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2018年8月 9日 (木)

恒例の落語イベントが今年も開催! 「吉例88 第36回 桂文珍独演会」

8月8日(水)、なんばグランド花月にて毎年恒例の「吉例88 第36回桂文珍独演会」が開かれました。

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幕が上がり、まずは文珍の弟子・桂文五郎が「延陽伯」を披露。お公家さんに奉公していたため、ことば使いがとんでもなく丁寧な女性をお嫁さんにもらった男の噺です。お嫁さんのことばに困惑する男の、さながら暗号を紐解くような会話のやり取りに、お客さんはくすりと笑います。

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続いて、桂文珍の登場です。挨拶代りとばかりに時事ネタを盛り込んだブラックジョークで沸かすと、キャリア5年目の弟子・文五郎について「聞いていると高校球児のプレーを見ているようで。真っ直ぐでいいでしょう?」と評しお客さんに同意を求めます。そしてちょっぴり恨めしそうな口調で「(もう、)あんな風にはできないんです」と、おどけ笑いを誘いました。

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「おかげさまで、この8月8日の会も今年で36回目」と、文珍が噛み締めると大拍手が。さらに「日本で1番長く続いている落語会じゃないかと自負しています。せめて50回ぐらいまではやりたいなと思うんですよ」と、まだまだ尽きない意欲と共に継続を宣言しました。

 

今年で70歳を迎えることに触れ、クラス会に訪れた際のエピソードなどでお客さんから同意と笑いを得て、「らくだが来た」をはじめます。古典落語の大ネタ「らくだ」から着想を得た創作落語です。勢いのある展開に、みなじっくりと耳を傾けながら、酒癖の悪い男と、それをなだめ相手をする男とクルクル入れ替わる文珍の姿に大笑いです。

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次は今回のゲスト、柳家喬太郎さん。20数年前に東京から大阪にはじめて来た時の思い出を語りながら、「あの頃の緊張が蘇ります」とやや緊張の面持ち。加えて舞台袖の方角に向けて「どうしゃべっていんだろう。戦い方が分からない!」と心の内を叫び出し、「帰っていいですか? もう、みんなで飲みに行かねえ?」と逃げ出したくなるほど緊張しているのを吐露。まさかのことばに客席は思わず吹き出します。そこまで弱腰を見せながら喬太郎さんは「路地裏の伝説」を口演。久しぶりに地元へ集まった同級生らが都市伝説ネタで盛り上がるというもの。「どこまで大阪で通用するのかな」と不安混じりに進行し、地名「赤羽」・「大宮」が通じたのを感じ取ると「赤羽が、なんばで通用したよ!」と快哉を叫んでいました。

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この後は、再び文珍の出番。「喬太郎さんは面白いな。適度に緊張なさっているところが、いつもと違って面白いな」と、文珍は喬太郎さんへの感謝と賛辞を述べました。

 

これから行う「星野屋」が、翌日8月9日から歌舞伎座で上演される演目のひとつに入っていることを挙げ、歌舞伎のチラシをひらり。「明日が(歌舞伎座は)初日でございますけれども、その前の日にここでやってしまえということでございます」と前置きし、「ふふふ」といたずらっぽく笑って語り出しました。別れ話のもつれから男女が壮絶なだまし合いを繰り広げる様を扱った「星野屋」。あの手この手で嘘を付く登場人物のオンパレードで、その滑稽さに会場は爆笑の渦に包まれます。

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中入り後、文珍は「もう1席のところ、お付き合いいただこうと」とご挨拶。「知っていることを、みな言いたくなる」と昨今の時事ネタをマクラで出し切り、人形浄瑠璃・歌舞伎の演目「義経千本桜」のパロディとして知られる「猫の忠信」で締めます。トボけた味わいある男性や、艶っぽい女性など登場人物を表情豊かに演じ分け、客席を魅了します。合間、音に合わせ浄瑠璃調に仕立てたセリフで、落語と浄瑠璃の"芸の融合"を覗かせる一面も。

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すべての演目を終え一旦、幕。再び幕が上がった後、舞台上で文珍は深々とお辞儀し、「今日はみなさん、最後までお付き合いありがとう存じます」とお礼を伝えます。客席からは「大満足!」と言わんばかりの大拍手が巻き起こり、終演となりました。

 

【桂文珍】【柳家喬太郎】【桂文五郎】