FC東京・丹羽大輝選手など現役Jリーガーがプロを目指す子供達へ真剣レクチャー!『ガチンコ真剣サッカー教室』レポート
12月16日(日)、東京・TOYO TIRES TOYOSU DOMEにて、吉本興業とマネジメント契約を締結しているプロサッカー選手・丹羽大輝選手主催の『ガチンコ真剣サッカー教室』が開催されました。
現在、日本プロサッカーリーグ・Jリーグディビジョン1(J1)のFC東京に所属し、日本代表も経験しているセンターバックの丹羽選手。子供の頃に持っていた「こんな出会いがあったらいいのに」という長年の思いを実現させたこの企画では、小学校6年生150名の応募から自らが選考から関わって44名を選抜(当日は1名欠席/無料)。また、丹羽選手の思いに賛同した同クラブ所属の守備的ミッドフィルダー・米本拓司選手、フォワード・前田遼一選手、清水エスパルスのゴールキーパー・六反勇治選手、湘南ベルマーレの攻撃的ミッドフィルダー・梅崎司選手、1月に開催されるアジアカップに出場する日本代表に選出されているサンフレッチェ広島のサイドバック・佐々木翔選手という、日本代表を経験している名だたる選手が参加しました(※所属クラブは今季のものです)。
43名の子供達に拍手で迎えられた丹羽選手は、まず「こんにちは! 今日は集まってもらってありがとうございます」と挨拶。「みなさんにプロになって世界に挑戦してほしいという思いから、今回このようなサッカー教室を開くことになりました。これからポジション別に練習を行いますが、それぞれわからないことがあると思います。各選手に話を聞いて学んで、たくさん吸収してください」と呼びかけます。
ほかの5選手が到着するまでの間、丹羽選手が「楽しみにしてる? がんばろうね!」とにこやかに話しかけるも緊張しているのか、頷くのが精一杯で言葉を返すことができない子供達。すると、丹羽選手は「返事はせなあかんよ。サッカー選手は挨拶も大事やからね」と優しくアドバイスします。
それでも緊張の解けない様子の子供達。六反選手が拡声器を使って話すしぐさを見せながら、スッと外して地声で挨拶するというボケで和ませようとしますが、驚くばかりで笑い声は起こらず。報道陣のクスクスという笑い声がドームに響きました。
その後、GK3名、ほかのポジションは8名ずつに分かれて、1時間の練習がスタートしました。ポジション別の指導では、選手それぞれの個性が表れた内容に。現役選手直々の指導とあって、子供達も真剣そのもの。夢中で練習に励みます。
アイデア豊富なプレーで攻撃のチャンスを次々と演出する梅崎選手はまず子供達を集め、静かな口調で「いちばん大事なことはメンタル。強い気持ち」とその理由について説明。その後、練習メニューが書かれた用紙を持ちながら、パスの練習を通して細かい指導を施していきます。
タイトな守備で相手の攻撃の芽を次々と摘んでいく米本選手は、パスの練習などの実践をメインに。言葉は少ないながらも子供達のプレーを真剣に観て注意点を細かく、力強い口調で鋭く的確にアドバイスしていきます。
鋭い嗅覚でゴールを量産しているベテランの前田選手。試合中の猛々しさをまったく感じさせない柔らかな口調で子供達に話しかけながら、シュート練習を敢行。言葉数は多くないものの、優しく端的なアドバイスが印象的です。
颯爽とサイドを駆け上がりながらの攻撃参加が魅力的な佐々木選手は、軽快なハキハキとした口調で指導。ステップを使って攻守を教えながら「ステップはよかったけど、もっとスピードを上げてみて」とレクチャーしたり、ドリブルの中で「このプレーはかっこいいからやってもいいね!」とやる気を触発したりと、積極的に子供達とコミュニケーションをはかります。
ストレッチ後、シュートの受け方を丁寧に指導する六反選手。「シュートを止めるには、どうしたらと思う?」との問いかけに、率直な意見を出していく子供達。笑顔が多い六反選手は彼らの意見に耳を傾けながら、そこで出た問題点を1つずつ指摘しながら答えを導いて、GKとしてのポジショニングへの理解を深めていきます。
