霜降り明星、NSC東京24期生へコンビとしての在り方について熱く語る!
1月30日(水)、『M-1グランプリ2018』にて14代目チャンピオンとなった霜降り明星が、NSC東京24期生を対象とした特別授業を行いました。
最年少チャンピオンに輝いた霜降り明星。若くして栄冠を勝ち取った彼らの授業を待つNSC生たちから、緊張した空気が漂います。それに触発されるように「俺らが緊張してきた」とつぶやいたのは、本日のMCを務めるまんぷくユナイテッド。松下は「これから霜降りさん登場しますけど、本物だぁって感じでしょ?」とちょっとおどけた感じで話しかけて場を和らげたのち、霜降り明星を呼び込みました。
松下は、まず『M-1』決勝の雰囲気について質問。「非常に楽しい現場でしたよ。予選のほうが緊張していて、決勝は優勝できなくても全国放送でネタが1本できるというお得感しかなかったですね。割とリラックスしてできました」と振り返った粗品。こもった声で話し始めたせいやは「喉の調子が悪くて......息止めてじゃないと喋れないんです。ほんまに真面目なことを喋ってるってことだけわかってください!」と前置きしながら、「みなさんの中にいつか決勝に行く人もおると思います。そこで大事なのは、普段の舞台で如何に『M-1』決勝を意識しているか。いろんな舞台にこれから立つと思いますけど、俺は松本(人志)さんに観られてるねんって思いながら毎舞台、やることが大事です」とレクチャー。松下は「今の言葉、僕らに響いてます」と噛みしめるように呟きます。
「僕ら、仲がいいんです。喧嘩を1回もしたことがないのが強み」と言い切る粗品がネタ合わせ時に気をつけているのは、相方への伝え方。「相方の意見はちょっとちゃうなと思っても、肯定してから否定するというか。確かにA案でもええよな、わかるわ。でも、B案でも良さそうじゃない?って柔らかい言いかたをすると、相方にもちゃんと伝わると話すと、せいやは「2人でネタを作っていくうちに、例えば50個考えたとしたら半分くらい発想がかぶるようになる」と同調。松下に「どっちかが納得しないままやったネタはないですか?」と聞かれると、粗品は「最初からそういうのは一度もないです」と言い切ります。
霜降り明星が授業中、何度も繰り返してNSC生に伝えたのは、相方への思いやり方について。「コンビを組むってすごいこと。相方を大事にしてほしい」とせいや。粗品は「どっちかがネタを考えているコンビも多いと思いますけど、ネタを考えるほうで"こいつ考えてへんのに、なんやねん"って思う人は多いけど、できれば思わんといたってほしい。相方がいての自分ですから。一方で、ネタを考えてへんほうは考えているほうを100倍リスペクトして、相方がネタを考えてる間に特技を考えるとかしてほしい」と優しく訴えます。
NSC生からの「粗品さんのツッコミのワードセンスがすごい。ボケが浮かんでからツッコミを考えるのか、逆なのか教えてください」というネタに特化した質問に、粗品は「僕らは特殊かもしれないですけど、ボケとツッコミをセットで思いつくことが多い。だから、(せいやには)このひとくだり、どうや?って提案しますけど......それで言うと、ボケを先に考えてることになるんですかね?」と思案します。
松下から「粗品さんのツッコミに憧れる人が多いと思う」と声をかけられると、「ただ、僕のはボケがないと意味がわからんツッコミが多い」と返答。現在のスタイルになった経緯については、「ピン芸人の時に、体言止めのツッコミがいくつかあって。漫才をやり出して、人と違うことってなんやろなって思ってツッコミのフレーズを短くしたんですかねぇ。千鳥のノブさんみたいに方言でツッコむとか影響を受けがちなので、逆に行きたいなと思ってました。あと、フット(ボールアワー)の後藤(輝基)さんにも憧れるんですけど、僕はあんまりないほうにいきました」と丁寧に答えました。
そもそも、NSCを卒業していない2人。大学生のとき、劇場のオーディションから芸人になった粗品は「入りたかったけど、そのタイミングがなかった」とその理由を説明しつつ、「発声の授業っていいですよね。ライブ中、MCの人がコケたとき、面白いフレーズが思いついていても、20人くらいいるひな壇で声が前まで届かへんってことがあって。もうちょっと声が出たらなと発声の大事さを感じたので、ボイストレーニングには行きました。声が大きいと、堂々として見えるから面白いですしね」と実体験を基にした実用的なアドバイスを。
