一発屋芸人たちが再起をかけた渾身のネタを披露!! よしもと×法務省"再犯防止"PR ステージ『RE-ENTRY!!』
10月6日(土)、霞ヶ関の法務省赤れんが棟で「よしもと×法務省"再犯防止"PR ステージ『RE-ENTRY!!』~立ち直り芸人大集合 SP~」が開催されました。10月1日の「法の日」から1週間は「法の日週間」と制定されており、法務省・最高検察庁では今年も「法の日フェスタ in 赤れんが」と題したイベントが実施されました。そしてその中のプログラムのひとつとして「再犯防止」「立ち直り」をテーマに、よしもと芸人と一緒に笑って学べるステージを行いました。ライブタイトルの『RE-ENTRY!!』は、再犯防止のキャッチコピーにもなっている言葉。かつて非行に走った過去を持つバッドボーイズの佐田をMCに迎え、みんなで一緒に学びながらも、笑いの絶えないステージを繰り広げました。
会場にやってきた佐田は「なぜわたしがMCをしているかというと、かつてわたしも法を犯したことがあるからです。今は反省をし、更生の道を進んでおりますが、そういう経験をもとに、法務省さんから依頼されて少年院で講演をしたりしております。再犯防止という気持ちを胸に秘めて、今日は更生の道を進んでいきましょう」とあいさつしました。
前半のプログラムは、かつて大ブレイクを果たした一発屋芸人たちが集合した「立ち直り芸人」ネタスペシャルを実施。かつての栄光は過去のこと...今は仕事がなくなり、腐り果てていた芸人たちが再起を掛けた"立ち直りネタ"を披露します。一組目は8.6秒バズーカー。さっそく佐田が「最近、はまやねんが離婚を発表しましたよね。でも、実は3月に離婚をしていたのに、なぜ9月に発表したのか。この半年間で何が起こったのか。あとでトークショーで聞いてみたいと思います」と離婚ネタでいじると、はまやねんが「詳しく言わんでもいいことまで。円満に離婚したんですから」と返答してみせるひと幕も。そんな導入から気持ちを切り替えた田中が「僕たちをテレビで見たことある人?」とお客さまに尋ねると、大勢の人たちが挙手。そのお客さまたちに「うれしいですね。手を挙げてくださった方、お久しぶりです。最近はテレビに出ないようにしているんです」と自虐的なジョークで会場を笑わせます。
さらに「せっかく呼んでいただいたんで、ラッスンゴレライのフルバージョンを観ていただこうと思います。ただ注意事項というか、先に言っておかないといけないんですが、フルバージョンは三分半あるんです。だいたい最初の1分くらいは手拍子をして盛り上がるんですけど、1分を過ぎたあたりから、長いなという感じになってきます。だけど、盛り上げてくださいね」と注意を喚起。しかしその甲斐もあってか、フルバージョン披露は大盛り上がりとなりました。
続く芸人は、「エンタの神様」でブレイクした、ですよ。この日の彼は、「あ~い、とぅいまてぇ~ん」のフレーズを観客に伝授。勘違いしたエピソードを披露した後に、会場全員で「あ~い、とぅいまてぇ~ん」の大合唱。これには小さな子どもたちも大喜びでした。
続いて筋肉芸人の、なかやまきんに君が登場。「大爆笑ネタが2つも出来ているんですが、時間の都合でひとつしかできません。皆さん、AとB、どちらがいいですか」と問いかけ。会場からも「A!」「B!」と意見が割れたこともあり、きんに君の持ちネタである「筋肉ルーレット」で決着。見事Bのネタを披露することになりました。
そこで会場にいた小学生の男の子に協力してもらい、ゲームを実施。会場を大いに沸かせたあと、最後は「筋肉三三七拍子」で締めくくり。会場は一体感に包まれました。
続く芸人は、ハイキングウォーキング。「スーパーイリュージョン」と題し、「ジャグリングをしながらのマシュマロキャッチ」「バランスボールに乗りながら皿回し」「コーラを一気飲みで飲み干した直後に、山手線の駅名を全部読み上げる」といった大道芸に続々とチャレンジします。
しかしどの芸もいいところまでいきながらも、惜しいところでことごとく失敗。あえなくタイムアップとなってしまいましたが、ふたりのコミカルなやりとりは、会場を終始笑いに包みこみました。
そして後半は「再犯防止クイズ!」を実施。芸人たちにクイズを出題し、それを通じて法務省の取り組みを紹介します。このコーナーでは、クイズの解説役として八王子BBS会や、協力雇用主の方をお招きし、お話も伺いました。さっそく第一問目の「更生保護のマスコットキャラクターとなっているペンギンの名前は何でしょう?」という問題からスタートしました。
それには「ペンとギン」「犯太と罪子」「宮川大助・花子」といった芸人たちのボケ回答が飛び出し、会場は大いに盛り上がりましたが、本当の答えは「ホゴちゃん」「サラちゃん」。このペンギンたちにはそれぞれ非行の道に行きかけた、という過去があるのですが、保護司のクジラ先生、協力雇用主のアシカ親方たち多くの方の支えがあって、更生ペンギンになったというバックグラウンドがあるのです。
