『ココリコミラクルタイプ』の田中直樹×福田雄一×金子傑が再び集結! 7月9日(土)公開の映画『だCOLOR?~THE脱獄サバイバル』主演・田中直樹インタビュー!
が設立した映画会社KATSU-doと、フジテレビの共同製作によるシチュエーション・コメディ『だCOLOR?~THE脱獄サバイバル』。
物語の舞台はN国。とある部屋に集められた3人の終身刑の政治犯は、新たに制定された政治犯削減法により、本人からは見えないように〈赤・青・黄〉どれかの帽子を被せられ、自分が被っている帽子の色をいちばん最初に正しく言い当てた者だけが釈放され、誤回答すると即死刑という恐ろしいゲームに参加しなければならなくなる。果たしてどの男が生き残れるのか――。
脚本はドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズ、『コドモ警察』、映画『HK 変態仮面』などさまざまな作品で独特な世界観を描いている福田雄一さん、監督はかつて福田さんとバラエティ番組『ココリコミラクルタイプ』でディレクターを務めていた金子傑さん、さらに3人の囚人のひとりをココリコの田中直樹が演じるという、『ココリコミラクルタイプ』のトリオが久々に結集した形となった今回の作品について、主演のココリコ・田中直樹に映画の見どころや撮影時のエピソードなどを聞いてきました!
――最初にこの映画の話を聞いたのはいつ頃ですか?
2014年の年末頃に金子監督から「こういう作品を撮りたいんだけど、すごく楽しい映画になると思うので参加してくれませんか?」っていうお電話をいただいて「ぜひぜひ、お願いします!」って返事したと思います。
――元々『ココリコミラクルタイプ』で一緒にお仕事をされていたトリオでのタッグということですが、以前から「いつかまた一緒にやりたいね」みたいな話はされていたんでしょうか。
そうですね。番組が終わってからも、僕と金子監督とか、僕と福田さんとか、それこそ3人で会うときもちょくちょくありましたし、「なんか面白いことできたらいいですね」みたいなことは話してたんですけど、なかなか具体的な形にはならなくて。で、ちょっとしばらく金子さんとも福田さんとも会えてなかったタイミングでこのお話をいただいたので、すごく嬉しかったことを覚えてます。元々、金子監督にも福田さんにも20年以上お世話になってるんですよ。金子監督はフジテレビの社員さんなんですけど、それこそ僕が23~24の頃からお世話になってるし、福田さんはほとんどデビュー当時からお世話になってて。銀座7丁目劇場に作家さんとしていらっしゃったので、舞台とかコントとかもみてもらったりしていたので。
――じゃあ、撮影現場はやりやすい雰囲気だったんでしょうか?
やりやすかったです。もちろんスタジオコントとは違うと思うんですけど、やっぱり気心しれてるといいますか、何をいちばん大事にしてるのかっていうのが明確にわかりやすいというか――それはもちろん単純に"笑い"なんですけど、どういったものを撮りたいかっていう気持ちは、やっぱり一緒にやらせてもらってたので、わかりあえるところはあるのかなって思います。
――田中さんから見て、福田さんはどんな人ですか?
福田さんは脚本自体が面白くて、会話のやりとりやキャラクターも魅力的な作り方をされるなぁと思いますし、その上で「全然自由にしてくださいね」っていう人なので......あくまでも僕の印象ですけど。金子監督とも共通するんですけど、最終的に作品が面白くなればいいっていう。それがすごく明確なんですよね。「どうしてもこれがやりたい。これが面白いでしょ?」っていうのはもちろん伝えてくれるんですけど、それ以上に「もっとアドリブを足してくれていいし、ホン(脚本)を壊してくれてもいいよ」って言ってくれるイメージがありますね。それは昔からずっとそうです。
――じゃあ、ヘンなこだわりがないというか、作品が面白くなるのであればそれは誰のアイデアでもいい、みたいな。
そうですね。とにかく「面白い」っていうのがゴールで、そこにたどりつけるならどんな手段でも......というか、みんなの意見を聞いて進めていくっていう感じですね。
――ふだんはどんな方なんですか?
食欲旺盛で、食べることが大好きな人、みたいな(笑)。ふだんはお笑い論を語るとかそういうイメージはないし、お笑い論みたいなものを語り合ったことはないような気がしますね。一緒に食事に行くことが多いからか、よく食べるなぁ、みたいな。あとはラクな服をよく着てるなぁ、とか(笑)。
――金子さんはどういう方ですか?
金子さんはそれこそADをされてるときからお世話になってて。『ココリコミラクルタイプ』でコントを撮ってたんですけど、僕、同い年なんですよね。だからキャリアもほとんど変わらなくて、お互い思ってることを素直にぶつけ合える関係だと思ってます。あとは、ホントにコントが好きな人だなぁ、っていうイメージですね。
――映画はほとんどが部屋の中の会話劇ですが、ワンシチュエーション・コメディならではの難しさはありましたか?
