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2017年10月20日 (金)

中島貞夫監督最新作『時代劇は死なず ちゃんばら美学考』DVD発売記念トークイベントを実施!新作ちゃんばら映画も進行中

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 10月19日(木)、代官山の蔦屋書店で『時代劇は死なず ちゃんばら美学考』DVD発売記念トークショーが行われ、同作のメガホンをとった中島貞夫監督が出席しました。

 映画『時代劇は死なず ちゃんばら美学考』は、東映京都撮影所を拠点に、数多くの映画作品を世に送り出した中島貞夫監督が、時代劇の"ちゃんばら(殺陣)"と撮影所への愛をつづったドキュメンタリー。監督自身が殺陣師、俳優、映画研究家、評論家などにインタビューするパートと、東映剣会が出演するオリジナルちゃんばらのメイキングシーンなどから構成されたドキュメンタリー作品となります。

 自身の助監督時代を振り返った中島監督は、「当時は助監督として片隅で予定表なんかを書いていたんですが、一番大きな契機となったのは、田坂具隆さん、伊藤大輔さん、内田吐夢さんという(日本映画黄金時代の)巨匠たちが"ちゃんばらとは何か?"ということを話し合っていたのを聞き耳を立てていた時だったと思います。次第に東映ちゃんばらの批判になっていったんですが、何のために人を斬るのか。いらん人を斬っているんじゃないかという話になった。それがずっと耳にこびりついていたんです」と述懐。

 そしてその後、『木枯し紋次郎』を撮影する際にその話を思い出したそうで、「そうだこれだと思い。それで紋次郎の立ちまわりを考えたんです。紋次郎の場合は、生きたいと思ったやつは逃げ回る。そういうのがハッキリしないと、やたらめったら斬らなくていいやつまで斬ってしまうから」とリアリズムを基調とした、自身のちゃんばら観のルーツを解説。さらに「この年になってから、冥土のみやげに映画を作るならちゃんばら映画かなと思っていて。ただちゃんばら映画をいきなり作るのは難しいんで、いろいろなことを考えて、予告編的な意味でこのドキュメンタリー映画を作ったというわけです」と付け加えました。


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 中島監督が東映に入社したのは1959年。当時、映画は人々の娯楽の中心で、年間10億人以上の観客が劇場に殺到していました。「僕はその5年後に監督になるんですが、その年はオリンピックがありましてね。その年の来場者数が4億人以上だから半分以下になったわけです。当時は『銭形平次』なんかもそうですが、時代劇というのがテレビの格好の素材だったわけです。ただテレビで観られるものですから、映画館に来なくなるわけですね。それは悪循環ですよ」と解説する中島監督。「ちょうど僕が助監督をやっていた5年間は、時代劇がだめになっていく時だったんですが、同時にテレビが急速に成長していくわけです。そうすると、テレビ向きの時代劇、アクションなんかをやるわけですが。それをやればやるほど、テレビに観客を取られるわけですね。黒澤明監督も(『椿三十郎』で)血がドバーっと噴き出すような、黒澤流表現方法を模索したり。(工藤栄一監督の『十三人の刺客』のような)集団時代劇といって、ひとりのスターではダメだから、みんなで乱闘する時代劇を作ったり。当時は一貫したものがなく、非常に混乱していましたね」と振り返ります。

 しかし近年では、そのテレビでさえも時代劇の制作本数が激減。次世代の時代劇を担う人材がどんどんと減ってきていることに、中島監督も危機感を抱きます。「それは本当に問題です。ちゃんばらというのは、斬るよりも斬られる方が難しいんです。この人たちの活躍のおかげで緊迫感が出てくる。一番難しいのは間合いのつかみ方ですよ。斬る方はどんどん動いていけばいいけど、斬られる方はタイミングを合わせないいけないですから。リハーサルで動きを確認したとしても、(斬られる人間が)3人目あたりになると、本番では1秒くらいの誤差が出てくるものです。だからその空白に合わせることができるのは経験が必要なんですね」と解説する中島監督。「だからその人たちがいなくなると、時代劇がだめになる。せっかくいい技術を持った人でも、活躍の場がない。そういった連中がメシが食えないからと相談を受けて、ショーをやろうということでなんとか今まで綿々と保ってきたんです。ただそうした連中も40代、50代となってきた。どうしても時代劇を作るにはお金がかかるんで、ハードルが高いですね」と指摘します。


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 その後も『狂った野獣』『沖縄やくざ戦争』『やくざ戦争 日本の首領(ドン)』『東京=ソウル=バンコック 実録麻薬地帯』といった、中島監督がメガホンを取った70年代東映の代表作について次々と裏話を披露する中島監督。待望の新作について「今はいちずにちゃんばら映画を撮りたいと思ってやっています。脚本もだいたいできて、準備段階に入りました。まだキャスティングを発表できないのが残念ですが。皆さんにちゃんばらを見直してほしいという強い願望がありますね」とコメント。次回作に向けて大いに期待をあおりました。

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