満員御礼!大成功を収めた劇団間座の旗揚公演「恋の虫」
「若手に活躍の場を」という間寛平の思いから立ち上げられた「劇団間座」旗揚公演『虫の恋』が、12月24日(土)・25日(日)にHEP HALLで上演されました。出演は間寛平、坂田利夫をはじめ、吉本新喜劇、よしもと芸人らプロ・アマ問わず公募で選ばれたメンバーです。
テーマは"虫"ということで、舞台は虫の世界。冬が来る前にほとんどが寿命を終えてしまう彼らは、「クリスマスツリー」を知りません。「今年の冬は、みんなでクリスマスツリーを確かめよう!」と夢見る虫たちの希望と恋の行く末、そして"クリスマスの奇跡"が綴られる優しさに満ちあふれた物語となっています。脚本を手掛けたのはNON STYLE・石田明で、ミュージカルスタイルで進行。劇中歌の詞を提供したのは、大人気脚本家・俳優でミュージシャンの顔を持つ宮藤官九郎さんです。
■
超満員の客席を前に、ホームレスの男性に扮した寛平が登場。セミの鳴き声に驚いて、集めたガラクタをうっかりぶちまけてしまいます。すると虫視点に切り替わり、音楽に合わせて踊りながら出演者たちが入場、ほうきの先端、ベストなど拾い上げたガラクタを身にまとってそれぞれの虫へと姿を変えていきます。
夏の日の夜。ラブラブなセミの幼虫カップルだいち(キタノの大冒険)とあすみ(辻凪子さん)が、人間界の花火大会を楽しんでいるところへ仲間の虫たちが集まってきました。カマキリのほのか(いがわゆり蚊)、黒光りするボディが自慢のカブトムシのひかる(ミルクボーイ・駒場)、ゴキブリのじょうじ(アインシュタイン・河井)、テントウ虫の占い師(堀川絵美)、トンボのかなた(溝口寛之)、コオロギのてんま(マブーハイ・コサップ)らは、初めて見る花火の美しさに興奮気味。
そこへカマキリのそうま(アインシュタイン・稲田)がやって来てカマキリ・ほのかを口説くが、ほのかは塩対応。「俺の子どもを産んでくれ、そして食べてくれ」「俺を食べてもおらんくなったりせーへん。おまえの中で生き続けるから!」と、カマキリの特性を交えた口説き文句をアインシュタイン・稲田がカッコよく発する度、その見た目とのギャップに客席からは笑いが起こるのでした。
遅れて、メスからモテモテの蚊・しゅうや(劇団Patch・三好大貴さん)が輪に加わります。しゅうやを通じ人間の女の子(前田まみ)から「クリスマス」の情報を得た虫たちは、どんなものか体験したいと大盛り上がり。
後日、ゴキブリのじょうじ(アインシュタイン・河井)が、クリスマス経験のあるゴキブリ・さやか(山本あきこ)を連れて来ました。SPゴキブリのげんた(ボブ)、ぶんた(みくぼ)を従えたさやかは越冬のうぬぼれから「私はパーフェクト昆虫!」と叫び、オリエンタルラジオのネタ「PERFECT HUMAN」を興じます。「やめろって」というじょうじの忠告を無視し、息も絶え絶えに踊り続けるさやからにお客さんは大爆笑。別のシーンでもカマキリ役のアインシュタイン・稲田がズレたステップの「PERFECT HUMAN」で笑いを誘っていました。
NON STYLE・石田は脚本だけでなく、毒蜘蛛れい役で演者としても参加。「ほんとエサが少なくて大変」と冬の間の食糧として、いかにも関西のおばちゃんといったテイストの蛾のふさこ(アケミ・シャイニング)、はつえ(本間圭)、あいこ(葵樹泉)を捕獲。千秋楽になってもテンポの悪い芝居を繰り広げる3匹を「下手くそ!」とドヤしたり、「いつも後処理ばかり」とボヤき、石田は気苦労の多さを訴えていました。
会場を最も沸かせたのは、オタマジャクシありす(岡田直子)が成長した姿のカエル役・兵動大樹の登場でした。「46歳になって、こういう格好するとは」と本人も戸惑い気味の衣装と、「まさか」の変貌設定も相まって、兵動が現れただけで笑い声が。さらに、カエルは肉食。虫たちを捕食し、かき乱していく様にもお客さんは噴き出してしまいます。
儚い運命を背負った虫たちに"クリスマスの奇跡"をもたらすのは、ホームレス光正(間寛平)と「わんわん」と鳴きつつ「うん」と返事してしまうダメ犬っぽいトシオ(坂田利夫)。彼らの何気ない行動が、虫たちの希望を与えていきます。また、光正の過去が明らかになると同時に、新たな感動がじんわり加わる結末となりました。
終演後、出演者それぞれが演じ切った喜びと来場者のみなさんへ感謝のことばを伝えます。
「大御所」と寛平から挨拶を促された坂田は、「ほんとに僕は幸せな男でございまして。すばらしいお客様、すばらしい仲間たちによって支えられ、涙出そうにうれしい」と感激を述べ「来年はもう絶対に結婚しますんで」と恒例の宣言。実は坂田38針を縫う負傷中で、周囲の助けによりこなせたようで「嫁はんは必要でっせ〜」と切実そうです。次に寛平は「いつも支えていた」話し、「よっこいしょ、って掛け声とともに出ると、セリフを全部忘れるんです」と坂田のウラ話を暴露。必要なセリフも飛ばしてしまっていたらしく、石田からは「今度から坂田師匠だけ干そうかなと思っています」と通告されてしまいました。
次に、演出を務めた「ちちんぷいぷい」プロデューサー村田元さんが呼び込まれ、「めっちゃ幸せです。ありがとうございました!」とホクホク顔。
そして、「チャチャマンボも、アヘアヘも言わず。血ぃ吸うたろかもせず」と自らのネタを出さずに座長として劇団員を見守った寛平は、「これからもみんなでがんばっていこうと思います」と決意を新たにします。「また来年もやろうと思っているらしいです」と石田が述べると、「(来年の)12月と決まっている」と寛平。早くも次回公演を予告していました。
虫の生態・習性を活かしたユーモアたっぷりのストーリーに笑い・歌・ダンスがプラスされて、おとなから子どもまで楽しめる内容とあって満員御礼! 劇団間座の旗揚公演は、大成功を収めました。
■
【劇団間座】【間寛平】【坂田利夫】【兵動大樹】【アインシュタイン稲田】【アインシュタイン河井】【マブーハイこさっぷ】【キタノの大冒険】【みくぼ】【溝口寛之】【ミルクボーイ駒場】【ボブ】【アケミ・シャイニング】【葵樹泉】【山本あきこ】【いがわゆり蚊】【岡田直子】【堀川絵美】【本間圭】【前田まみ】