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2018年10月29日 (月)

東京国際映画祭で映画『銃』を上映!奥山和由プロデューサー、武正晴監督が裏側を明かす

 現在開催中の第31回東京国際映画祭 日本映画スプラッシュ部門出品作品『銃』が10月28日(日)にTOHOシネマズ 六本木ヒルズで上映されました。そして上映終了後は、本作を企画した奥山和由プロデューサー、そしてメガホンをとった武正晴監督を迎えて、お客さまとのQ&Aが行われました。

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 芥川賞作家・中村文則さんの同名小説を映画化した本作は、雨が降りしきる河原で偶然に銃を拾った大学生トオル(村上虹郎さん)がその銃に魅せられ、やがて狂気の世界に導かれていくさまをスタイリッシュなモノクロ映像で描き出した衝撃作。本作には村上虹郎さんの父・村上淳さんもとある重要な場面で出演。村上虹郎さんのデビュー作で、河瀬直美監督がメガホンをとった『2つ目の窓』以来の親子共演が話題ですが、そのキャスティングについてまず質問を受けた奥山プロデューサーは、「実は(村上淳さんの)あの役はギリギリまで別の大俳優に決まっていたんですが、その人のギャラの折り合いがつかなくてお願いできなくなった。そこでどうしようかと思った時に、(村上さんの)お父さんはどうかと思いついて。それで虹郎くんに恐る恐る聞いてみたら、『親父が大丈夫なら』ということでオッケーが出た」と説明。それには武監督も「はじめて聞きました」と驚いた様子を見せました。

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 原作小説の「銃」が世に出た時に、奥山プロデューサーは、すぐに映画化したい旨を出版社に告げたそう。しかしその時点で、すでに別の俳優さん主演で映画化企画が進められていたといいます。その後、紆余曲折あって、映画化権を奥山プロデューサーが獲得することになりましたが、「主人公を誰にしようかなと考えたんですけど、その時は誰も思い浮かばなかった」のだとか。

 本作で主人公トオルを演じるのは俳優の村上虹郎さんですが、実は村上さんとの出会いは東京国際映画祭でのレッドカーペットだったのだとか。「彼は深田晃司監督の『さようなら』でレッドカーペットを歩いていたんですけど、そうしたら『奥山さんでしょ』と。初対面なのにタメ口で呼びかけてくるんですよ。でもその表情を見て、トオルはこいつしかいないと思ったんです。だから東京国際映画祭でのご縁があって『銃』が出来上がり、この間もまた映画祭のレッドカーペットを歩くことができたので、縁があるよなと思いました」としみじみ語る奥山プロデューサー。刑事役のリリー・フランキーさんもブルーリボン賞の授賞式で会ったことがきっかけでオファー。武監督とも「刑事の役はリリーさんしかいない」と確信を抱きつつも、しかしなかなか返事が来ないことにやきもきしたとのことですが、二人ともギリギリまで出演を待ち続けたそう。その甲斐あって、リリーさんが出演することとなりましたが、そんなリリーさんの演技は驚きの連続だったそうで、初のリリーさんとの仕事に二人とも感銘を受けた様子でした。

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 メガホンをとった武政晴監督は、『百円の恋』で各種映画賞を総なめにした売れっ子監督。「武さんは『GONIN』の助監督をやっていただき。そして壮絶だった『SCORE』の現場を支えていただき。僕の作ったアクション映画を助監督として支えてくれた方。武監督もこの映画祭でバッタリお会いしたんです」と振り返る奥山プロデューサーは、「ただ武監督のスケジュールが2年後まで埋まっていた。でも一本くらい(仕事が)飛ぶでしょと言ったら、翌日飛んだんですよ。何日空きました? と聞いたら20日というんで。それでも、やっちまいましょうか、ということでどんどん進んでいって。気づいたら十分に仕上げができるくらいのスケジュールになった」と述懐します。

 一方の武監督は「原作を読んで、こんな難しいものをよく映画にするなと思ったんですよ。でもその時に(村上)虹郎が夏に空いているんだよと。それはいいなと思ったんですよ。それから(むしろ海外を目指して)日本の興行を気にしないでいいと。いまどきそんなプロデューサーはいないですよ。これは監督にとっても殺し文句でしたね。とにかく何かやりましょうと。ただ(予定していた仕事が流れたので)『百円の恋』の気心が知れたスタッフが流れてくれた」と振り返ります。そして奥山プロデューサーは「(奥山プロデューサーが手掛けた北野武監督の)『ソナチネ』みたいに年数が経って評価されるような映画になる確信があった。だから何がなんでもやろうよという気持ちでしたね」と続けました。


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 その後は客席からの質問を受け付け。喫茶店で村上さんと広瀬アリスさんが話すシーンで、まわりのガヤガヤした話し声も逐一聞こえてくるような音響設計にした意図について、タバコの使い方についての意図、モノクロの画面設計、主人公の衣装について、そして原作者の中村さんと武監督は隣の小学校の出身で、同じ原風景を見てきた同士として舞台を理解していた話など、映画を観たお客さまならではの鋭い質問の数々に丁寧に返すお二人。まわりのお客さまも熱心にその話を聞いていました。