初共演の2人がお贈りする、落語初心者大歓迎の『さる・ごりら~落語会~』 柳亭小痴楽×桂三語インタビュー!
7月17日(日)東京・神保町花月、8月21日(日)大阪・朝日劇場で『さる・ごりら~落語会~』 を開催する柳亭小痴楽さんと桂三語。ともに落語界若手のホープとして活躍中ですが、実はほとんど面識がなく、会って話すのはほとんどこの日が初めてだという2人に、今回の落語会への意気込みやお互いの印象など、気になることを聞いてきちゃいました!
柳亭小痴楽(写真左)、桂三語(写真右)
――お2人は今日がほぼ初対面なんですよね。
桂三語(以下、三語) ちゃんと会ったのは今日が初めてですね。
――今回、『さる・ごりら~落語会~』ということで、チラシにはお2人の似顔絵(?)っぽいさる(小痴楽)とごりら(三語)のイラストが描かれてますね。
三語 僕はほんまに大阪でも先輩方から「ゴリラ」って言われてますんで......自分では自覚ないですけど。でもお兄さん(小痴楽)は......、
柳亭小痴楽(以下、小痴楽) オレ、ねずみってよく言われる。学生の頃は「さる」って言われてたんだけどね。
三語 そしたら今日から「さる」にしてもらってもいいですか?......あ、でもねずみ、似てますわ。
小痴楽 やだよ。やめて(笑)!
三語 いや、でも今回のチラシが落語会っぽくないじゃないですか、なんかポップで。僕はこういうの慣れてるんですけど、東京の方ってやっぱりイメージを大事にしはるんかなと思って、気になってたんです。
小痴楽 僕結構チラシ凝るタイプなんですけど、『トレインスポッティング』とか『シャイニング』なんかの映画のチラシをまるっきりパロディにしたりとか、一切落語会のチラシってわからないようなものを遊びで作ったりしてるんです(と言って、チラシの映像を見せてくれる)。なるべくわかりにくいのが好きなんです。「何コレ?」って目を引くので。
三語 それはありますね。
――このチラシ、神保町花月で目立ってましたよ。
小痴楽 ホントですか!? ありがたい。
――この落語会を2人でやろうと思ったのはどんないきさつがあったんでしょうか。
三語 僕は前々からお兄さんのことは知ってましたし、「すごい方だな」と思ってたんです。でもお会いするきっかけがなくて......片思いみたいなもんですよ、「いつか会えるやろ」って。そしたらうちのマネージャーが「三語さんに合う人見つけました」と。それが小痴楽さんで。
小痴楽 光栄でございます。
――そんな片思いの相手に今日初めて会われて、第一印象はいかがでしたか?
三語 想像通りの方でしたね。あんまりハズすことないんです、僕。人と会って、思ってたのとイメージが違うってこと、あんまりなくて。師匠(桂文枝)だけはイメージと違いましたけど。
小痴楽 (笑)。
三語 ホンマに、これはいい意味で。最初、むちゃくちゃ怖い人やと思ってたんですよ。弟子に入ったときは「怒られっぱなしの日々を送るんやろな」と思ってたんですけど、めちゃめちゃお茶目な人なんです、うちの師匠は。
――へえ~! 私もなんとなく、ちょっと怖い方なのかと思ってました。
三語 そうでしょ? 僕もそう思ってたんですけど、めっちゃお茶目ですよ。ギャグもかましてきますし、プロレス技もかけてきますし。
小痴楽 マジですか!?
――じゃあ、修行の辛さはあまりなかったんですか?
三語 修行中は、よその一門はみんな「しんどい」って言うてましたけど、僕は修行中は楽しかったですね、どっちかというと。もちろん自分の時間はないですし、遊べないですから、そういう意味ではイヤな部分もありますけど、トータルで見たらものすごい得してるし、いい思いをさせてもらってたなって。忙しい師匠でしたから、その分他の噺家さんに会う機会もなく、ずっと師匠のことしか見てなかったですけど、今になって考えたら、ものすごくいい時間をすごさせてもらってたなって思います。
――小痴楽さんは三語さんの第一印象はどうでしたか?
小痴楽 僕、どういう人か一切わからなかったので......。正直声をかけてもらうまで知らなかったんです。一応1回会ってるんですよね。でもそのときは自分の高座で新作をやるっていうのでいっぱいいっぱいで、正直挨拶をした人も覚えてないぐらいだったんで......。名前は聞いたことあるんですけど会ったことなかったんで、今日も「新作やるんだよね?」って聞いたら「違う」って言われて、「基本は古典が多いです」って。こういう会では新作2本対古典2本だろうな~と思ってたんですけど、古典をやるっぽいんで楽しみですね。僕は新作の人だと思ってたんで、イメージと逆でした。
――今って、落語にあまり馴染みがない人が多いと思うんですけど、初心者の方でも落語を楽しめるコツってありますか?