丹羽選手はまずラジーを使ったトレーニングで、ステップワークをレクチャー。後ろ向きのステップでは「できるだけ、いい姿勢で。ここで教えているのは、1対1で対応するための練習。体を倒しすぎず、上体を起こしてちゃんとつま先でステップすることを意識して」と呼びかけます。
そのほか、ゴールへ向かう1対1の攻防では自らが実際に試合の中でやってきた方法、ヘディングの練習では高く飛ぶ方法を伝授。子供達の取り組みを見て、問題点を指摘しながらプレーの質を高めていくという方法で指導を行う丹羽選手。1対1のシュート練習では、最初に行ったラジートレーニングの重要性を落とし込むなど、言葉とプレーの両方からわかりやすい指導に取り組んでいました。
1時間の練習後、11人ずつ4つのチームに分かれて総当たりの試合を敢行。多くの得点を生み出した緑色のビブスを着用したチームが、6人の選手との対戦に臨みました。
丹羽選手、佐々木選手、米本選手といった守備陣がボールを持つと、素早くプレッシャーをかけていく子供達。ですが、さすがプロ。ドリブルや体の使い方で容易く交わしていきます。
前線では、前田選手がヘディングや胸トラップでボールを力強くキープ。鋭く速いパスから米本選手のクロスに前田選手が合わせて1点を先取すると、またもや米本選手の右サイドのクロスから中央に走り込んできた梅崎選手が強烈なシュートを決めて、2-0とします。
試合中、フィールドに上がっていた六反選手に気づかず出した梅崎選手のバックパスが、あわやオウンゴールになりかけた場面も。「お前~! なんでいないの!」と叫ぶ梅崎選手です。
先制を許しても諦めずに食らいついていく子供達は、前線でボールを奪って1点をゲット。も、最後は前田選手がダメ押しの1点を決めて、3-1でプロチームが勝利しました。
試合後は各ポジションのMVPを、それぞれの選手が選出。選ばれた参加者には、サイン入りのスパイクがプレゼントされます。6人全員から選ばれたMVPは、六反選手からゴールを奪ったFWの選手。丹羽選手は「六反選手が悔しがってました」と語りました。
「みなさん、お疲れさまでした」と参加者を労った丹羽選手。「短い時間でしたが、それぞれ学んだことをチームに持ち帰って練習してください。練習すればうまくなります。日本代表を目指して、がんばってください」と語りかけました。
丹羽選手は、本日のイベントについて「選考から関わらせてもらいましたし、自分が考えてきたことを子供達に伝えられたと思います」とコメント。子供達の練習をじっくりと観察してから、要点をわかりやすく伝えて再び練習に戻るというやり方については、「実際にやってみて説明してからのほうが、子供達も理解しやすいんじゃないかと思いましたし、実際にプロとしてやっているからこそ他にはない教え方もできたんじゃないかなとも思います」と話します。
日頃、実戦の中でセンターバックとして大事にしている思考が、随所に盛り込まれていた本日の指導。ディフェンダーとしての面白みが詰まった指導はサッカーを観戦する上でも参考になるものばかりだったと伝えると「あぁ、結構観られていたんですね」と笑いながら、「自分は常に頭で考えて、考え抜いて、日本代表にもなれました。だから、子供たちにもそういったやり方で伝えたかった」と真剣な表情で話してくれた丹羽選手。本日の参加選手は自ら声をかけたそうで、「佐々木は広島で、しかも代表に選ばれているのに来てくれたし、米本や六反も駆けつけてくれた。梅崎も違うチームなのに協力してくれましたし、まさか(前田)遼一さんまで本当に参加してくれるとは。本当にありがたいです」と感謝。今後もサッカー教室は続けていきたいそうで、「2回、3回の開催を目指していきたい」と意欲をのぞかせました。
【丹羽大輝】