インパルス・板倉がカリスマラジオDJに! 舞台『ジーザス・クライスト・レディオスター』ゲネプロレポート
12月12日(水)、東京・紀伊國屋ホールにて、舞台『ジーザス・クライスト・レディオスター』が開幕しました。
本作は、人気演劇作家・西田大輔と、元お笑い芸人で気鋭の脚本家でもある家城啓之(マンボウやしろ)のコラボによる、ラジオ局を舞台にしたシチュエーションコメディー。
2004年に西田大輔氏のオリジナル作品として上演され、過去4回の再演を行ってきた人気作でもある本作は、その原作を、本多劇場で上演した舞台『魔王コント』の脚本・演出を手掛け、TOKYO FM『Skyrocket Company』のDJとしてラジオ番組の裏側を知る家城啓之が脚色・アレンジし、西田氏がその脚本を演出するというコラボレーションで、新たな作品に生まれ変わりました。
今回は、そのゲネプロの模様をレポートします。
物語は10代を中心に絶大な支持を集めるカリスマDJ・ジーザス(板倉俊之)が生放送のリハを行う場面からスタートします。アフロヘアーに色つきの大きなサングラス、派手なシャツと、どことなく70年代の雰囲気を漂わせたジーザスの(電話相談を希望するリスナーへの)決めゼリフは「条件はひとつ。オレの魂を揺さぶるヤツ」。
伝説的な聴取率を誇る本番組は、いつもは収録ですが、今回は特番で生放送とあってスタッフの気合も相当なもの。入念なリハーサル後の空き時間に「ちょっと出てくる」と言ってジーザスが席を外してからも、全く当たらない占い師のゲストが来たり、スポンサーの社長が見学に訪れたり、「ジーザスの知り合い」と名乗るなにやらワケのわからない客が来たりと、スタジオはてんやわんやです。
ディレクターの長谷部(染谷俊之)は、混乱しがちな現場を構成作家の江戸川(八木将康)と一緒になんとかとりまとめようとしますが、そんな2人を邪魔するのが誰あろうこの番組のプロデューサー・山根(山崎樹範)。スポンサーの顔色をうかがってばかりいるだけでなく、自分の好みを押し通そうとするなど、とにかくクセの強いプロデューサーをなんとかうまくあしらいつつ、無事に本番を迎えようとするのですが、OA直前になっても肝心のジーザスが席を外したまま戻って来ず......。
現場はあわてふためきますが、今さら生放送をやめるわけにはいかないと、プロデューサーがジーザス不在のままOAを指示します。とにかくジーザスの穴を埋めようと奔走するスタッフたちですが、その熱気におされたかのように、なぜかゲストや客、社長やピザを届けに来た配達員までもが番組に参加し始め......。
ラジオ局のスタジオを舞台にしたワンシチュエーションコメディだけあって、登場人物のキャラクターがどれも濃く、次々と登場するクセの強い人物に目を奪われ、観客を飽きさせません。
特にプロモーションのために番組に来ていた売れない演歌歌手・氷川金次郎(ダイノジ・大地洋輔)の、プライドの高さと金ピカの衣装、それに反していろいろとやらかしがちな天然のお調子者というキャラクターの一挙手一投足には笑いが起こり、物語を盛り上げます。
さらに、兄とは正反対の真面目で内向的なジーザスの弟・吉田健康(板倉/2役)の登場によって、現場はますます混乱するのですが......。そんな彼も兄のせいで混乱している現場を見て一念発起し、思いきった行動をとることに。その勇気が彼自身にも思いがけない変化をもたらすことになります。
また、ジーザスに憧れてラジオ局に入ったばかりの新米AD・清水心(中島早貴)の純粋で未熟だけどまっすぐな心意気には、観るものを初心に返らせる力が。そんな彼女のラジオに対する愛情を通して、"ラジオの魅力"というものを改めて感じる人も多いはず。
ラジオやラジオ番組への愛情がたっぷりつまったコメディである本作。登場人物はみんな、たったひとつの番組を作るために、まっすぐに、真剣に取り組みます。だからこそ、ドタバタの生放送がようやく終わりに近づいたとき、観客はきっと、ホッとする気持ちと同時に「終わってほしくない!」「このままずっと彼らを見ていたい」という気持ちにさせられるのではないでしょうか。
『ジーザス・クライスト・レディオスター』は12月24日(月・祝)まで東京・紀伊國屋ホールにて上演中です。
【インパルス】【板倉俊之】【ダイノジ】【大地洋輔】
『ジーザス・クライスト・レディオスター』
日時:上演中~12月24日(月・祝)
場所:新宿・紀伊國屋ホール
料金:8600円(税込)
原作・演出:西田大輔 / 脚色:家城啓之
出演:板倉俊之(インパルス)染谷俊之 八木将康(劇団EXILE)中島早貴 安川純平 宮平安春 小槙まこ 大地洋輔(ダイノジ)小野寺ずる 肘井美佳 辻本耕志 山崎樹範
公式HP:https://www.mmj-pro.co.jp/jesus-christ-radiostar/