三語 あんまり構えん方がいいと思いますね。
小痴楽 それですね(笑)。いうほど敷居高くないよ、みたいな。
三語 たとえば、めっちゃ話題の映画があって、期待して行ったら「わちゃ~!」みたいなことって多いじゃないですか。ハードルが上がってるから。もちろん、人間初めてっていうのは期待値上がると思うんで、難しいんですけど......そのギャップをいかに崩していくかですね。
小痴楽 だから、2000円(チケット代)を落っことしたって思えば......、面白かったら「1800円戻ってきたな」とか思えるし。それでも200円損してますけど(笑)。「古典落語を観に行くぞ!」って思って来てくれた人のことはいい意味で裏切れると思うし、先入観をあまり持たずにまっさらの状態で来てもらえれば、新しい落語のイメージを与えることができると思うんですけど......、それがいいか悪いかはひとりひとりの好みで。ただひとつだけ言っておきたいことは、落語会を見てふたりとも面白いと思わなかったとしても、落語を嫌いにならないでほしい、っていうことですね(笑)。たまたまこの2人がダメだっただけで、他にもいるからね、って。それだけは忘れないでくださいって。「今日がダメでも、明日また来てごらん?」って(笑)、初めての人にはよく言うんですけど。僕はお金を払って寄席に通った経験が今まで一回もないんで、お客さんというものになったことがなくて......感覚がわからないところもあるんですよね。
――三語さんは、弟子入りされる前から落語が好きだったんですか?
三語 いや、落語聞いたことなかったですよ? 弟子入りするまでは。うちの師匠の落語をたまたま見て、「やりたい!」って思って。ふだんやったらやりたいって思ってもそこで止まってると思うんですけど、1歩踏み出して、手紙を書いたんですよね。そこで人生変わったみたいなもんですから。うちの師匠は忙しい人ですし、弟子もずっと付いてますから、タイミングってあるんですよね。たまたまタイミングが合って、ちょうど入れたっていう。
――でも、手紙を書いて、それですぐ弟子入りできたってすごいですよね。
三語 これはマジの話ですけど、手紙を書いたとき、めっちゃがんばって丁寧に書いたんですよ。喫茶店で一字一字時間をかけて。で、送って。師匠に届いたんでしょうね。初めて会ったときに、「君な、字きれいやけどな、桂が柱になってたで」って。
小痴楽 (爆笑)。
三語 僕、「柱三枝さま」って書いてたんですよ。
――いちばんダメなやつじゃないですか(笑)!
三語 そうそう(笑)。わざとじゃないですよ!? でもたぶん、まったく気づかなかったのがよかったんでしょうね。面白いやつだと思ってもらえたみたいで。
――いい話ですね(笑)。ところで、お2人は落語家の中では若手だと思うんですけど、若い人に落語に興味を持ってもらうための工夫はされてるんでしょうか?
三語 上方はあんまりそんな風が吹いてないんですよね、僕の勝手な解釈ですけど。で、東京の方を見ると、今ちょっとブームというか、メディアなんかにも落語が取りあげられてますし、それを上方にも持ってこなあかんなっていうのはうちの師匠も言ってますし、どうにかせんとなっていう空気はありますけど。これ(落語会)をやることによって、そういうのを学ぶきっかけになったら......っていう気持ちもあるんですよね、僕は。どういうふうに東京のお兄さんたちはやってはるんやろうっていう。もちろんルックスとかもあると思いますけど、ただそれだけではないじゃないですか。何か他に魅力があるからお客さんも付いてるわけであって。そういうのを盗みたいですね。
小痴楽 YouTubeに落語を上げたりとか、やってる人はやってますけど、僕はそういうのはやってないんですよね。ただ、ありがたいことに今、若い子たちが見に来てくれてるんで、来た人たちに「面白かった」って思ってもらう工夫はしてますけど。昔はそれこそ、落語がボケで、お客さんがツッコミで成立してたんですよね。でも今の、20~40代くらいのお客さんは、ボケとツッコミの1セットを見せてやっと笑うんで、そういう意味でいうと、落語の笑わせ方をちょっと変えたりだとか、フレーズで笑わせるシーンがあったりとか、そういう工夫はしてます。昔からの常連のお客さんの中には、そういうのを無粋だと思っていやがる人もいると思いますけど......。ただ「ここだけは守ります」っていう部分はあって、それは僕の場合「口調」なんですね。落語の本質のよさの部分というか、核だけはちゃんと壊さないようにっていうのは心がけてますけど、その兼ね合いはやっぱり難しいです。でも、そこがやってて楽しい部分でもありますね。あとは、来やすいパッケージというか......、毎週金曜日、同じ場所で、このメンバーが1000円で見られますよっていうのが今うちの協会では当たって、若いお客さんがよく来てくれるようになりましたね。もう3年くらいやってて、30人程度でいっぱいになる会場ではあるんですけど、最近は毎回席が埋まるようになって。
三語 やっぱりやり続けるのって大事ですよね。お客さんも育つし、やり手も研鑽して上達していくわけですから。
――なるほど。小痴楽さんは「ボケとツッコミの1セット見せないとお客さんが笑ってくれない」って話されてましたけど、大阪でもそうなんですか?
