参加者全員の成長ぶりに講師陣も感動!「ラフ&ピースツアー 2017 首里東高校」
9月9日(土)、次世代のエンタテインメント分野での人材育成を目指し沖縄県内外で展開しているワークショップツアー『ラフ&ピースツアー 2017』が、沖縄県立首里東高等学校で開催されました。
『ラフ&ピースツアー 』とは全国の中高生を対象にした1日完結型の体験授業で、エンタテインメント業界の第一線で活躍するプロと、よしもと芸人が講師を務め、「マンガ」、「アニメ」、「声優」、「ボーカル」、「ダンス」、「お笑い」、「ライブスタッフ」、「スポーツ」などの各コースで学んだ成果を1日の最後にステージに集約して発表するものです。
通常は参加者を一般募集で募っていますが、今回はツアー初の学校開催となり、首里東高等学校の在校生のみを対象に行われました。
コースは「パフォーマー・ライブスタッフコース」「クリエイターコース」の2コースに大きく分かれ、約40人が参加。講師陣に、COWCOW(漫才)、ウリズン桜・仲宗根(新喜劇)、エグスプロージョン(ダンス)、稲幸恵さん(ボーカル)、野水伊織さん(声優)、前田拓也さん(ライブスタッフ)、大橋広明さん(CG)を招き、ワークショップを実施しました。
「パフォーマー・ライブスタッフコース」では、エグスプロージョンによるダンスワークショップからスタート。2人が舞台に上がった瞬間、大きな歓声が上がります。おばらよしおの「振り付けは8拍でひとくくりだよ」「左右の動きは右から」といったポイントを押さえたわかりやすい説明に、生徒達からは「ハイ!」と元気な声が上がり、みるみるうちに振り付けを習得していきます。まちゃあきも生徒達の間を縫うように歩き、お手本を見せたり声をかけたりと指導。ラスト5分で音楽に合わせて振り付けをつないだときは、初めて合わせたと思えないくらいの出来栄えでした。
続いてはボイストレーナーの稲幸恵さんによるボーカルワークショップ。稲さんがブルーノ・マーズの「マリーユー」を歌います、と宣言した上、「これね、さっきやったダンスを踊りながら歌うから」と衝撃の発言。頬をもみほぐしたり、唇を震わせて声が出やすくなるストレッチをした後、手拍子に合わせて音程をつけずに歌詞を読んだり、ダンスのおさらいをしながら歌わせたりと、なかなかハードな指導を行いました。英語の歌詞に生徒達は悪戦苦闘したようで、次のワークショップまでの休憩時間に入っても手拍子を打ちながら歌詞の確認をする様子が見られました。
その次に行われたのはCOWCOWのお笑いワークショップ。多田健二のおじいちゃん歩きでの登場に、生徒達は早速笑い声を上げます。その後、参加者を2人1組のコンビに分け、虫食いタイプの文章が書かれたプリントを配布。「この穴のところに2人で考えた言葉を入れてネタを完成させや~」と善しが課題を言います。
お手本として、ぼんじょるの・織田と猫ノカケラ・岸本が即興のネタを披露すると、善しが「ちゃんと最初のボケを活かしつつ進めて、最後に裏切ってるところがエエね」と評価し、「ぜひ参考にしてください」と生徒達に声かけ。しかし、虫食いの文章という大まかな流れがあっても、生徒達にはネタを作るのは難しかったようで、終了時間をオーバーしてどうにか3組がネタを披露。
無事にワークショップ終了、かと思いきや、生徒達から「COWCOWさんのネタが見たいです!」「先生たちの生ネタ、見たい!」と一斉に上がるラブコール。多田も善しも、「ただでさえ昼休み短くなってんでぇ」と生徒に声をかけますが、返ってきたのは「ご飯要らないからネタ見せてください!」というさらに熱い返事。これには多田も善しも根負けしたらしく、「じゃぁ、短いの1個だけやで」と、「ドレミの歌」を基にしたネタを披露。ネタ後、多田も善しも「コレまだ完成してへんからなぁ」と照れ気味でしたが、生徒達からは喜びの拍手が上がり続けました。
この後「パフォーマー・ライブスタッフコース」は「ダンス」「ボーカル」「声優」「新喜劇」「ライブスタッフ」の個別のコースに別れ、各業界で活躍するプロの本格的な個別レッスンが行われました。
ダンスコースは振り付けを1から組み立てるところからスタート。実際に踊り始めてからも「ここでキックを入れるのは?」「この部分、座りに変えようか?」等、みんなで意見を出し合い、柔軟に振り付けを変えていきます。個別レッスンから1時間ほど過ぎたあたりで、「もう座ったら立てない...」と弱気になる子もいましたが、一旦音楽が鳴ると、きちんと踊りについていき、参加者全員の意識の高さがうかがえました。
