入江との不思議な関係性を描いた矢部の新作漫画も発表! 17年ぶりの単独ライブ『元友達』開催のカラテカインタビュー
コンサルタント会社を起業し、社長業の傍ら年間150本講演会を行う入江慎也と、エッセイ漫画『大家さんと僕』で手塚治虫文化賞短編賞を昨年受賞した矢部太郎のコンビ"カラテカ"が、2月9日(土)、10日(日)の2日間、東京・CBGKシブゲキ!!にて、単独ライブ『カラテカ メモリアルフェア「元友達」』を開催します。
カラテカとしての単独ライブは、実に17年ぶり。
高校の同級生として出会って25年、コンビ結成22年――それぞれ独自の道を歩みながらコンビ活動を続けてきた2人に、矢部の新作漫画も発表するというライブの構想、これまでの足跡、そして不思議な関係性などについて伺いました。
カラテカ(向かって左から、入江慎也、矢部太郎)
* * * * *
――カラテカとしての単独ライブは、17年ぶりだそうですね。どうしてこのタイミングでの開催になったのでしょうか?
入江 2年くらい前から、カラテカの単独ライブをやりたいなっていうのがあったんです。結成20周年だったので。それを矢部に言ったら、「タイミングをみようよ」みたいに言われて。今、矢部の本が売れて、世の中に出た感じだから、「もう一回やろうよ」って声をかけたら、「それだけ言うなら」って承諾してくれた感じですかね(笑)。
矢部 そうですね。「今なら出来ることがありそうだな」って、やろうと思いました。
――15年くらいの間、単独ライブをやろうとはしなかったんですか?
入江 普通のネタライブはやっていたんです。2ヶ月に1回くらい、他の後輩を7組とか呼ぶライブは。単独は僕らだけしか出ないんですけど、確かに考えなかったですね。
――『元友達』というタイトルについては?
矢部 僕ら高校の同級生で、入江くんが誘ってくれてお笑いを始めたんですけど、その前は普通に友達で、お笑い始めたら、関係性が少し変わって来ますよね。今回、ただネタだけをやるだけじゃなくて、出会った時から、こういう風に関係性が変わって、今があるっていうようなものをお見せしたいなと思ったんです。そんな意味を込めたタイトルになりました。
――コンビ結成直後から『元友達』の関係になったんですか?
入江 どうでしたかね。
矢部 今も友達ではあると思うんですけど、純粋な友達ではなくて、そこはエンタテインメント性があるテーマかなって思います。それをテーマにした漫画を普通発表してもいいけど、せっかくコンビなので、二人で舞台上で出来たら、立体的に発表出来るんじゃないかなと思っています。
――全体的にノンフィクションということでしょうかね。
矢部 そうかもしれないですね。コンセプトとしては、ノンフィクション性があって、ネタもひとつのその要素としてやる感じかもしれないです。
――そういったコンセプトを聞いて、入江さんはどう思われたんですか?
入江 「ああ、いいんじゃない」って。
――あっさり快諾と(笑)。今から思うと、高校時代、お2人が友達だったことの方が意外です。
入江 そうですよね。僕の友達が矢部を連れてきて、それから誘うようになりました。クラスは一回も一緒になったことがなかったんですけど、不思議ですよね。
矢部 「どこで出会ったの?」とか「本当に友達だったの?」って質問されたりもするので、今回の単独ライブは、そういった疑問への答えにもなるんじゃないかと思っています。
――漫才とコント、そして漫画を使ったパートがあるわけですね。ネタはどうやって作られるのでしょうか?
矢部 オコチャという芸名だった元芸人の冨田雄大くんが、今作家をしていて、2年くらい前から僕らについてくれているんですね。先程言ってたネタライブとかは、3人で作ったり、僕と冨田くんでネタを考えていて、今回もその流れでいい感じのネタが作れるんじゃないかなと思います。でも、冨田くんが言うのを僕が書記みたいに書いている感じですね(笑)。
入江 もともと入江軍団の一人で、ずっと可愛がっていたんですよ。「芸人やめます」って言うから「じゃあ、俺ら手伝ってよ」って誘って。死ぬほど飯は奢っているので、文句は言わせません(笑)。
――(笑)。協賛するスポンサーさんは、入江さんが集めたそうで。
入江 はい、38社集めました。「今回、相方と17年ぶりに単独ライブをやるので、お力をひとつお貸しいただけますでしょうか」と、全部LINEでお願いしました。
――LINEだったんですか。スポンサーさんのメリットは?
入江 メリットになるかわかりませんが、僕のミニ講演会か、社長さんの似顔絵を矢部が描くか、どちらか選んでいただけます。
矢部 本当はその会社の宣伝になるような漫画を1ページ描かせてもらおうかと提案させてもらったんですけど、競合とかの問題があるから、似顔絵になりました。でも、協賛についてくれたおかげで、チケット料金を安く抑えられたんです(前売り2000円、当日2500円)。そのことでお客様に還元が出来たし、会社的にも赤字にならないので、感謝しています。
――前回、17年前の単独ライブって覚えてらっしゃいますか?
入江 覚えてます。新宿のスペース107っていう、今はなくなっちゃったところでやったんですけど、お客さんを呼びすぎちゃったんですよね。
矢部 立ち見もギュウギュウで。雨の中、タレントさんとか関係者とか外で待たせちゃったので、今回はそうならないようにしなきゃね。
入江 当日は雪が降らないといいね。
――矢部さんが漫画の才能を一気に開花させた訳ですが、これまでもコンビ間で、矢部さんのイラストは使われていますよね?