三語 常連のお客さんとかはツッコんでくる人もいますけど、やっぱりそれはその場の空気ですね。「この子にツッコんだら面白そうやな」って思うと、ツッコんで来る人多いですね、大阪は。
――落語のいちばんの魅力って?
三語 普遍性じゃないですかね、やっぱり。古典落語は300年前からありますけど、現代社会に置き換えても「そんなヤツおるなぁ」とか「アホやなぁ」って共感できるところがいっぱいあると思うんですよ。これはやっぱりみなさんが研鑽して創りあげたというか、伝え続けてきたものがあると思うんで、それはすごいと思うし、それを伝えられる幸せがあります。
小痴楽 僕は「愛情」ですね。出てくるキャラクターがみんな好き合ってて、ただの一日の話なだけなんですけど、その一日が面白いんですよね、愛情にあふれてて。それをいかに伝えるか。出てくる人みんな「バカだなぁ」なんですよね。くだらない、バカなことやってて。やってるこっちもバカなことやってるから、来てくれるお客さんにも「この2時間だけバカになって」って思いますね。そしたらたぶん面白いから、落語は。
三語 基本的に悪いヤツ出てきませんもんね、落語って。
小痴楽 出て来ないですね~。
三語 『サザエさん』みたいなもんですよ。あんな感じの世界観なんですよね。
――今回の「落語会」には、どんな人に来てほしいですか?
三語 若い人に来てほしいですね。僕らもまだまだ若いですし、新しいお客さんを作り上げる......っていうんじゃないですけど、これをきっかけに「落語って面白いんやな、身近なもんやねんな」って思われるような落語をしたいと思ってるんで。もちろん、常連さんに来んとってくれって思ってるわけじゃないんですけど(笑)。「来るもの拒まず」じゃないですけど、来てくれたお客さんを楽しませたい気持ちはあるんで。
小痴楽 欲をいえば、ふだんから落語を聞いてて、僕らのことも知ってるよ、っていうお客さんたちがちゃんと来てくれて、それでその人たちが笑いを引っ張ってくれて、僕らのことをあまり知りませんっていうお客さんがそれにつられてくれるといいなって......まぁそこまでお客さんに頼っちゃいけないですけど。でもそれが理想ですね。
――最後に一言メッセージをお願いします。
三語 落語を初めて聞く人も、聞いたことある人もぜひ来てもらいたいんですけど、この2人が出てるからとかじゃなく、落語を聞くきっかけのひとつの扉になれればいいなと思ってます。
小痴楽 バカがバカやるんで、バカになりに来てください!
【桂三語】
さる・ごりら〜落語会〜
●東京公演
日時:7月17日(日) 15:30開場 16:00開演
場所:神保町花月
出演:柳亭小痴楽/桂三語
料金:前売 2000円 / 当日 2500円
チケット:チケットよしもと 0570-550-100【Yコード 999070】(PC・携帯共通)
チケットぴあ 0570-02-9999【Pコード 597-723】
店舗 セブン・イレブン、サークルKサンクス、チケットぴあ店舗
●大阪公演
日時:8月21日(日) 14:00開場 14:30開演
場所:朝日劇場
出演:柳亭小痴楽/桂三語
料金:前売 2000円 / 当日 2500円
チケット:チケットよしもと 0570-550-100【Yコード 999140】(PC・携帯共通)
【お問合わせ】
チケットよしもと予約問い合わせダイヤル:0570-550-100 (10:00〜19:00)
http://ticket.yoshimoto.co.jp