小那覇舞天の生き様を比嘉竜太が熱演「ヌチヌグスージサビラ~沖縄のチャップリンと呼ばれた男~」
12月24日(月・祝)よしもと沖縄花月にて「
幕が上がると、初恋クロマニヨンの新本が演じる沖縄の少年とすすむと、空馬良樹が演じる祖父が登場。現代の沖縄のお笑いについて話し合うやりとりから物語はスタートします。すすむはお小遣いをチラつかせると態度が豹変し良い子になり、ポチ袋を覗いて「1万円は少ない・・・これでは生活できない。おじさんは2万だったのに・・・」とケチをつける問題児。祖父に沖縄のお笑いに興味が無いか聞かれても「沖縄のお笑い意味わからん。方言わからんし見る気がしない」と全国放送のM1グランプリに夢中になっている、現代の祖父と孫ならではのやりとりを笑いを織り交ぜながらリアルに演じます。それでも「沖縄は海も空も綺麗で人が温かいから好きだ」と話す、すすむに祖父が「沖縄の笑いの原点を作った男の話をしよう。本当の沖縄を知るには表の明るさだけではなく、笑顔の裏に隠された悲しい歴史を知ること。戦後を乗り越えてきた強さを知らないといけない」と語りはじめ、舞台の時代背景が戦時中の沖縄へと移り変わります。
壇上には丸メガネにひげ面、歯科医師としても活躍していた小那覇舞天になりきった比嘉が登場。「生まれは今帰仁。好きなディズニーキャラクターはアラジン。小那覇舞天です!」「なんで口がここにあるかわかるか?おでこに口あったら味噌汁飲んだとき目に入るでしょ!そういうこと!」と持ち前のキャラで、三線の腕前と歌声も披露。舞天の姿と重なる演技で観客の心を掴みます。ハイビスカスパーティのゆかは舞天を支えるしっかり者の妻を演じ、また、舞天の才能に魅了され弟子入りする照屋林助の姿をマルキヨビルのしょうへいが熱演。得意の一升瓶芸を2人で協力して披露したりユーモアたっぷりの演技は大好評でした。
また、劇中、至る所に戦時中の爆撃の様子や目を背けたくなるような悲惨な映像も織り交ぜ、自分がおとりになって友人を助ける少年兵や、戦争で幼い我が子を亡くし悲しみにくれる母親といった悲劇的なシーンでは、芸人とは思えないような白熱した演技が次々に繰り広げられます。戦争が終わり暗く苦しい生活の中、芸能が受け入れてもらえない状況でも「我々が笑顔を届けないと島はずっと暗いまま。沖縄に笑顔を届けるまで絶対に諦めない」と不屈の精神で笑いを届ける舞天。「ヌチヌグスージサビラ(せっかく命を拾ったのだからみんなでお祝いしましょう)」と執念と熱意で生き残った人々を勇気づけ、受け入れられていく姿を全力で演じる比嘉の姿に、涙を拭う観客の姿も見られました。
上演後、出演者全員が再度舞台に登場すると観客は拍手喝采。比嘉は「クリスマイブなのにこんなにお客さん来てくれて・・・」と客席を見渡し、空馬も「いい噂を聞きつけた耳の肥えたお客さんが集まっています!」と感無量の様子でした。また、しょうへいは「比嘉が稽古の際にメンバーがうまくまとまらず、自分はリーダーに向いてないと悩んでいる姿が舞天に見えた」と練習時のエピソードを明かすと比嘉は「ラーメン屋で話したときか!?超恥ずかしい!」と両手で顔を覆い、しょうへいに「みんなついて行ってるよ」と宥められると「誰か!お前は!」と恥ずかしさのあまりしょうへいに逆ギレしてしまいこれにはメンバーと観客も大笑い。
また、年内でコンビを解散するぐりーんのーとが演じた少年兵2人の友情のシーンでの「戦争が終わったらまた遊ぼうな」のセリフがお互いにエールを送りあっているように見えたと、他メンバーから好評価。我が子を亡くし悲しみに打ちひしがれる母親を演じたハイビスカスパーティの千秋は「シリアスな演技したことないのに舞台に立ったら自然と涙が流れて、私女優でも行けると思った!」と自画自賛し会場を沸かせていました。
最後に比嘉は、「舞天さんの"僕は有名になりたいとかお金儲けをしたいとか考えていない。いつも人を笑わせるにはどうしたらいいのかと毎日考えていた"という言葉が心にずっと残り、この舞台を手掛けるきっかけとなった」と舞台制作のエピソードを明かし、「恥ずかしいけど僕はいつもガソリンを500円分入れています。お金は大事って話です」と締めくくると、比嘉ならではコメントに出演者も観客も大爆笑。さらに「今日は多くの人が来てきてくれて感謝しています。またいつか舞天さんを演じたいと思っていますので、その時はまた是非来て下さい」と感謝と意欲を延べ、大きな拍手と歓声が鳴り止まない中、公演は幕を閉じました
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