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2016年9月28日 (水)

「まずは落ちているボールを拾いましょう」真面目な中に笑い発生?!『沖縄を変えた男』完成披露上映会

9月25日(日)、映画『沖縄を変えた男』の完成披露上映会と舞台挨拶が那覇市のシネマQで行われ、主演のガレッジセール・ゴリ、田中永一さん、シウマさんらが登壇しました。

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『沖縄を変えた男』は、沖縄水産高校野球部を2年連続で夏の甲子園準優勝に導いた名将、栽弘義監督をモデルに描いた映画で、実際に歴任した小禄、豊見城、沖縄水産高校時代からのエピソードと思想を凝縮して、成功の裏に隠された監督のプレッシャーや孤独を描きだした作品です。

映画の上映は朝9時からだったのですが、会場には多くの観客が詰めかけ、「映画を観終わったら練習に行く!」という少年野球チームの姿も見られました。

舞台挨拶の進行役であり、劇中で栽監督の同僚役を演じた山城智二さんがゴリに感想を聞くと、「まずは多くの人が来てくれて嬉しい」と感謝を述べ、「やりがいのある偉人なので、(映画を見た人に)『こいつは栽じゃない!』と言われないように頑張った。原作を読むのはもちろん、栽監督の娘さんに直接話を聞きに行ったり、当時沖縄水産高校の野球部に所属していたシウマにしゃべり方や癖を聞いたりと、緊張感を持って役作りに励んだ」と話します。

役作りだけでなく、撮影現場でもずっと緊張感は漂っていたようで、ゴリは「スパルタで部員を鍛えていくから、どうしても暴力のシーンがあるでしょう。リハーサルでは殴るふりだけど、本番では実際に叩かないといけないから、絶対take2なんて考えられない!と思ってて、1発OKのことが多かった。スタッフさんも『今自分が何か変な音でも立てたら、またあの人が殴られる!』って、すごく張りつめた空気の中撮影してたね」と、周りの登壇者に同意を求め、周りも大きくうなずきます。しかし、キャプテンを演じた初恋クロマニヨンの新本が部室で殴られるシーンでは、1発OKのはずが岸本監督の希望でアングルを変更してのカットも撮られることになり、「新本もイヤって言うわけにいかないから、結局2回殴られることになって。今日監督がぎっくり腰で欠席してるのは、きっとこの時のバチが当たったんだよ」と、会場の笑いを誘います。

また、野球部のエース、太田役を演じた田中永一さんは感想を聞かれると「子どものころから栽監督の話は聞いていたし、大野倫さん(劇のモデルとなっている、1990年~1991年の沖縄水産高校野球部のエース)の事も聞いていたので、自分が演じられたことが感慨深い。暴力シーンもあるが、それは当時お互いの信頼関係があったから、(試合で勝つという)結果に結びつけられたのだと思う」と話しました。実は田中さんはオーディションでこの役を射止め、初演技だったのですが、あまりにも上手く演技をこなしていたため、山城智二さんは「撮影中、ワンシーン取り終えた後に思わず『肘、大丈夫?』って聞いたくらい」と高評価を受けていました。

そしてこの日はスペシャルゲストとして、栽監督が豊見城高校を率いた時代の4番打者を務めた石嶺和彦さん、太田役のモデルとなった大野倫さん、同じく沖縄水産高校野球部に在籍し、劇中で審判役を務めた屋良けいたさんが登壇し、当時の思い出を語ります。

石嶺さんは「自分は豊見城時代しか知らないが、沖水では、まだチームを作る前段階だったのではないかと思う」と、中学生のスカウトのため自分も栽監督と一緒に生徒の家を回った経験がある事を話します。また、プロの道に進んでからは「現役選手時代は栽監督とはあまりしゃべれなかった。『彼はプロの道に行ったのだから、アマチュアの僕が言うことは何もない』と距離を取ってくれていた」と、監督なりの気遣いを語りました。また、役作りについてゴリに聞かれると、「ゆっくり話すところとか、指導するシーンとか、とても良く似ていました」との評価。しかし大野さんからは「本当の監督はもっと毛深いです」と意外な評価を受け、ゴリが「そこ(腕の毛)が足りないなんて思わなかった!!」と、会場を笑いに誘います。

引き続き大野さんにはゴリが「映画を見て、当時を振り返って苦しくなかった?」と質問。大野さんは「それこそ豊見城時代や、グラウンド作りの世代の想いを全て引き継いで準優勝まで行けたのに、『次は優勝だね』と周りに言われていたから、地面に沈むくらいいろいろなものを背負っていた。けれど、自分が肘を痛めている時、監督から直にマッサージしてもらったり、ありとあらゆる治療を受けたから、いい思い出しかない」と語り、会場は安堵の笑みに包まれました。また、大野さんは「映画を見て、先生は戦争に対して苦悩していたのかもしれない、と気づかされた」と一言。学生時代とは違う視点で栽監督の行動を追えたことをにじませます。

穏やかな記憶の方が多い、という二人と対照的なのが屋良さん。「監督の横を通り過ぎる時、挨拶したのに急に8発殴られて。実はその時、足元にボールが転がっているのに気が付いてなかったんです。それ以来、どこにいてもボールが転がっていたら拾います」と暴露。ゴリがすかさず「グラウンドは神聖な場所、って言う考え方、劇中にも出て来るもんね」と同意しますが、「でも屋良さんとゴルフに行ったらボール打つ前に拾われるんでしょ?!」と、早速会場に爆笑を引き起こします。

舞台挨拶の終わりに、ゴリは「3人がまだおそるおそる栽監督の名前を口にするところが、栽監督のすごさを物語っていると思う。自分が今、沖縄のために何ができるか考え、今の時点では嫌われても、それが将来の沖縄の笑顔につながっていくのなら、自分のすべきことをやり、繋げていく。それが大切なことなんだと自覚してほしい」と述べ、「まずは、視界に落ちているボールがあったら拾いましょう」と真剣なコメントからコントへと急展開。会場は大きな拍手と共に笑いの渦に飲み込まれたようでした。

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上映後、会場に訪れていた豊崎ベースボールクラブの5年生・6年生の子供たちに感想を聞くと口々に「自分たちも甲子園に行く!」と目標を語り、「(映画に出てきたみたいに)毎日1000回素振りします!」「坂道ダッシュを練習に入れます!」と宣言。また、子供たちを引率していた、元沖縄水産高校野球部で大野さんと同級生の上地宰将監督は「当時は子供だったが、自分が大人になってみると栽監督が言いたかったことが少しわかった気がする。ボール拾いやマナーなどの基礎的なことを子供たちに教えるのはもちろん、映画で見たことを持ち帰って、もっと噛み砕いて伝えていきたい」と、感慨深そうに話していました。

『沖縄を変えた男』は10月8日(土)から、沖縄県内のスターシアターズ系の劇場で公開されます。