初の多言語字幕付き落語は大盛況! 『桂文枝「字幕」落語会』
6月5日(日)、東京・神保町花月にて、エンタテインメント公演初となる日本語、英語字幕同時表示の『桂文枝「字幕」落語会』が行われました。
よしもとクリエイティブ・エージェンシーとNHKグローバルメディアサービスLIVE TEXTチームで、ハンディキャップのある方や、外国の方など、誰もが楽しめるコンテンツの開発に取り組む今回のプロジェクト。
落語や新喜劇に、リアルタイムで多言語字幕をつけようという試みですが、その第一弾となる『桂文枝「字幕」落語会』には、外国人を含む大勢の観客で満席となり、関心の高さを伺わせました。
開演時刻を迎えると、まずはナビゲーターを務める桂三語と英訳担当のチャド・マレーンが登場。
三語の挨拶、趣旨説明に続き、チャドが英訳して話す上に日本語字幕が表示されます。
渋谷にあるスタジオと中継を結び、リアルタイムで文字起こしが行われているといったシステムの説明がされた後、桂文枝が洋装で高座に。
「最初に出る予定はなかったんですが」と切り出した文枝は、いかにこの企画が大変かを説いた上で、この後の落語に使う字幕は、事前に用意してあるものが表示されと明かし、「こんなに早く(台詞が)出んのやったら落語も、この形でやったらどうなんですかね」と提案します。
また、千利休役で出演している『真田丸』に触れ、「人の書いた台詞をきっちり覚えるのも難しいんですけど、自分の書いたものをその通りやるのも難しいというのが、この度わかりました」と字幕通りに落語を披露する難しさを吐露。
今回の企画が成功したら「世界へこれを持って行こう。今日失敗したら企画がポシャるわけです(笑)」と言いながらも、観客には字幕を追わず「気楽に見ていただきたい。私の言いたいことはそれだけです」とメッセージを残し、文枝は高座から降りました。
まず、一席目は、全編英語、日本語字幕による桂かい枝の『いらち俥』。
日本人はいかに英語が苦手かを教科書にある英文や総理大臣の英語力を例に説明し、さらにはうどん、そば、にゅうめんの食べ方の違いといった落語の基礎的なことも流暢な英語で伝えます。
そうしたまくらで観客のハートを掴んだかい枝は、キャラクターの濃い人力車の車夫と客とのやりとりを全身で演じ、笑いを誘いました。
続いては、桂文枝による『宿題』で、こちらは日本語と英語、両方が字幕表示。
「文枝やろ?『いらっしゃい』やってやあ」と人懐っこく絡んでくる大阪ならではの小学生をまくらにして、息子が通う塾から出される算数の宿題に、四苦八苦するサラリーマンの奮闘ぶりを熱演します。
10分の中入りを挟んで、三席目は、再び日本語と英語、両方を字幕表示する桂文枝『別れ話は突然に...』。
1位・沖縄、2位・北海道、3位・大阪という都道府県別の離婚率を挙げ、熟年離婚の危機を前に、その息子、娘が電話口で右往左往する様子をコミカルに描きました。
さげが決まると、拍手喝采となり、閉じた幕から顔を出した文枝は「サンキュー!」と挨拶。
登場人物によって、左右のスクリーンを使い分けたり、人名を色分けしたりといった字幕の工夫がされた今回の落語会。
今後もブラッシュアップしながら継続される予定ですので、ご期待ください。
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