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2018年5月12日 (土)

方正、落語家デビュー記念日に「月亭方正独演会10周年記念公演」開催! "10年分の歴史"が詰まった新刊エッセイ「落語は素晴らしい」もPR!

40歳を前にして落語の面白さに触れた芸人・山崎邦正は、2008年に月亭八方のもとへ弟子入り。同年5月11日、山崎は「月亭方正」として落語家デビューを飾りました。それから10年。デビュー日と同じ5月11日(金)、なんばグランド花月で「月亭方正独演会10周年記念公演」を行いました。

 

「ヤマザキ一番」の出囃子が流れ、爽やかな水色の着物を纏った方正が登場しました。ステージセンターの座布団上で深々とお辞儀をし、面を上げ「おやっ?」という顔つきで「『方正おめでとう!』『10周年おめでとう!』とかそういうのはないんですね?」と、客席に歓声を求めます。これに静まり返っていた場内の緊張感が一気にほぐれてどっと笑い声が上がり、「おめでとう」などお祝いの声が次々に上がります。「気負わず普段通りにやりたい」という方正の、お客さんへの心配りが伺えます。続けて、「みなさんの大好きな方正が一席やります」と本日の進行の説明を。節目の公演なのでプレゼントを用意しようかとも考えたが、以前に提供した雪駄が、3日後にネットオークションにかけられていたのを目にし「すごく、すごく傷つきました」という経験から今回はなし。「何にもないのは愛想がないなと思ったので......今日は、本を売っております!」と代案を述べるふりをして、5月21日(月)に、10年の間に方正が培ってきたキャリアと落語への愛を語り尽くしたエッセイ「落語は素晴らしい噺家が10年、根多が教えてくれた人生の教え」が、全国の書店・ネット書店にて発売されるのをちゃっかり宣伝。方正の落語人生の振り返りに加え、上方古典落語を中心に、あらすじと方正流の解説も記載されています。

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「これまでの10年間振り返り」を面白おかしく語る方正のペースにすっかり乗せられ笑いっぱなしのお客さんたちを前に、方正は創作落語「えんま大王」をはじめていきます。死後、閻魔大王の裁きを受ける人々のお噺です。プロレスラー蝶野正洋さん、ダウンタウンの浜田雅功、松本人志などゆかりある芸人や時事ネタを絡ませて、客席を大いに沸かせました。

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次は、太神楽曲芸師・豊来家玉之助さんによるパフォーマンスです。短い棒で長い棒を巧みに操る「棒術」、おでこの上に棒を乗せ、その上に次々と物を積み上げていく「五階茶碗の曲」、「傘回し」など妙技を披露。締めは、獅子頭に命が宿ったような、柔軟な身体性と迫力のあるステップで魅了する「獅子舞」を行い、お祝いムードを高めていきました。

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上は苔色、袴は山吹き色の着物に着替え再び登場した方正は、「すごいでしょう? みなさん、獅子舞ってたむけんのしか見たことないでしょう?」と笑いを取り、「あれが本当の獅子舞です」と豊来家玉之助さんの演技の素晴らしさを称えます。そして、古典落語には色んなメッセージが込められていて、これからする落語には人生のステージ毎に必要となってくる人が変わっていくが、「同性の友達は、(最後まで)本当に必要になるんじゃないかなと考えさせられた」と方正なりの解釈を前置き。囲碁を通して描く二人の年配男性の友情を描く「笠碁」に入っていきます。素直になれない男二人を表情豊かに演じ分け、絶妙な間合いで会話のリズムを作って、お客さんの頬を緩めていきます。

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黒と鼠色の衣装に着替え、シャンとした佇まいで三度登場した方正。落語は噺家の言葉・所作をお客さんが受け取り、想像しながら愉しむものと説き、「みなさんが聞きおわった後に『あまり感動しなかったな』『良くなかったな』と思ったら、(想像力不足の)その人が悪いんです」と弱腰を見せながら、古典落語の大ネタ「鼠穴」に。"火事"が肝となる兄弟ものの人情噺を、声色を変え、緩急を付けた言葉運び、動きでお客さんに投げ掛けていきます。

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全ての演目を終え、来場者に「ありがとうございました」と感謝いっぱいのお礼を伝えます。と、そこへ師匠の八方が姿を表し、方正は驚きのあまり体を飛び上がらせていました。呆然とする方正に八方は「なんや、(舞台上は)汗だらけやな」と独演会を成し遂げたことを労いと花束を渡すと、「ご挨拶は?」と促します。ですが、感極まった方正は涙声混じりで「師匠お願いします」と助けを求め、客席から顔を背けてしまいました。

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方正に代わって「本日はようこそお越しいただきまして、ありがとうございます」と八方が一礼、袖で聞いていた「鼠穴」の夢の話になぞらえて、「あなたにとって今日は本当に夢のような日。10年前の方正君からは、10年後にこの「鼠穴」が聴けるとは思ってなかってね。『これは夢かな?』って言うたんですよ。そしたら周りの若い人がみな『夢です』って」とひと笑い差し込みます。「『じゃあ、とりあえず夢の続き見てくるわ』と、ここへ来たんです」と言い、方正の頑張りを認め「明日から君が"師匠"」と最上級の褒め言葉を贈りました。さらに「(代わって)私が"方正"という名前を......」と小ボケを挟み、すっかり場内を和ませました。

