『M-1グランプリ2017』チャンピオン・とろサーモンが、NSC生の悩みに迫る! 久保田「自分を貫くことが大事」と激励!!
12月15日(金)、『M-1グランプリ2017』において13代目王者となったとろサーモンが、NSC東京にてNSC生へ向けた特別授業を行いました。
この日、NSC東京23期生を対象に行われたのは、『M-1グランプリ2017』で優勝したとろサーモンによる特別授業。即効性の高いやりとりが持ち味のダイナミックな漫才を繰り広げる彼ららしく、思い切りのよさが光るアドバイスが次々と飛び出しました。
まずは、今春NSCを卒業したばかりの芸歴1年目の芸人からの質問に応じた2人。
「M-1優勝後、生活は激変しましたか?」と聞かれると、村田は「信じられへんくらい仕事をもらってます。スケジュールが真っ黒ってよう言いますけど、漆黒。それくらい変わりましたよ」と返答。同調する久保田が「仕事が太ったというか。元々痩せてたんですけど、スケジュールが肥えてきたってことです」と独特の表現をすると、「ちょっとよくわからないですけどね」と聞き手に寄り添ったツッコミで笑いを誘います。
芸歴0~1年目にやるべきことは何かと問われると、「俺はNSC落とされたから」と呟く久保田。「99%落ちないでしょ? でも、こいつは落ちたんですよ」と話す村田が「先に(1人で)NSCに入って、こいつは落ちたけど一緒に住んでて」と続けると、その1年間は夜のアルバイトをしていたことを明かした久保田。「テレビに出たいとかって気持ちあるじゃないですか。そのとき求められるのはエピソードトークになるから、(何もない時期は)いろんなことをしたらいいんじゃないですか? いちばん辛い時期にいちばん濃い労働をしたほうがいい。労働です。労働してください!」と呼びかけました。
その後、現役のNSC生からも、たくさんの質問や悩みが挙がりました。
いちばん辛かった時期について聞かれると、「人ってあまりにも辛いことって記憶から消えるのよ。東京に来て1~2年目のことを話してくれってよう言われるけど、辛過ぎて記憶がないのよ」と戸惑う久保田。「辛いことにいちばん付けたないしな! なんかごめん!」とキッパリ言い切ると、笑いが起こります。
村田曰く「苦しいときはケンカが絶えなかった」そう。「ネタにも仲悪い雰囲気が出るから、コンビは仲がいいほうが絶対にいい。嫌いなヤツにツッコんだり、ボケたりするのってイヤでしょ? 気持ちにゆとりがあったほうがいい」と話します。
今年の『M-1』のファイナルラウンドで披露した石焼き芋のネタは3年前の敗者復活戦でも披露したもの。「見比べてください。こいつ(村田)の顔がどれだけ違うかを!」と久保田。村田は「その時期、むちゃくちゃ仲が悪かった。僕、噛まれたての若いゾンビみたいな顔してました」と笑いました。
漫才でキャラを付けるべきか否かという質問には、「自分たちはキャラじゃない。ほんまにあんな感じやから」と返した久保田。村田が「テレビに出てるクズの人おるでしょ? あの人ら、裏ではええ人やったりするじゃないですか。こいつは裏表のないリバーシブル・クズ」と断言すると、久保田は「底辺を味わってきたからキャラをつくることはない。自分を貫くことが大事」とアドバイス。「観てて、嘘付いてるなってわかるやん? 無理してキャラを作ることはないよ。キャラなんて、自然と出て来るよ」と続けます。
と言いつつも、コンビの関係性を観客にいち早く理解してもらうためにやっていることもあるそう。
久保田が「変なヤツと早くわかって欲しいから、お前(村田)は気付いてないかもしれんけど、舞台に出て行くときに袖のパネルを触りながら出て行ったりしてる」と打ち明けると、村田は「こわっ!」と仰け反ります。
一時、話しかける久保田を無視して村田が話をどんどん進めていく"すかし漫才"で、注目を集めたとろサーモン。
「システムをつくれば(売れるのは)早いっちゃあ早い。こいつ(村田)がツッコまんと無視する漫才をしたら"すかし漫才"って呼ばれるなと思ってたし、あれはテレビに出たいがためにやってました。けど、今度はそればっかりでオファーが来て。やりたくないから断ってたら、仕事がなくなりました」と回想。村田も「ほんまはああいう関係性ではないから、苦しめられました。番組に呼ばれると久保田は意外と喋るし、俺も無視せんしっていうので違うやんってなって。今のほうが自然にやってます」と話します。
だからこそ、「色々と経験したほうがいい」と訴えかける久保田。村田が「ネタとフリートークが違い過ぎるとしんどくなる。苦戦してる芸人をたくさん観て来たから、(自然にやって)ネタと同じ方法でいけばいい」と続ければ、「スタートダッシュしたいなら、キャラをつくってもいい。でも、結局(芸人生活は)長距離走やから疲れるやんか」と話しかけると、NSC生は大きく頷きます。
もちろん、多くの芸人が群雄割拠するお笑い界で勝ち残るには、個性も大事な要素の一つ。
「自分達のスタイルをどうやって見つければいいのか悩んでます」と打ち明けられると、「それぞれ、あんねんけどなあ」と頭をかいた久保田。「人前で20分のネタをやれって言われたら、どこか1つはウケるところがある。そこはヒントになるというか、自分達のスタイルになるような気がする」と話しつつ、「最初からスタイルなんてできるもんじゃない」と断言。村田も「最初からつくる人はいないんじゃないかな?(やっていく中で)こっちのほうがウケるからそうしていこうってなるもんじゃないの?」と話すと、久保田は「1年目からできる訳ないやん。それより、ネタをいっぱいつくったほうが勝ちやと思う」と話しかけます。
見た目のギャップが激しい男性コンビからの「自分達の好きなことを優先すべきか、それともお客さんにウケるものを優先すべきか、比重を知りたい」と聞かれると、「お前らはそんなこと考えんでいい!」(久保田)「一瞬で覚えられる2人やん」(村田)と悩みを一蹴した2人。
ネタ中、思い付いたアドリブを披露するのが怖いという悩みには、「(思い付いたなら)やったほうがいい」(久保田)「それはそれで、ネタになるかもしれんから」(村田)と助言。「アドリブ入れると言うたって、4秒か5秒のこと。それで怖いなんて、悩みがちっちゃ過ぎる。ぶち込んで!」とキッパリ言い切ります。また、女性コンビの片方が「一方で」と言いたかったところを、「かたもや」と発してしまうと、2人は大ウケ。「それでネタつくったら?"母親がかたもやで......"」(久保田)「"え? それ、どういう状態?"って」(村田)と提案しました。
最後に、「とにかく今はがむしゃらにネタをつくったり、練習したりしたほうがいい。お笑い(のブーム)は変わっていくので、柔軟に対応してください」とエールをおくった村田。久保田の「楽しても幸せは来ます。けど、苦労してた分の幸せがやってきます。どちらがいいか、自分で選んでください」という激励には、すかさず「瀬戸内寂聴か!」とツッコみました。
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