9月24日(月・祝)、東京・渋谷TSUTAYA O-EASTにて、『オトタノ2018』が開催されました。
昨年に続き、2回目の開催を迎えた『オトタノ』は、その名の通り、"音を楽しむ"をテーマにしたフェスで、ボーカル・haderu(田村淳/ロンドンブーツ1号2号)率いるヴィジュアル系ロックバンドのjealkb(ジュアルケービー)の主催により、今年も音楽を愛するお笑い芸人、企画に賛同したアーティスト、ミュージシャン、ダンサー、アイドルら総勢30組以上が集結。
アーティストを中心とした「OTOステージ」と、その上手側に設けられた芸人メインの「TANOステージ」でのライブが交互に披露される構成で、音楽と笑いに溢れた約10時間に渡った楽しい宴の様子をレポートします(※以下、敬称略)。
開演時刻の12時には、すでにフロアは観客で埋まり、デッカチャンによるDJ=DJ DEKKAと、7月26日にZepp Tokyoにて開催された『TSM&TSM渋谷 同窓会LIVE 2018!』で選出された水越ユカによるオープニングアクトで会場が暖まってきたところで、いよいよ宴が始まります。
イベントはTOKIOの『宙船』に合わせて入場したjealkbからスタート。
haderuの「これは公開リハーサルです。本番は9時間後ですから」というユルーいMCから始まりつつも、プレイ自体は本番に引けを取らないであろう"ホンイキ"で、アジテイターのhidekiにリードされた観客たちも場内一体の振りマネで応えます。
1曲終えると、haderuはPAスタッフに「ギターの音、上げてください」と指示。ギターのsapotoも「コッペパンください」と言い、haderuから「音、関係ねーじゃん!(笑)」とのツッコミが入ります。
続いて、戻りガツオを英訳したという『Reverse Binito』では、無数のカツオのぬいぐるみが客席に投げ込まれ、投げ返されるという光景を展開し、「パクった人いない? この間のイベントでは戻り率50%だったから(笑)」と言い放ち、笑いを誘ったhaderu。
さらに『FIREBIRD』では、客席に投げられたニワトリのぬいぐるみがステージに戻ってくると、ヤキトリになっているというオチを迎えるなど、長時間にわたるイベントを冒頭からヒートアップさせ、トップバッター&ヘッドライナーの役割を全うしました。
2組目は、jealkbとは動員対決をしたこともあり、現在まで勝敗は1勝1敗だというLIFriendsが登場。先程のhaderuのMCをもじった「公開リハーサルです」というあいさつでさっそく客席を笑いに包みます。
準備体操と称して、メンバーとともに観客がラジオ体操風に体を動かし、ウォーミングアップも万全。『ファイティングポーズ』などのガンガンのロックのほか、じっくりと聞かせる『大切』など、さまざまなナンバーで魅了しました。
そして『残酷な天使のテーゼ』の幻想的なイントロが流れる中、高橋洋子がダンサー2人とともに姿を現わし、客席は大歓声に。
hidekiとともに『エヴァンゲリオン』初号機姿で登場したhaderuによると、ダメモトでお願いしたところ、一瞬で出演快諾の返事があったそうです。
「来年も出演してください」というhaderuに、高橋も「スケジュールに入れとく」と笑顔で約束。続く『TENSIONS』や『魂のルフラン』などのエヴァ関連ナンバーで喝采を浴びました。
新興宗教楽団を名乗るNoGoDは、『神風』や『絶望、バイバイ。』といったゴリゴリのヘヴィメタルナンバーを連発。ボーカルの団長は「カオスなイベントだけど、俺たち意外と曲が普通で真面目なんだよ(笑)」と苦笑しつつ、その本格的なパフォーマンスで観客のハートをしっかりつかみました。
続いて、ピンクのドレスで登場したはるな愛は、オリジナル曲『I・U・YO・NE~』を歌い終えると、早着替えをして、十八番のエアあややに突入。
『桃色片想い』や『Yeah!めっちゃホリディ』を歌った後、松浦亜弥のMC音声に合わせた口パクでも笑いを誘いました。ほかに『ダンシングヒーロー』も登美丘高校ダンス部バージョンをキレキレで披露するも、haderuとともにステージに現れたhidekiからは「さっきから、jealkbを"ジュエルケービー"って言ってるから!(笑)」との指摘が入る場面も。
次のロックバンド・PAN(パン)は、ボーカルの川が「大阪から来たPANです!」と再三にわたってアピールし、「このイベントに呼ばれて、会場がイースト(TSUTAYA O-EAST)だと聞いて、"パンと縁がある!"と思いました」「パンとイースト、熱をもったら膨らむ」と喜びの声を聞かせます。