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今日のために鳴り物(三味線、太鼓、笛)を八方から借りたことなどを話して落ち着きを取り戻した方正は、しみじみと語り出します。「僕が10年前に落語をさせていただいて、落語の命を師匠からいただきました。生き甲斐を見つけました」と落語が人生を変えたと述べ、「色んなことを学んで、その学んだことが本に書いております」と結び大爆笑に。最後まで月亭方正らしい雰囲気に包まれた独演会となりました。

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公演後、月亭方正と、お祝いに駆けつけた師匠の月亭八方が囲み取材に応じました。

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まずは今日の感想を方正は、「やるまでは、『あぁ緊張するな』『イケる、イケる』という(気持ちが)毎日交互に来てて」と述べ、「今日はたまたま、『イケる、イケる』の日だったんです」と、達成感に満ちた表情で語りました。「出た瞬間の、ひと笑い目から『今日、めっちゃ大丈夫や』っていうのがあったんで、楽しくできました」と、迎えてくれたお客さんかの温かさも感じていたようです。ですが、今回で挑むのが3回目ほどの「笠碁」に関しては、「やっている最中に、まだまだやなと感じていて」と、自ら反省点を見つけ出していました。

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覚えている落語の本数を問われ方正は、「今は35本くらいですね。パッとできるのが、10個ちょいぐらいです」と回答。今日行なった「笠碁」は、「数年前に見た(桂)ざこば師匠の「笠碁」で奇跡を見たんです。本当におじいちゃん二人がパッパと出てきて。少しでもそれに近づけたらいいな」と、落語家としての憧れと目標が詰まった演目だったと明かしました。

 

10年を振り返ってを聞かれると、「めちゃくちゃ早かったですね。テレビでの仕事を20年やって、落語の世界に入って師匠に命をいただいて」と感慨深げに話します。「落語の世界は、(名前、ネタを)全てをもらうじゃないですか。めちゃくちゃもらう。だから、感謝の気持ちが自然と芽生えてきますね」と、これまでのキャリアにはなかった点に触れ、「芸歴30年なんですけど、この10年めちゃくちゃ早いです」と改めて述べました。

 

そして師匠である八方に、この10年間見てきた方正についての質問が。「もともと人までしゃべる能力がありますからね」と八方は方正を褒め称え、「普通の人の10年とはちょっと違う。中身は濃いなと思います。というても10年は、10年ですからね。これからも一生懸命汗かきながらやっていったらいいと思います。今日はこれからのための区切りということですね」と、激励しました。

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これからキャリを積めばいずれは方正も「師匠」と呼ばれる日が。その日のイメージについて聞かれ方正は、「カッコいい八方師匠」のエピソードを披露しました。方正が「高津の富」をお客さんの前で初披露する際、方正は事前に客層など場内の空気を知っておこうとしたのですが、八方は「お前の芸をやったらいい。お客さんの顔色なんか伺うな」とピシャリ。それには「噺家の生き方をスパッと言ってくれて」と、八方のカッコ良さに痺れたのだそう。来たる日のイメージを、師匠からバッチリともらっているようです。

 

そんな弟子・方正を八方は、「日本という土地の中に帰国子女が来たみたいなもの」と独特な例えで表現。「山崎邦正が落語家になっていく姿を、みなさんに見てもらえたら最高じゃないですかね。ネタは伝統ですけど、芸風は個人のものですから」と、芸人から転身した落語家・方正を温かく見守ります。

 

落語をする上で心がけていることを聞かれ方正は、「お客さんが喜ぶことをやろう」と回答。「それで言えば......」と本日の構成について語りました。1本目の「えんま大王」は「テレビの僕を半分くらい見せよう」と山崎邦正ファンきっかけで来てくれたお客さんに向けて、2本目の「笠碁」は挑戦する姿勢を見せよう、最後の「鼠穴」は、「お、すごい話やるんや」と、お客さんに少し驚いてもらえるようなものを見せようと考えていたと話します。

 

この他の質問の中で、方正が最も好きな「鼠穴」をキャリア2〜3年で覚えることに驚かれた話や、八方が実感した「月亭方正」の名が大阪に浸透してきているエピソードなどが挙げられました。

 

最後に、改めて独演会の感想を求められた方正は「正直気持ちよかったですね」と素直な気持ちを吐露。「昨日の夜中、すごい緊張して目が覚めて起きたんです。でもね、『明日、独演会をやって60歳を迎えた時、良い思い出になるやろな』と思って」と、未来の自分の思い出作りと発想を変えポジティブな気持ちが生まれ、すっかり緊張が解けたと言います。当日は、「おお、NGK(なんばグランド花月)や。めっちゃ人入ってるやん」と、心の底から楽しんで落語を披露できたようで、方正は満足げな表情を浮かべていました。

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【月亭方正】【月亭八方】

 

 

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「落語は素晴らしい 噺家が10年、根多が教えてくれた人生の教え」

月亭方正・著
5月21日(月)発売
定価:1,500円(税込)
発行:ヨシモトブックス
発売:株式会社ワニブックス