ゲストの高田文夫さんと爆笑対談も! 『月亭八方50周年記念公演 落語誘笑会』東京公演レポート
9月1日(土)、『月亭八方50周年記念公演 落語誘笑会』の東京公演が三越劇場にて行われ、月亭八方、月亭八光、月亭方正、ゲストの高田文夫さんが出演しました。
2011年から大阪・なんばグランド花月で定期的に開催している月亭八方による落語会『落語誘笑会』(らくごゆうしょうかい)ですが、1968年に2代目桂小米朝(月亭可朝)に弟子入りした八方にとって、今年は落語家生活50周年とあり、記念のツアーを敢行。
8月18日に名古屋能楽堂で行われた名古屋公演に続くツアー2箇所目となる今回の東京公演では、八方が落語二席を披露した他、弟子で実子の月亭八光、弟子の月亭方正、さらには八方にとって「東京で唯一の知人」という構成作家でラジオパーソナリティーとしても活躍する高田文夫さんをゲストに迎えたトークコーナーと、バラエティー豊かな内容で満席のファンを魅了しました。
開演時刻を迎えると、出囃子に乗って高座に上がった月亭八方は、「ようこそお越しいただきました」と来場者に挨拶。
50周年記念ツアーで、名古屋公演、今回の東京公演、鳴門市文化会館の四国公演(9/15)、なんばグランド花月での大阪公演(10/26)と決まった経緯について触れたのち、各地にキャンペーンでまわり、「演歌歌手の気持ちがわかりました」と振り返ります。
そして、師匠の月亭可朝が今年3月に亡くなったことは、上方落語協会からの電話で初めて知ったと明かしつつ、自身の50周年というタイミングで亡くなり、「ええ時に死んでくれはったなあ」としみじみ話す八方。
そこから、可朝と可朝をかわいがっていた立川談志のエピソードへと展開し、2人が賭け事をした際、負けこんだ談志から可朝へ「これで払うよ」と渡されたのが、江戸落語の『野ざらし』のテープだったそうで、そこから『野ざらし』が上方落語界にも伝えられたと語ります。
そんな枕から『野ざらし』を披露。
綺麗な女性の幽霊にまつわる噺ですが、「せーへんのかい!」と吉本新喜劇のギャグを織り交ぜるなど、笑いどころを散りばめ、下げが決まると、大きな拍手に包まれました。
続いて、上方落語ならではの見台、膝隠しなどの道具が用意された高座へ上がった月亭八光。
「八方とは特に深い関係はないのですが、我がことのようにうれしいです」と挨拶し、さっそく笑いを誘います。
可朝は八光にとって大師匠でありながら、22年の落語家生活で、3回しか会ったことがないそうで、参院選に出馬した際の「一夫多妻」「銭湯の男女間の仕切りをなくす」といった公約を掲げて8万票も獲得といった逸話に改めて紹介。
そして我が子のかわいいエピソードを枕に、父子の噺『初天神』を披露すると、終盤の畳み掛けで大きな拍手を浴びました。
お次は、月亭方正が高座へ。
現在は大阪在中で、今日も新幹線で東京まで来たそうですが、「落語がんばってるね」「写真撮っていいですか」といった声をかけられることもなく、「東京、冷たいと思いました」といった自虐で笑いを誘うと、奇抜なキラキラネーム、力士の珍しい四股名を枕に、『大安売り』を披露。
負けっぱなしの力士を熱演した方正に、何度も拍手と笑い声が起こりました。
仲入りを挟んで、『六甲おろし』の出囃子とともに月亭八方が再登場。
ゲストの高田文夫さんを迎え入れると、高田さんが構成作家、MC、八方が出演者という形で携わった番組『らくごin六本木』を始め、レギュラーに八方が抜擢されるも馴染めなかった『笑っていいとも!』、今もっとも緊張する後輩という明石家さんまとも共演していた『ヤングおー!おー!』、楽屋ニュースが聞きたいがためにレギュラーに抜擢されたという山城新伍さんといった思い出話に花を咲かせます。
舞台には、『月亭八方 芸能生活50周年 感謝ニュース』と題されたパネルが用意され、八方お得意の『楽屋ニュース』形式で、エピソードトークを連発。
八方の『楽屋ニュース』の原点でもある横山ホットブラザーズのアキラさんを始め、大阪府知事も務めた横山ノックさん、西川きよしらのとっておきエピソードで、高田さんと観客を幾度も爆笑させます。
また、「弟子がおらんところ」を狙ったという理由で入門したという月亭可朝については、『嘆きのボイン』がヒットしたことで、八方曰く「落語の方向が変わった」とのこと。
ブレイク後の可朝は、高座でも着物にメガネ、カンカン帽、ヒゲをかいて落語していたそうで、そんな破天荒な可朝に「めちゃくちゃ(笑)」と高田さんも大笑いです。
高田さんにとって、落語家としての師匠でもある立川談志と月亭可朝の親密ぶりがわかるエピソードもあり、前出の『野ざらし』が上方に伝わった詳しい経緯や、談志から落語をしてくれと頼まれた可朝が「着物がない」という理由で出演できなかったといった逸話も。
昨今のパワハラ問題など時事ネタも頻出し、抜群の掛け合いで終始笑いを誘った対談が終わると、三度、八方が高座へと向かいます。
50年間の落語家生活を振り返りつつ、「多少習った」という黒田節や長唄、また「難しい」と言われて習わなかった浄瑠璃といった習い事を枕に、上方落語『胴乱の幸助』を約30分間に渡って熱演。
ケンカの仲裁が生きがいという幸助が、浄瑠璃を実話だと思い込み、仲裁に向かうといった噺で、もちろん浄瑠璃のくだりも見事に披露し、下げを迎えると、客席からは今日一番の大きな拍手に包まれ、終演を迎えました。
なお、公演はこの後、9月15日(土)に徳島・鳴門市文化会館、10月6日(土)に兵庫・さよう情報文化センター、10月26日(金)に大阪・なんばグランド花月にて行われ、12月中旬にはタイ・バンコクでの海外公演もございます。
今後とも、月亭八方ならびに八方一門、よしもと落語にご注目ください。
【月亭八方】【月亭八光】【月亭方正】