パンを客席に投げ込むパフォーマンスの最後には、袋に入っていない"裸"の食パンを投げて、指名した観客にキャッチさせるという試みも敢行。最後の1枚で見事に成功し、ほかの観客からも祝福の声が上がります。
『直感ベイビー』や『今日だけの祭り』などの楽曲はキャッチーさ全開で、関係者エリアで楽しげに観覧していたhaderuとhidekiもステージに上がり、踊り始めるほどでした。
名古屋のスーパーアイドルユニット・BOYS AND MENからは、BOYS AND MEN(誠)として5人が「オトタノ」のステージへ。
学生服をモチーフにした衣装に身を包み、「若干の味噌くささはご容赦ください(笑)」とジョークで笑わせながらも、圧巻のパフォーマンスを披露し、ボイメンファミリーと呼ばれるファンたちもそれぞれ推しメンカラーのペンライトを振って、応援します。来年1月にはナゴヤドームでの単独ライブが決定している彼ら。ラストは『帆を上げろ』で華々しく幕を閉じました。
続いて登場した、純和製の男くさいラップが魅力のヒップホップグループ・ラッパ我リヤは、『Do the GARIYA thing』を披露したあと「お友達になりましょう」と観客に呼びかけ、音に合わせてのジャンプを要求。
フロアが揺れそうななか、最後はhaderuとhidekiも参加して「Hey ho!」「ho!」のコール&レスポンスで会場を盛り上げます。
エグスプロージョン・まちゃあきは、ひとりでできるもんと2人で登場。のっけから『本能寺の変』で会場を沸かせ、『陰陽師~Mysterious Seimei~ Feat.だーよし. ROA』でキレキレのダンスを披露したあと、吉本坂46のメンバーでもあるまちゃあきが自分で考えたという自己紹介を披露し、笑いを誘いました。
と、ここで"最強の地下アイドル"仮面女子が登場。
総勢20名の仮面をつけた女子がカラフルな衣装で歌い踊る姿は、ファンでなくても目を奪われます。『夏だね☆』では、ファンにはおなじみのゴムボートでフロアを移動する"ボート航海"が行われ、haderuとhidekiもゴムボートに乗り「ここからの景色、最高だよ!」と大興奮。
ステージ最後には、haderuの提案により、現在車椅子で活動再開したばかりのメンバー・猪狩ともかに「猪狩ちゃん、『オトタノ』で待ってるよ~!」と全員で温かいメッセージを贈りました。
大物の風格を漂わせて登場したのはm.c.A・T。『Feelin'Good~恋はパラダイス~』で観客を沸かせたあと、さっそくhaderuとhidekiが登場し、トークを展開します。
そのまま、3人で『If...』を披露し、最後はmckjやデッカチャン、PANのメンバーらm.c.A・Tをリスペクトする出演者も加わり、『Bomb A Head!』で大盛り上がりとなりました。
STARMARIEは妖しげな雰囲気で『サーカスを殺したのは誰だ』『屋上から見える銀河 君も見た景色』など立て続けに曲を披露。
5人とも黒を基調とした衣装に身を包み、ファンからの熱いコールを受けながらも、ほぼMCなしのクールな世界観で観客を魅了します。
「2年連続で『オトタノ』に出演したのはオレたちだけだったぜ~、ありがとう!」と話すのは、オメでたい頭でなによりのボーカリスト・赤飯。
2曲目の『鯛獲る』では「『てっぺん』って言うから『取ったるで』って返してもうてええか?」とコテコテの関西弁で呼びかけ、独特なコール&レスポンスで会場を沸かせていました。
今年で歌手生活50年を迎えるアニソン界の帝王にして"アニキ"こと水木一郎が登場で、ざわめきに包まれる会場。
『バビル2世』、『鋼鉄ジーグ』と『超電磁ロボ コン・バトラーV』による『ロボットソングメドレー』と懐かしのアニソンを圧倒的な歌声で響かせたあとは、haderuとhidekiが水木のトレードマークである赤いスカーフを首に巻いて登場します。
しかし、まさかの本人が巻いておらず、「ちょっと待って」と袖にはけ、無事スカーフを着用して再登場。ラストはhidekiが考えたという振り付けを会場のみんなで踊りながらの『マジンガーZ』で、会場は最高潮の盛り上がりを見せました。
リハから「初めて見る人、慣れてくれー!」等の発言で観客の心を掴んだのはキュウソネコカミ。『MEGA SHAKE IT!』『ファントムヴァイブレーション』と立て続けに披露したあと、Vo.セイヤは「(アウェイだと思っていたけど)全然アウェイじゃない! やった~! 意外とイケたー!」と叫び、笑いを誘います。
