのように長く話す場面があったりと、意外と自由で緩い雰囲気の中、どんどん絵が完成していきます。
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急に客席を見つめ、「みんななんでそんなに笑顔なの!? 刺さった~。私なんてビール飲みすぎてゲップが出てるのに(笑)」と感動してみたり、ビール瓶とマイクを間違えてビール瓶を口に持っていって話そうとしたり、「うすうす気づいてると思いますけど、酔ってますよ?」と言ってお客さんを笑わせてみたりと、ライブペインティングでありながら、どこかエンターテイメントショーのようなサービス精神にあふれていて、お客さんを飽きさせません。
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お客さんの子どもと一緒に描くというほほえましい場面もありながら、最後の絵が完成。予定時間をオーバーしながらも、実に5枚もの絵が完成し、お客さんの大きな拍手に包まれながら退場していく大宮さんの姿が印象的でした。
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このあと9月25日(日)まで続く「シンシアリー・ユアーズ―親愛なるあなたの 大宮エリーより」。月に一度はイベントやワークショップも開催され、単なる展示だけではない、いろんな角度から楽しめる本個展にぜひ足をお運びいただき、さらには十和田の自然や町、人々にも触れてみてください!
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●公式HP http://towadaartcenter.com/web/exhibition_Ellie.html

シンシアリー・ユアーズ―親愛なるあなたの 大宮エリーより

会期:2016年5月28日(土)~9月25日(日)
会場:十和田市現代美術館(青森県)
開館時間:9:00~17:00(入場は閉館の30分前まで)
閉館日:月曜日(月曜が祝日の場合はその翌日)
※但し8月1日(月)、8日(月)、15日(月)、9月20日(火)は臨時開館
観覧料:企画展+常設展セット券1000円。企画展の個別料金は一般600円
団体(20名以上)100円引き。高校生以下無料

★同時開催「大宮エリーの商店街美術館」

会期:2016年5月28日(土)~9月25日(日)
会場:十和田市 商店街
     昔ばなしの部屋  十和田市稲生町16-55
     儀式の部屋    十和田市稲生町12-34
     息吹の部屋    十和田市稲生町12-34
     アトリエ十和田  十和田市稲生町12-38
開館時間 9:00~17:00(入場時間は閉館の30分前まで)
閉館日  月曜日(月曜日が祝日の場合はその翌日)
     ただし、8月1日(月)、8日(月)、15日(月)、9月20日(火)は臨時開館。
観覧料  300円(パスポート+缶バッチ付き)
アクセス 美術館から徒歩5分〜10分