ピエール中野さん、浅井博章さんも出演! 他言無用のトークでも沸いた「ダイノジ大谷の音楽語ルシスナイト『ビジュアル系バンド編』」
5月8日(火)、ポストよしもとで「ダイノジ大谷の音楽語ルシスナイト『ビジュアル系バンド編』」が行われ、ダイノジ・大谷をホストに、ラジオDJの浅井博章さん、スペシャルゲストに凛として時雨のドラマー、ピエール中野さんが登場しました。
前回は1990年代のビジュアル系について語った「音楽語ルシスナイト」。その内容を軽くおさらいすることからイベントは始まりました。
2000年ごろ、ピエール中野さんもビジュアル系界隈にいたということで、イベント冒頭からここでしか聞けないエピソードが飛び出しました。そのまま話題はピエール中野さんの音楽遍歴について。中学2年生の時にメジャーデビュー前のSIAM SHADEを好きになったことが、今に至るきっかけだったそうです。ピエール中野さんの遍歴に絡めながら、浅井さんが当時の音楽シーンがどのように興隆してきたかを解説されます。90年代の音楽シーンの一例としてアニメ『るろうに剣心』のオープニング曲やエンディング曲になるとヒットするという現象があったこと。アニメ作品のために作った楽曲ではなく、アーティストの楽曲を起用するということが新しいムーブメントを起こしたことなど、分かりやすい解説に惹きこまれます。SIAM SHADEも『1/3の純情な感情』が『るろうに剣心』のエンディング曲に選ばれ、一気にブレイク。メジャーシーンでの足跡と、ピエール中野さんがファンとして見続けた生の現場でのエピソードが交互に絡み、聞き応えも十分でした。
ピエール中野さんの音楽活動はビジュアル系から始まったということで、当時の呼び名やバンド名なども明かされました。東京では鹿鳴館、目黒のザ・ライブステーション、池袋サイバー、大阪ではアムホール、バナナホール(前身)、"城天"などに出演したと振り返るピエール中野さん。ここでは「ビジュアル系はジャンルではなく文化だ」を共通認識とし、その文化についても深く掘り下げられました。
ピエール中野さんと浅井さんの出会いや、大御所アーティストとも親交のあるピエール中野さんだからこそ話せる、ここだけの話や、中には配信をストップする話もあり、「音楽語ルシスナイト」の会場でしか聞けない話題が幾つも飛び出しました。
そして本題へ。ビジュアル系バンドにとって全体的な人気に翳りが出てきたのが2000年代と言われているそうで、「暗黒の2000年代」と称されることも。雑誌が次々と休刊し、テレビ番組も終了と、浅井さんいわく「ビジュアル氷河期」だったその時代に、「それでも明かりを灯し続けてきたバンドがいた」とJanne Da Arcをはじめ、Psycho le Cému、cali≠gariなどの名前を挙げられ、「この時代に頑張ったバンドがいたからこそ、文化が続いてきた」とのこと。そしてアンティック-珈琲店-の出現でビジュアル系の流れが変わってきたと続けました。また、90年代までは衣装も黒いものが多かったビジュアル系ですが、アンティック-珈琲店-以降、おしゃれなアイドルのようなビジュアル系バンドも増え始め、ネオビジュアルという分野が登場。それが2004年頃だったと振り返られました。
そんな流れと、ピエール中野さんの活動も並行してトークを。2008年に武道館で行われたイベントで憧れのミュージシャンとセッションした話では、「このイベントのためにバンドを組んだんですけど、ボーカルがHYDEさんだったんです。HYDEさんがステージに出てこられた瞬間、武道館が揺れるほど歓声がすごくて、ドラムの場所から見た会場の光景は圧巻でした!」といまだ興奮冷めやらぬといった表情です。そのセッションに向けて猛烈にドラムを練習、研究、分析し、ライブも大成功。バンドメンバーの中にはムック(MUCC)のギタリストであるミヤさんもおられ、ライブを機にミヤさんとの交流も始まったそうです。ちなみに、大谷がビジュアル系に興味を持ったのはムックだったそうで、「ムックは異ジャンルとのコラボレーションなども積極的で、その音楽活動はいつも先を進んでいるという印象だった」そうです。
2015年頃にゴールデンボンバーが登場したこともビジュアル系の歴史において大事件だったと浅井さん。数あるビジュアル系バンドの中でも"突然変異"と例えました。そして「楽器を弾かないという発想で売れることが凄い」と舌を巻きます。「出てきた当時からライブハウスでものすごいパフォーマンスをしていて。とにかくそのパフォーマンスが面白かった」と浅井さん。ビジュアル系でサブカル的なショーをやっていたことも新鮮で、彼らの出現が2000年代以降の歴史を変えたとも続けました。
また、2000年代後半からはインターネットの爆発的な普及により音楽活動そのものの範囲が一気に世界へと広がりました。「日本のバンドが欧米でライブをしてもお客さんが入る時代ですからね。90年代では考えられないようなことが起きています」とピエール中野さん。音楽配信アプリなども次々出現、インターネットやスマホの存在がビジュアル系が復活した理由の一つだと振り返りました。
残り時間も少なくなったところで、お客様からの質問も受け付けました。中にはトークテーマのリクエストにも応える場面もありました。また、ピエール中野さんが大谷に「聞いてみたいことがあった」と質問を。「大谷さんは若手の頃の3年間、先輩たちに挨拶をしなかったって本当ですか?」とダイレクトに疑問をぶつけ、笑いを誘います。大谷も「あの頃はおかしなとがり方をしていた」と懺悔していました。
エンディングでは「ビジュアル系も細分化し、それぞれがマニアックに成熟していますが、ゴールデンボンバー以来、スターが生まれていません。スターが生まれるとまたシーンとして面白くなっていくと思います」と次世代スターの出現に期待したいとご挨拶された浅井さん。また、ビジュアル系アーティストのなかに3人ともが共通して気になる方もおり、「次回の『音楽語ルシスナイト』はあの方もゲストに呼びましょう!」と盛り上がり、幕を閉じました。
【ダイノジ・大谷】