カメラの台数はそんなに多くなかったと思うんですけど、結構しっかり長回しで撮ってたので、その難しさはありました。もっとカットを細かく割っていく撮り方もあると思うんですけど、密室劇ということもあって、舞台に近いライブ感みたいなものをイメージされてたのかなぁ。だからカットを割るよりも、そのときの空気とか温度とかをしっかり伝えるということを優先して長く回していた面もあったと思います。
――ちょっとした間が大事になりそうですもんね。
そうですね。いかに相手をだますかとか、そういう相手の心理を読んでいくようなお話で、相手は何を考えてるんだろう、そしてその間に自分は何を考えるんだろうっていう、互いの心を読み合う間が大事になってくる作品でもあると思うので、なおさらカットを割らずに撮っていったのかなって思います。
――特に田中さんの演じた人物は、振り幅があるというか、途中で矛盾したことを言い出したりするから難しかったのでは?
自分で嘘をついてることに気づいてないんですよね、彼は。「よし、ちょっと嘘ついてやろう」とか、自分が助かるために嘘をつこうというよりは、その場をうまくやりすごしたいというのがこの男の根底にあるんです。
――じゃあ、ズルいとか演技じゃなくて、ナチュラルに嘘をついちゃってる?
そうなんです。とにかくその場を丸く収めたい人なんですよね。怒られたくないからこんなこと言っちゃった、みたいな。その場しのぎで生きてる人なんですよ。だから後になって、「あれ、嘘ついてましたっけ?」って気づくという。そういう意味じゃすごくタチが悪いというか、3人の中でいちばんやっかいな人だなと思います。
――撮影中、印象深かったことはありますか?
撮影中はずっと手錠でつながれてるので、ホントに苦しいし、痛くなってくるんですね。で、撮影の間に、カメラ位置を変えますとか、そういうちょっとした休憩時間があったときは、僕とか(佐藤)二朗さんはすぐ手錠を外してもらって一息ついてたんですけど、(渡辺)いっけいさんだけはずっと手錠を外さないんです。手錠ってちょっとでも手を動かすと痛いんですよ。でもいっけいさんはずっと外さなくて。たぶん、どれぐらい動けるかとか、どれぐらいヒジが稼働するかとか、どこまで手が回ってくるのかとかを探ってはったと思うんですよ。そういうところはスゴイなぁって思いましたね。役者魂というか......。あ、これは決して二朗さんが役者魂がないって言ってるんじゃないですよ(笑)?
――(笑)。
二朗さんは二朗さんで、毎回アドリブを変えてきはるんですよね。ホントに面白いし、あれはスゴイなと思いますね。
――笑いすぎちゃってNGなんてことも?
ありましたね。二朗さんにしてもいっけいさんにしても、カメリハと本番で芝居を変えてきはるので、笑ってしまってこっちのカットが使えない、みたいなことはありました。二朗さんのアドリブ力だったり、いっけいさんのお芝居に感動しましたし、そんなお2人と共演させてもらえて嬉しかったですね。
――映画では「人を信じることの難しさ」を描いていますが、田中さんは今まで「人を信じられない!」って思ったことはありますか?
う~ん......あんまりないんですよね。自分が鈍いからなのかなぁ? ちょっと違ってしまいますけど、子どもの大事にしてたお菓子を食べてしまった、みたいなことはあります(笑)。
――それは自分が裏切った側じゃないですか(笑)!
そうですね(笑)。
――本作のエンディング曲を相方の遠藤(章造)さんが歌われてますけど、そのことについてはいかがですか?
これはもう、金子監督が遠藤さんにエンドロールで歌ってもらって、最後にもうひと展開、みたいなことをイメージされてて、どうしてもそれを入れたいって言ってたのは覚えてますね。歌詞も金子監督が書かれてたと思います。撮影のときは、遠藤の歌のシーンはかなりの早朝に撮影したんですけど......、遠藤さん、ノドの調子を心配されてました(笑)。
――本物の歌手の方みたいですね(笑)。では最後に、映画をこれから観る方にメッセージをお願いします。
生き残れるのは誰なのか!?という目線でこの映画を楽しんでもらえたら嬉しいです。あとはやっぱり、いい大人が必死こいて嘘ついて、相手を陥れて自分だけが生き延びようとする姿って滑稽だと思うんですね。命がかかってるから、ある意味そこに嘘はないとも言えるんですけど......。そういう、大人の必死さ、見苦しさみたいなものを笑ってもらえたら嬉しいなぁと思います。
【ココリコ】【田中直樹】
『だCOLOR?~THE脱獄サバイバル』
7月9日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷 他 全国順次ロードショー
監督:金子傑
脚本:福田雄一
出演:佐藤二朗、田中直樹、渡辺いっけい
エンディング曲:『いつかのスターダム』遠藤章造
公式HP www.dacolor.jp