矢部 そうですね。入江くんに限らず、他の芸人さんからもお願いされて描かせていただいたり。
入江 僕がカルタを出した時も(2012年発売『合コンモテモテカードゲーム』)、矢部にイラストをお願いしました。
――入江さんのフリップネタのイラストも描かれたとか。
矢部 描かせていただきましたね。LINEのアイコンで、『この女子いけるいけない』みたいな...。僕としては不本意な画業で、筆が荒れちゃいました。
入江 なんでだよ!(笑)
――当初の入江さんは、矢部さんと大家さんとのエピソードをおもしろおかしくエピソードトークにしていましたけど、連載が始まった時の心境は?
入江 「作品にしたら」とは、ずっと言っていたんですよね。
矢部 いや、言っていないです。
入江 言ってるよ。Twitterを始めさせたのも僕ですからね。「天気予報を毎日つぶやけ」って。しばらくしたら、「板尾さんと乗馬です」って、Twitterにハマってるんじゃねえか!(笑)
矢部 Twitterはそうですけど、漫画は全くないです。
入江 僕は覚えてます。わびさび室(よしもと社内にある和室の会議室)で話しましたから。
矢部 うわー、わびさび室のディテールは、今日初めて聞きました(笑)。倉科遼先生(漫画原作者)に勧められて漫画を描き始めたんですが、そこそこ売れ始めたら、入江くんがこういうことを言い始めたんですよ。
入江 いいや、違います。
――真相はともかく(笑)、入江さんは著書を7冊も出されていて、著述業という意味では先輩ですし、『大家さんと僕』と同じ、新潮社さんからの出版もありますよね。
入江 そうなんですよ。今、8冊目を書いてます。
矢部 賞はいくつ受賞してるの?
入江 うるせえな(笑)。7冊累計でも、矢部の一冊に全然追いつかないですけど(苦笑)。でも、『夢をかなえる営業力』っていう本の担当者が出版社を辞めた時、優秀だったからよしもとに紹介したんですよ。それが今の矢部の担当ですからね。僕が『夢をかなえる営業力』を出さなかったら、『大家さんと僕』が生まれてなかったかもしれないです。つながるもんですねえ。
矢部 いやいや、無理やりこじつけすぎでしょ!(笑) 漫画を描くことになったから、担当がついただけです。恐ろしい...。
入江 矢部の夢をかなえました(笑)。
――(笑)。矢部さんも、入江さんのことをトークのネタにしたり、漫画に登場させたりしていますよね。
矢部 はい。キャラクターというか、人間性が他にまったくいないタイプなので、ネタにしやすいのはありますね。「入江くんが...」って言うと、みんな笑ってくれる部分があって、助かりますね。
――これまでの22年間、解散の危機はなかったんですか?
入江 ありましたね。4年くらい前かな? 解散じゃなくて、「活動休止しよう」って言ったんですよ。Yahoo!ニュースに載りたくて、活動休止したら載せてもらえるんじゃないかと思って。
矢部 活動休止に失礼ですよね?
入江 そう言われて、「それじゃ、俺、会社作るわ」って言ったの覚えてますね。
矢部 行き詰まると、入江くんから定期的に新しいアイディアが生まれてくるんですけど、EXILE TRIBEさんがメンバー増員した時には、「カラテカも増員しよう」と言われました。
入江 「3人組になろう」って。ソフトバンクのCMに出る前のダンテ・カーヴァーさんをカラテカに入れようとしたんですよ。そしたら、矢部に「見えない」って断られました。
矢部 その段階で、ダンテさんの人生を背負えないでしょ(笑)。
――見たかった気もします(笑)。泥の97年デビュー組などとくくられることもカラテカさんですが、最近だとガリットチュウの福島さんも売れっ子になりましたね。
入江 すごいなと思いますけど、努力してましたからね。実は福島家には、食べ物とかクリスマスプレゼントとか送っていたので、今でも感謝されます。「お金ない」っていうアピールする家族4人の写真が届いたら、送るしかないじゃないですか。
矢部 僕にも、息子さんの「焼き肉食べたい」っていう動画が送られて来て、奢ったことがありました(笑)。
――97年組からは、あべこうじさん、佐久間一行さんという『R-1ぐらんぷり』王者も輩出していますが、焦りやジェラシーはなかったですか?
入江 ぶっちゃけ、同期にジェラシーはないですね。後輩にはありますけど、一番は相方にあります。
矢部 みんながんばっていて、すごいですね。
――反対に、Bコースさんの解散にショックを受けたりは?
入江 ずっと一緒にいたし、ユニットコントライブもやっていたから、止めましたけど意思が固かったです。そんなBコースのナベを今、会社で雇っていますから、へんな縁だなって思いますよ。
――言葉悪いですけど、ナベさんには一番ポンコツなイメージが...。
入江 言葉悪いですね(笑)。今、がんばってますよ。
――失礼しました! では、最後に読者へのメッセージをお願いします。
入江 カラテカの22年間の歴史が詰まったライブなので、みなさん、ぜひ足を運んでいただきたいです。
矢部 出版する予定のない漫画を発表する場でもありますので、ぜひいらしてください。
【カラテカ】