東野幸治、天津木村も高座に! 『桂三度と素敵なゲストによるめっちゃええ落語会3』レポート
6月4日(月)、東京・紀尾井小ホールにて、『桂三度と素敵なゲストによるめっちゃええ落語会3』が開催され、桂三度に加え、ゲストとして東野幸治、天津 木村が出演しました。
東野幸治が桂三度に声をかけたことがきっかけとなり、スタートした『桂三度と素敵なゲストによるめっちゃええ落語会』。
第一回目は2016年6月に大阪テイジンホール、2回目は2017年6月に神保町花月で開催されましたが、東野にとっては第一回目以来、約2年ぶりの出演で、初出演の天津木村、桂三度の多彩な落語とバラエティー豊かな2時間を超える落語会となりました。
満員御礼となった会場に開演時刻が訪れると、緞帳が上がり、最初に高座へ上がったのは、桂三度。
「オープニングアクト的に」と前置きし、津軽三味線を披露する三度ですが、時折、J-POPを気持ちよさそうに熱唱し、「『津軽イノセント節』でございました」と締めくくって、最初の爆笑を誘いました。
出囃子に乗って再登場し、高座に上がった三度は、「みなさん気軽に、サンディーと呼んでください」と改めて来場者に挨拶。
この落語会が始まった経緯を説明した後、師匠の桂文枝から「『さんっ!』をやらへんのか?」と、世界のナベアツ時代のギャグ「3の倍数と3がつく数字の時だけアホになる」について、問い詰められたとのエピソードを語ります。
師匠からの言葉を受けて三度は、上方落語の『時うどん』のお金を払うシーンで「3の倍数と3がつく数字の時だけアホになってしまう」を熱演。
40まで畳み掛けて数えると、「オモロー!」ポーズで、拍手笑いを浴びました。
それから、上方落語ならではの道具『見台』や『膝隠し』、『小拍子』が大好きだと熱弁する三度は、「これさえあれば、自由に時間も場所も飛ばすことが出来ます」という小拍子を多用する新作落語を披露。
強盗に襲われたコンビニが舞台ですが、小拍子を鳴らす度に、登場人物のセリフと心の声が切り替わり、話があらぬ方向へと転がるという独創的な落語で魅了しました。
続いて高座に上がったのは、天津の木村卓寛。
ピンネタ時同様に、着物スタイルで高座に上がった木村は、代名詞である"エロ詩吟"が生まれた経緯や、2009年のブレイク時、いろはすが発売され、「あいつは同期のなかで一番すごい」といったトークで観客のごきげんを伺うと、「枕として試させてもらったんですけど、まあまあの手応えを感じました」と安堵の笑みを浮かべます。
そして、2009年に河出書房新社より刊行され、累計15万部も売り上げた『天津 木村のエロ詩吟、吟じます。』、『天津 木村のエロ詩吟、まだまだ吟じます。』の2冊を取り出し、自らピックアップしたエロ詩吟と、そこに書き添えられたひとことを読み上げることに。
客席の反応を気にしつつ、「中2男子の悲哀」「ラブホテルでの男の悲哀」「女の悲哀」といったテーマごとに吟じ、「男ってかわいい生き物だ、優しい生き物だって思っていただければ幸いでございます」との言葉を残して高座を降りました。
続いて桂三度が二度目の高座へ上がると、「天津 木村くん、面白かったー。神聖な場所をええ感じに汚してくれて(笑)」とニッコリ。
ここでは、担任教師のもとに高校を辞めたいという生徒が次々訪れる設定の新作落語を披露し、サッカー部を皮切りに、ラクロス部、吹奏楽部など生徒が所属する部活動に例えて説得する教師の悪戦苦闘ぶりに、何度も笑いが起きました。
次に高座に上がったのは、東野幸治。
「久しぶりですよ、こうやって高座でしゃべるの」「...っていいながらこうするんでしょ?」と羽織を脱ぐと、「月亭方正さんの10周年でいただきました」という扇子と手ぬぐいを見せつけ、いよいよ本題へと入ります。
「お客さん全員でそれぞれが持つ黒い球を膝の上に置きながら、僕の話を聞いてもらうシステムなんです」と前置きし、「今年上半期、いらないなと思うものを順番に説明していきたい」として、スケッチブックに書かれた『いらないモノ』についてトークを展開。
有名芸能人やテレビを見て気づいた細かい点、さらには自身に目覚めた『男気』という感情、そして世間を賑わす事件にまつわるとっておきの話を次々披露し、「みなさんにおみやげを」というテレビでは聞くことが出来ない内容に、客席からは今日一番のどよめきや感嘆の声も上がりました。
トリはもちろん、"三度"目の登場となる桂三度。
舞台袖で東野から「バトンを渡したで」ととある芸能ニュースの話題を振られたそうですが、あまりの際どさに「しゃべれるかい!(笑)」とツッコミつつも、サービストークを少しだけした上で、古典落語『大工調べ』を披露します。
この演目では見台等を使わず、大工と大工の棟梁(とうりゅう)と、家主とのやりとりを演じ、棟梁が早口でまくし立てる見せ場には、拍手喝采も。
30分近くに及ぶ熱演となった『大工調べ』の下げが決まったところで、出演者3名が高座へ揃い踏みとなり、まず木村は、「僕がやった時は、まあまあ良かったかなと思ったんですが、お二人を見たら、自分はよくもなく悪くもなく...」と自身の高座を振り返ります。
続く東野は、「落語ファンの方には申し訳ない」と恐縮しながらも、自身のトークには満足げな表情。
東野いわく、テレビでは「お笑いがわかっているフリーアナウンサーみたいな立ち位置やから、イー!って」とストレスを抱えているとか。さらに、毎年年末に開催しているライブ『東野幸治vs山里亮太』で言いたいことを言えるものの、年の始めの方の話は印象が薄くなるとのことで、「上半期でやって欲しいのよ、1年に1回」「古典落語と新作落語と悪口をうまいこと包装」してと、同落語会の継続と出演を直談判し、三度を「いいんですか?」と喜ばせました。
そして三度は、最後の演目『大工調べ』は、三遊亭兼好師匠から稽古していただいたネタだとし、「上方では僕しかやってないんじゃないですかね」と明かし、東野を「貴重な一席でしたね」と唸らせます。
最後に、三度が来場者に感謝を述べて、お開きとなりました。
今後とも、桂三度、並びによしもと落語の活動にご注目ください。
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