芸歴3年目の粗品に誘われて、急に芸人の世界へ飛び込んだせいやは当初、戸惑いが大きかったそう。「最初のスタートで、僕はすでに3年目扱い。ピンでやってた粗品のおこぼれで出させてもらった最初の仕事が、笑い飯さんのラジオやった」と語ると、NSC生からどよめきが。「昨日まで大学生でしたって言えないから、めちゃくちゃキツかった。(空白の)2~3年を埋めるために、最初はスベりまくりました」と当時を思い出すように顔をしかめて語りながら、「みなさんがめっちゃ羨ましい。NSCで卵の段階を踏んで、地肩を固められるなんて」と学びの大切さを熱く説きました。
霜降り明星と同い年だという、まんぷくユナイテッド。狩野が「ラジオ番組でご自身を第7世代っておっしゃってましたけど、自分たちの世代で引っ張っていこうという意識に感銘を受けました」と話しかけると、せいやは「西梅田劇場で、ライセンスの井本(貴史)さんに今までの『M-1』はダウンタウンさんの影響を受けた後輩が出てるという認識だったけど、霜降りの漫才にその影響の終わりを観たと言われたんです。そういう意識はなかったですけど、ダウンタウンさんという神様的な存在の人たちの影響からだいぶ時が経っているのは、僕らとしてはラッキーかもしれない」と返します。
「あんまり観たことがないことをできるだけやりたいなと、2人で話してますよね」と言う粗品の言葉を受けて、せいやはさらに「だからこそ、先輩を尊敬してないといけない。十分に知ってリスペクトした上で、新しいことを目指さないといけないんです」と断言。さらに「講師や先輩からのアドバイスを聞くべきか否か」という切実な問いかけに、大きく頷く2人。粗品が「貫いてください。負けないでください」と優しくも力強いメッセージを伝えると、せいやもまっすぐな目で「その人が自分の人生を守ってくれるわけじゃない。僕らもそういうものと死ぬほど戦ってきました」と発言。も、「それ、ええなと思ったら取り入れればいい」(せいや)「3人に同じことを言われたら、考えたほうがいいかもしれない」(粗品)と柔軟な対応も促しました。
ピン芸人としてのネタ作り、『R-1ぐらんぷり』の戦い方、ネタとの向き合いかた、女性コンビの悩みなど、さまざまな質問に対して、真摯に答え続けた霜降り明星。今年3月に卒業して4月からプロとしての第一歩を歩き始めるNSC生へ、「お笑いを楽しんでください」(粗品)「僕はすごい後輩が出てきたって思いたいですし、それによってやっぱり吉本はすごいって思いたい。芸歴3年目でも爆発的に売れられる世界なので、3年までに売れるぞっていう意気込みでやってほしい」(せいや)とエールをおくりました。
囲み取材で、感想を訊かれた2人は「みなさんが必死に手を挙げてくれて、かわいかった。すごい経験でした」(せいや)「全員売れてほしいなという気持ちになりました」(粗品)とコメント。優勝後、街で声をかけられる機会も増えたという粗品は「おめでとうって言われると、優勝したんやって実感が湧きます」としみじみ。一方、せいやはももいろクローバーZのみなさんから声をかけられたことが嬉しかったそうで、「夢かと思いました。いちばん嬉しかった」と喜びを語ります。
次なる目標については、「みなさんに覚えてもらうことがいちばん」とせいや。現在、予選真っ只中の『R-1ぐらんぷり2019』では準々決勝へ進出している2人ですが、せいやが「今、目標を2人でゆっくりと話し合う時間もないくらい、お仕事をいただいていて。新幹線で考えるんですけど、揺れるんで思いつかない」と吐露すると、報道陣から笑いが。「3回戦のネタでは決勝に行けないんで、ゼロから考えます。タクシーの中とかで」と意気込むと、粗品はフッと吹き出しながら「タクシーも揺れる!」とツッコみます。
現在は、さまざまな体験によって刺激を受けている最中のよう。「(ビート)たけしさんに初めてお会いして、収録終わりにありがたいお言葉をいただきました。レジェンドの方の仕事に対する姿勢を間近で観られて、チャンピオンを獲ってよかったなと思います」と、噛みしめるように話すせいやでした。
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