6月19日(水)、『自縄自縛の私』DVD&BD発売! 竹中直人監督インタビュー
6月19日(水)、竹中直人監督作『R-18文学賞 vol.1 自縄自縛の私』のDVD&ブルーレイがリリースされます。
本作は、「女による女のためのR-18文学賞」の大賞を受賞した蛭田亜紗子さんの同名小説を映画化したもの。自分で自分の体を縛る“自縛”行為を密かな安らぎとしていた主人公・百合亜の心の解放と成長を描きながら、女性でも観られるキュートな官能映画として注目を集めました。
今回はDVD&ブルーレイ発売を記念して、竹中直人監督にインタビューを敢行。作品について、じっくり訊きました。
――まず、今作の監督を引き受けることになったいきさつを教えてください。
「(プロデューサーである)奥山(和由)さんから“この作品を撮ってみないか?”と言われたのがきっかけですね。初めて監督したのは34歳の時です。「無能の人」という作品でした。僕が32歳のときだったかな。当時、奥山さんがプロデュースなさっていた『226』っていう映画に僕は出演していて、ある日誘っていただいた食事の席で映画の話ばかりしている僕に、“そんなに映画が好きだったら、自分で撮ってみればいいじゃないか。1億出してやるよ”って言ってくださって、映画を監督することになったんです。その奥山さんが再び“映画を撮らないか?”と声をかけてくださったので、“僕でいいんですか?”と思いつつも、“ぜひぜひ”とお引き受けしました。蛭田さんが書かれた原作は短編で“女による女のためのR-18文学賞”という割には、さっぱりしていて官能小説という感じはあまりしませんでした。不思議な感覚を持つ作品だなという印象でしたね」
――百合亜を演じた主演の平田薫さんを始め、キャストは皆さん、竹中さんが決められたんですか?
「いろんな方の中から決めさせていただきました。僕は、いつも直感的に決めます。平田さんも写真を見た瞬間、即決でしたね。僕のイメージにぴったりでした」
――平田さんに関しては、声に惹かれたとか。
「声の音色も素敵でした。でも、(ヒロインの)百合亜にはあまり多くを語らせたくなかった。語らずとも彼女の佇まいで全てを感じることが出来ると思いました。彼女の台詞を大幅にカットしたんです」
――平田さんはクランクイン前のロケハンに同行されたそうですね。
「そうなんです。かわいかったですよ、薫ちゃん。“一緒にロケハン行かない?”って誘ったら、“行きたいです!”って嬉しそうに。一緒に逗子や葉山を廻りました。天気があまりよくなくて寒かったんですが、すごく楽しそうに参加してくれました。ただ、スタッフは驚いてましたよ。女優がロケハンに参加することなんてあり得ないことですからね。と同時に、照れてもいました。で、録音の北村さんが“明日も来るの?”って訊いたら、“明日は来られないんです”って。そう言った途端に、おっさんばかりのスタッフが“残念だなぁ~”って言ってるのがおかしかったなぁ」
――ははは。平田さんを誘われたのは、何か意図があってのことだったんですか?
「今回のスタッフはみんな、僕が長く付き合っている人たちなので、そういう人たちに薫ちゃんを見せたかった。それに、スタッフの前でさらけ出せない俳優ってつまらないなって僕は思っているので、スタッフに慣れてほしいということも含めて誘ったんです。キャストスタッフが仲よくなるっていう言い方をすると語弊がありますが、役者というのはスタッフあってこそですからね。一緒にロケハンすることでいい距離感をつくれたらと思ったんです。だから、楽しそうにしてくれていたので嬉しかったですね」
――かなりタイトなスケジュールで、撮影は行われたそうですね。
「2週間しかなかったんです。けれど、(クランクイン前から)僕は“大変な撮影には絶対にしないぞ!”という思いを強く持っていたので、台本をことごとく削って、撮影前に台本をつくり直しました。元々あったものを全部やろうとしたらスケジュール内に撮り切れない、スタッフが疲労で倒れてしまうと思ったんです。さらに、現場ではテスト1回ですぐ本番というのも心がけていました。そういう方法を取っていたから、予想以上に早く終わって。タク送(タクシー送迎)は一切なし。みんな楽しそうでしたよ。予算のない現場では、疲れが溜まって事故を起こすこともある。苦労をしたほうがいいというイメージがありますが、スケジュールがタイトでも予算が少なくても楽しく苦労のない現場ができるよう心がけていました」
――津田(寛治)さんと平田さんそれぞれの緊縛シーンなど丁寧に撮られている場面が多い印象だったので、まさかそんな感じで撮影を進められていたとは思いもしませんでした。
「あのシーンは2人が解放へ向かっていくシーンだったので、一気に長回しで撮りました。まず津田くんのシーンを先に撮って、それを受けた薫ちゃんが自分を縛る。実はこのシーン、スタッフはいろんなアングルから撮るだろうと思っていたみたいです。でも、ワンシーン、ワンカットにしました。驚いてましたよ、みんな」
――カット割をあまりしないというのは、何か意味合いがあったんでしょうか?