ボーカルコースは「海の声」を練習。まずは黒板に書いた歌詞を見ながら歌うというオーソドックスなスタイル。しかし、稲さんの「覚えた?じゃぁここからここまで消していい?」の言葉に生徒達は「もう一回歌うまで消さないで!」の悲鳴を上げていました。また、ソロパートを多く取り入れ、「この部分ならMの音とSの音を強調すると上手く聞こえます」等、細かくレクチャーを行っていました。
声優コースは「Go!Go!ゴマちゃん」の実際の画像を使いアテレコの練習を実施。講師の野水伊織さんは生徒からの質問や意見に積極的に応えていました。また、アドリブについて「台本の文字では『う~』としか書かれていないけれど、実際の収録のときは声優さん『よいしょ!』って言ってたよ」等、収録現場で行われたことを例に出したりと、まさに現場の生の感覚がわかる授業を行っていました。
新喜劇コースはストーリーに沿って演技やネタを決めていき、短編喜劇を制作。「ここで台詞を言いながらマスクを取ろう」「この台詞を言ったら横にはけたら?」等、試行錯誤しながら演技を決めていくのですが、通し稽古でつまってしまったりと、台詞と動きを覚えるのに悪戦苦闘しているようでした。
そんな中、着々とショーの準備を進めていったのはライブスタッフコース。開場時の誘導係やチケットもぎり等、役割を決めた後は、配布するアンケートや資料を一部ずつセットし、「いつでも開幕して大丈夫!」という素地を作り上げていました。
一方、「クリエイターコース」は12:00からスタート。アニメ制作会社GONZOの大橋広明さんによる、Mayaを使用したCGワークショップが行われました。手元のノートパソコンで操作、左側の大画面で確認、というスタイルでワークショップを進め、参加者が行き詰ると大橋さんがじかにマウスを操作したりと、丁寧な指導を行っていました。
ソフトの中にある海を作るデータを立ち上げ、ヨットを走らせて波が立つ様子を確認した時は、「これね、レンダリングすると本物の海みたいに見えるんです。時間かかるから今日はできないけど。ニモの海も実はこの機能を使ってる」と、具体的にどういうことができるのかわかりやすく説明していました。また、参加者全員が始めてCGソフトに触ったことを知ると、「教えてくれる人がいないと挫折しちゃうんだよねー、コレ」と、みんなの笑顔を引き出していました。
各コースのワークショップ、レッスンの後は、参加者の家族や友人たちが観客となり、メインイベントのショーが披露されました。最初に行われたのはエグスプロージョンによる「本能寺の変」。観客も参加者達も生で見る名ネタに歓声しきりでした。続いて稲幸恵さんによる、オペラ座の怪人の劇中歌「Think of Me」。会場の空気がびりびりと震える程の歌声に、観客全体が圧倒されていました。続いて利根川ホプキンスによる、映画館をテーマにした漫才。「そりゃそうだよね」のオチに、観客も納得の笑い顔を見せていました。
続いては学生たちによる成果発表。キレのいい振り付けを見せ付けておいて、最後のポージングに笑いを盛り込んだ意外性のあるダンス、参加者全員息ぴったりのアテレコ、丸や立方体など無機質なアイテムに動きをつけて、「首里東」の文字を演出したCG、ソロパートを多く取り入れた歌のステージ、そして「銀行強盗はつらいよ」のタイトルでネタを組み合わせ、終盤で参加者全員のフラッシュモブを取り入れ観客を沸かせた新喜劇など、1日の総まとめとなるショーも完璧な出来栄えでした。
ダンスを指導したエグスプロージョンのまちゃあきは「1分半から2分のショーは結構な尺。2時間で仕上げるなんて普通はあり得ないけれど、みんな下を向かずに踊りきっていた」と参加者たちを褒め、アテレコを指導した野水伊織さんも「配役のときから自分の声に合ったキャラを選ぶのが上手だった。アドリブの相談や、自分で考えて取り組んでいるところが頼もしく感じた。同じ現場で一緒に仕事ができる日を楽しみにしています」と生徒達を絶賛。他コースの講師も口々に参加者の上達ぶりを称えていました。
声優コースに参加した宮本恋音さんは「もともと声優になりたくて、実際に声優さんに教えてもらえるなんてチャンスだと思い応募しました。楽しむだけでなくいい経験になって嬉しい」と顔をほころばせ、ダンスコースに参加した喜久川玲央さんは「地域の演劇団体に小学4年生の頃から所属しているので、ダンスは普段からやっているが、違うジャンルのものができて勉強になった。舞台そのものに興味があるので、次回も同じような募集があれば役者や裏方にもチャレンジしたい」と目を輝かせていました。
ショー終了後は講師と参加者全員で、ツアーの合言葉「ラフ&ピース!」を叫びながら記念撮影。参加者全員が大きく成長した全日程が無事終了しました。今回取り組んだワークショップの内容は、参加者が希望すれば再度調整を行い、来年4月に開催する『島ぜんぶでおーきな祭・第10回沖縄国際映画祭-』の『ラフ&ピースツアー』の時間にて披露する予定です。