12月3日公開決定!中島貞夫監督最新作『時代劇は死なず ちゃんばら美学考』記者会見で殺陣のデモンストレーションを披露!
9月12日(月)、東京・公益社団法人 日本外国特派員協会にて、中島貞夫監督最新作『時代劇は死なず ちゃんばら美学考』の日本外国特派員協会主催 試写及び記者会見が行われました。
12月3日(土)からの公開が決定した今作は、中島監督が17年ぶりに手がけたもの。京都で半世紀以上にわたって映画キャリアを積み上げてきた中島監督が、京都でつくられた時代劇の"ちゃんばら(殺陣)"を、映画人という立場から内部考察したこの作品は監督自身が殺陣師、俳優、映画研究家、評論家などの指揮者にインタビューするパートと、東映剣会の出演するオリジナルちゃんばらのメイキングシーンとともに完成作をつくっていくパートと2つの側面を持ったドキュメンタリーとなっています。
また、京都国立博物館と『京都国際映画祭2016』の共催企画として、10月16日(日)に本作が同博物館にて特別上映されることになりました。
上映後、東映剣会による立合デモンストレーションが行われました。
まずは殺陣師の清家三彦さんが東映剣会について説明。「1952年に東映撮影所の俳優さんと殺陣師が中心となってつくられたもので、ほかの演技もするんですけど、特殊技術として斬られ役を見事に演じる優秀な人が集まった会です」と話します。
中島監督の「用意スタート!」という掛け声で、中村彩実さん、本山力さん、木村康志さん、堀田貴裕さんが立合を。この日のために組み立てられた立合は清家さん曰く、舞踏的な要素、抜刀術や連続攻撃の武道的な要素、さらにちゃんばらという3つの殺陣で構成。「本来、彼女が3人斬ることはできないんですが、平気で斬ってしまう。そのとき、斬られる側のポジションや斬られるタイムミングが重要になります」と説明しました。
その後は中島監督と清家さんによる質疑応答が。
「今作は冒頭から山本千尋さんという若い女性の出演から始まる。先ほどのデモンストレーションでも、女性が男性3人を倒していたが、時代劇の将来に女性は肝となるのでしょうか?」という問いかけに、中島監督は映画における時代劇の歴史の中で『大奥』を引き合いに出しながら「これまでは男性から観た女性しか描かれていなかった」と説明。が、近年の劇的な変化として歴女の存在を挙げ、「日本刀に魅せられる女性が増えてきたので、時代劇そのものというよりは日本刀やちゃんばらに興味を持つ女性は増えてくるだろう」と語ります。
「近年おすすめの時代劇作品」としては『超高速! 参勤交代』をプックアップし、「ちゃんばらじゃないけど、時代劇の新しい側面を出していて、アクションシーンもリアリティを失わない面白さを思考している作品」とコメント。「若い作り手に(時代劇製作への)意欲を持っているような環境をつくるのかは、私たち年寄りに突きつけられている課題だ」と気を引き締めます。
一方の清家さんは、CSの時代劇専門チャンネルを挙げて「最近、独自で新しい番組を撮影している。名作のリメイクもあるし、コミック原作のものを映像化していたりと試みがあるので、時代劇としてひとつの道の開き方になるのでは」と展望しました。
殺陣の演出として「どこまでリアリティを追究するようになるのか」という質問に、中島監督は「昭和10年くらいまではほとんどがサイレントで、それ以降、音が入るようになりましたが、戦後の映画で使っていたのは竹光ですから、木と木がぶつかる音が入ってますよ。昭和35~36年頃に刀と刀がぶつかる音にリアルさが出て来て、それ以降は進歩してない」と返答。清家さんは「聞き慣れない音を入れたりと過去の作品にはチャレンジしているものもある。が、果たしてどれがリアルなのかと言われると難しいところ。これからもいろんなかたちが出てくる可能性があるが、一般的になるかはわからない」と補足します。
また、「作品の中で真剣を使ったことはあるか」という問いには、「光を撮る時に使うことはあるが、振り回すことはない」と言い切る中島監督。「日本刀は恐ろしいんですよ。持つと高ぶっちゃう不思議な力があるんです」と神妙な面持ちで話しました。
映画『時代劇は死なず ちゃんばら美学考』
監督: 中島貞夫
出演: 中島貞夫、山本千尋、木村彰吾、東映剣会、松方弘樹
制作:KATSU-do
製作:吉本興業
公式サイト: http://www.chambara.net