「役者の感情を優先して長回しで撮ろうと思ったんです。まぁ、役者を信頼すれば、カット割という考え方はないような気がしますね。カット割優先だとどうしても役者の感情を無視することが多くなるので、感情中心に考えました。とはいえ、これは毎回やっていることですけれどね」
――そういう考え方をするのは、やはり竹中さんが役者だからでしょうか。
「それはあるでしょうね。いろんなタイプの監督がいるので一概には言えないですが、僕は感情を切りたくない。なんて言うか、僕は役者とスタッフに向けて映画を撮っています。だから、スタッフが“面白かった”と言ってくれるのがいちばん嬉しい。いつもスタッフは“また一緒にやりたい”と言ってくれるので、その言葉のためだけに撮っているようなところもあるんです」
――チームワーク抜群な竹中組だからこそ、タイトなスケジュールであってもスムーズに現場が進んだのかもしれないですね。
「そうですね。助監督がとにかく優秀でした。みんな、アイデアがあって……ありがたかったですね」
――そのほか、印象に残っているシーンはどんなところですか?
「たくさんありますが……あぁ、そうだ。撮影初日の薫ちゃんはかわいかったですよ。マラソンのシーンで、ゆっくりだとか全力疾走だとかいろんな走り方をしてもらったんです。それは彼女の動きを見たかったからなんですが、“え? どうしてこうなるんでしょう?”って迷いながらやっている感じがかわいかった(笑)」
――(笑)なぜそんなことを?
「百合亜をちょっと変な子にしたかったんです。かわいいんだけど、微妙に変な子というかね。だから、薫ちゃんがどんな動きをするのか見たくて、たくさんの荷物を抱えて意味なく全力疾走してもらったりしたんです。とにかく薫ちゃんがあまりに楽しそうだったんで笑っちゃいました。あと、濡れ場や自分で自分を縛るシーンは、まず僕が動いてみてから、彼女に演じてもらってたんです。セックスシーンも“後ろからこう迫られて、段々こうなっていく”っていう過程を僕が自ら動きで説明して……特典映像に入っていたかな? もし入っていたら、ぜひ観てください。とにかく女性も楽しめる映画なので、いろんな方に観ていただければ嬉しいですね」
――たしかに官能映画とは思えないほど、かわいらしくて切ない物語で。女性でも抵抗なく観られる作品だなと思いました。
「そうですよね。あと、よしもとニュースセンターをご覧の皆さんには、山内(圭哉)さんにもぜひ注目していただきたいです。もう最高でした。普通なら“なんだこいつ”ってなることを、狙いの見えない間口の演技で役として成立させている。いやぁ、すごい役者さんですよね」
●DVD&ブルーレイ情報
R-18文学賞vol.1自縄自縛の私
<DVD>
商品番号:YRBN-90588
価格:3,990円(税込)
<ブルーレイ>
商品番号:YRXN-90021
価格:4,935円(税込)
http://www.randc.jp/r18-jijojibaku/top.html
監督:竹中直人
キャスト:平田薫、安藤政信、綾部祐二(ピース)、津田寛治ほか
内容:本編(106分)+特典映像
【特典映像】
・メイキング
・予告編
・副音声:オーディオコメンタリー(竹中直人監督×平田薫×ピース綾部祐二)
【初回プレス限定封入応募ハガキ】
A賞/映画「R-18文学賞vol.1 自縄自縛の私」ポスター(非売品)
監督&キャストの中からお好きな方の直筆サイン入り!
各10名様合計30名様
・竹中直人監督サイン入り(10名)
・平田薫サイン入り(10名)
・ピース綾部(10名)
B賞/≪女性限定≫緊縛師奈加あきら氏による座談会 ご招待(30名様)
日程:8月下旬予定
場所:東京都内
※ご当選の方には、応募ハガキに記載のメールアドレスに
座談会の日時・場所などを記載しました当選メールをお送りします。
対象商品:「R-18文学賞vol.1自縄自縛の私」Blu-ray(YRXN-90021)
「R-18文学賞vol.1自縄自縛の私」DVD(YRBN-9058)
応募締切:2013年7月31日(水)消印有効
※詳細は、封入の応募ハガキをご覧ください
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発売元・販売元:よしもとアール・アンド・シー
●自縄自縛の私
公式サイト:http://www.r18-jijojibaku.com/