そして第二問は「民間協力者のひとつであるBBS会。「BBS」は頭文字をとっているのですが、どういう言葉の頭文字で、どういった活動をしている団体でしょうか?」。それには「バイバイさようなら」「バッドボーイズ佐田」「ボーナス、バイトだから、支給ない」などのボケ回答を繰り広げる芸人たちでしたが、正解は「Big Brothers and Sisters」。非行を起こした少年たちの同世代の方々によるボランティア活動で、いわば兄や姉のような存在として、一緒に悩み、一緒に学び、一緒に楽しむ人たちとなります。八王子BBS会の難波さんによると、BBSの活動をしている方は全国で4,000人いるそうで、これには佐田も「こういう活動をしている方が全国に4,000人もいるんですか。頑張ってくださってありがとうございます」と感謝していました。
そして続く第三問は「協力雇用主として、犯罪や非行をした人を雇用し、立ち直りを支える村上さんですが、普段はどんな職業をされているのでしょうか?」。それには「EXILEの方」「僧侶」「社長」とボケ回答を繰り広げながらも、村上さんの職業は何なのか想像していく芸人たち。しかし、実際の村上さんは、神田で「理容店」を営んでいるのだとか。そんな彼が協力雇用主となったきっかけとしては、「更生施設から出所しても、帰る場所や、親がいない人がいて、何か出来ないかなと思っていました。そういう人たちが社会復帰をするために彼らの話を聞きながら、無料で髪をカットする活動を5年ほど前から行っています。僕も佐田さんほどじゃないですが、昔は悪かったんですよ」と笑ってみせました。
そして最後に「犯罪をした人たちが立ち直るにあたって、重要だと思うこと」についてお聞きしました。まずは松井さんが「大切なことは、本人の更生に対する前向きな気持ちと、周囲の環境による支えだと思っています。わたしも少年院に訪問に行った時に、そこにいる少年から『大学ってどんなところ?』『大学生になりたい』『僕もBBSに入って支援活動をしたい』と言ってもらったことがあって。わたしも『大学ってこういうところだよ』『BBSってこういう活動だよ』とたくさん話して、打ち解けることができました。わたしたちは学生という立場なので、少年に仕事を紹介したりとか、人生の相談に乗るということはなかなか難しいんですが、逆に少年の気持ちに寄り添って、前向きな気持ちになれるよう意識して活動をしています」とコメント。続く難波さんが「彼女がほとんど言ってくれましたけど、立ち直るためには、やはりひとりの力だけでは到底なし得ないことなので、わたしたちもBBSとして活動して、その人たちに寄り添うことで、少しでも立ち直ることができたらと思っております。わたしたちは社会の理解が大事かなと思っております」とコメントしました。
さらに村上さんが「まず目の前にいる人が、一生懸命やろうという気持ちを支持してあげることだと思います。そういう子たちは家庭環境が複雑なんですよね。普通なら両親がいて。何か悪いことをやったとしても、迷惑をかけるからとか、悲しませるからということで、どこかでストッパーとして踏みとどまるんですよ。でも彼らを見ている人、悲しんでくれる人、理解してくれる人がいないと、どうしても彼らの振り幅を超えてしまう。僕も取材を受けた時に、「なんで社会貢献をするんですか?」と聞かれたことがありましたけど、わたしは社会貢献をしているつもりはなくて、ただしたいことをしているだけ。目の前にいる人に喜んでもらえるということをどうやったらできるか、ということだけを大切にしながらやっています。そしてそういう気持ちを少しでも皆さんに持っていただけたら」と付け加えました。
そんな彼らの言葉を聞いていた佐田は、「自分の経験談から言えるんですけど、僕もさみしかったんですよね。僕は国に監禁されたことがあるんですよ。少年鑑別所というところがあって。母親が面会に来たんです。その時、僕は集団部屋にいたんで、親が面会に来たということがすごく恥ずかしく感じたんですよ。お前はまだ母親がいるんだなという感じになって。仲間の前でカッコつけたくて。面会に来た母親にイライラして。母親に「何しにきたんだ、帰れと。お前と話すことないよ。俺なんかこんな悪いことをした息子だぞ」と怒ってしまったんです。それで面接官に「もう話すことはありません」と言って出て行ったんですけど、そしたら後ろの方から母親の泣き声が聞こえてきて。「すいません、わたしとあの子を変えてください!」と泣きながら母親が土下座をしているのが聞こえてきたんですよ。その時、自然と涙が出てきてですね。なんのために突っ張っているんだと。こんなに母親を泣かせて、何がカッコいいんだと。その時に僕ははじめて、母親の愛に助けられて、更生しようと思ったんです。もう泣かすのは飽きた。これからは笑わせようと思って、俺はお笑い芸人になりました」という佐田に会場からは拍手が。その様子に照れくさそうな顔を見せた佐田は、「いろいろ悪さをしても人間ですから。愛があると感じたら、その人のために何かをやりたいなと感じれば、更生できると僕は思っております」と締めくくりました。