『DQNなりたい、40代で死にたい』では、「ヤンキー」「こわい」というコール&レスポンスで笑わせたり、「筋斗雲」と書かれた黄色いマットでフロアに移動したりと独特のパフォーマンスを見せ、ラストソングの『The band』では間奏で「jealkbがこのイベントに誘ってくれたとき、わざわざビデオレターをくれました。嬉しかった~!」と喜びの気持ちをセリフで表現。
ロックバンドにふさわしく、面白カッコいいステージで観客を魅了しました。
一方の「TANOステージ」でも、アーティストのライブに負けず劣らず、芸人たちが珠玉のネタでオーディエンスを魅了。
オープニングは、昨年同様、けんじるが「食い込むか? 食い込まないか?」の2択を問う、"食い込MEN"で観客とのコミュニケーションをはかると、続くクマムシは漫才スタイルながら、お馴染み『あったかいんだからぁ♪』や『損』で長谷川が美声を轟かせます。
その後も、辻井のギター演奏と歌唱による歌ネタで唸らせたアイロンヘッド、自身のギャグ「あいとぅいまてーん!」を観客にレクチャーしたですよ。、「HAGE」ラップで本格ラッパーの一面を覗かせたMCKJ(こりゃめでてーな・大江)、全身を使ったテーブルクロス引きでグローバルに活躍するウエスPと、個性的な芸人が立て続けに出演。
『ゴッホとピカソに捧げる歌』でブレイクした永野は、他にも『くまさんの応援大会』で、ジョイマンは磨きのかかったラップネタでそれぞれ盛り上げると、続くはんにゃは、一世を風靡した『ずくだんずんぶんぐんゲーム』を披露し、jealkbのedieeとのコラボも実現させます。
まだまだ芸人は控えており、なかやまきんに君が、茨城から来た男性客をステージに上げてネタに巻き込めば、2700は渾身の『右ひじ左ひじ交互に見て』でリズムを刻み、どぶろっくは『もしかしてだけど』や『STAND UP↑』といったド下ネタのオリジナル楽曲で観客が反応に困る一幕も。
ライブも終盤に近づき、大御所の風格を漂わせながら登場したレイザーラモンRGは、自身の楽曲『DO THE パンダッ!』、『いただきます』を披露し、『いただきます』のプロデュースなどをしたm.c.A・T.も加わり、2人での"いいねダンス"も実現しました。
にゃんこスターは、なわとびの超絶テクニックで魅了した他、オチに使う自分たちのマークを客席に回したり、男性客をステージに上げて、アンゴラ村長との2ショット撮影するなど、サービス精神旺盛。
そして「TANOステージ」のトリを務めたのは、ミスター人間&庄司智春によるユニットです。
先に登場した品川庄司・庄司は、自慢の筋肉美を誇示しつつ、jealkbの『metronome』を長渕節で熱唱していると、そこに現れたペナルティー・ワッキー扮するミスター人間。
「男でなければ、女でもない。性別を超越した男、ミスター人間! ニンゲン!」の決めゼリフを連呼し、徐々に笑いが大きくなるなか、その支離滅裂な主張は、『学園天国』の替え歌にも載せ、爆笑へとつなげます。
渋谷の会場の付近は、30年前に風俗ライターとして足を運んでいたといった過去も明かしたミスター人間は、庄司のギター演奏によるラストナンバー『乾杯』を気持ちよさそうに熱唱して、ステージを去りました。
ミスター人間のインパクトにざわつきが残るなか、ラストのラストとなる「OTOステージ」のトリを飾ったのは、もちろん本イベントの主催者・jealkb!
本日二度目の『Reverse Bonito』で関係者が見守る2階席までカツオのぬいぐるみを投げ飛ばせば、イントロから大盛り上がりと思いきや、イントロだけで曲が終わる『Tarte Tatin』など、緩急自在の演出で見る者を飽きさせません。
MCでのhaderuは「いろいろ誤解の多いバンドですけど、やっと認められた」と満員のフロアを見つめながら感慨深げに語り、「今日は次回につながるイベントになったと思います。来年はもっと大きな会場でやろうと思ってます!」と早くも次回開催を宣言。
アンコールでは残っていた出演者がステージ狭しと勢ぞろいすると、haderuが「今回、テーマソングを所ジョージさんに作ってもらいました!」と明かし、そのテーマソングをみんなで歌います。
「このシーンをビデオレターにして所さんに送って、来年は所さんに出てもらおう!」と呼びかけると、会場が一体となる盛り上がりに。
引きこもりへのメッセージソングでもあるラストナンバー『shell』の合唱で締めると、haderuは「本当に音楽の力って素晴らしいなと思わされた1日でした。ありがとう『オトタノ』!『オトタノ2019』で会いましょう!」と再会を誓い、約10時間に渡って行われた『オトタノ2018』は幕を閉じました。