DVD『ing』発売記念! 西村ヒロチョインタビュー
昨年12月28日、SHIBUYA-AXにて行われた『ing!to 2013~iNFINTY nEXT gENERATION~』が5月22日にDVDリリースされます。
NSC東京9期生以下、総勢62組のよしもと若手芸人が出演するネタライブでありながら、2013年「ヨシモト∞ホール」でのランキングシステム「彩~irodori~Member」の看板芸人Top3組などを投票で決定する重要なライブでした。
そこで、「彩~irodori~Member」18名の18番目に名前を呼ばれたのが、NSC15期生で芸歴3年目ながら、“ロマンティック漫談”で驀進中の西村ヒロチョ。
今回のインタビューでは、『ing』のことはもちろん、ピン芸人“西村ヒロチョ”の歩みを語ってもらいました。
――昨年末に行われた『ing!to 2013~iNFINTY nEXT gENERATION~』のDVDリリースが近づきました。ライブ当日のことは覚えてますか?
「はい、よく覚えてます。それまで、芸人として下の方でコツコツがんばってきたなかで、僕にとっては大きなイベントで、先輩方がいっぱいいるなか、小雨降る日のSHIBUYA-AXで、すごい緊張してましたね」
――お客さんはスタンディングだったので、普段とは雰囲気違いましたか?
「普通のお笑いライブっていうより、イベントっていう感じがしました。芸人としては(ヨシモト∞ホール内の)ピラミッドが決まるっていう重みがあるライブだったんですけど、お客さんからしたら芸人さんがいっぱい出て、お祭りみたいな雰囲気でしたね」
――そしてヒロチョさんが当日披露したのは、数学のネタでした。その理由は?
「これまでネタをやる場数がそんななかったし、このライブに出られてラッキーというスタンスだったので、楽しんでやろうと思ってまして。いちばん楽しく出来るネタということで数学のネタを選びました」
――そして、見事「彩~irodori~Member」上位18名の18番目に選ばれましたね。
「ビックリしちゃって、ちょっと泣いちゃいましたよね(笑)。決勝の5組に同期のニューヨークが選ばれて、看板芸人の3組には選ばれなかったけど、「彩~irodori~Member」のなかにニューヨーク、デニス、横澤夏子って同期が選ばれて、僕が最後に名前を呼ばれて、そういうのもいろいろあって、熱いものが込みあげて。一人だけガッツポーズもやらずに、顔を隠して泣くっていう醜態を晒してしまいました(笑)」
――その直後、横澤夏子さんに抱きついてましたね(笑)。
「顔を上げて、いちばん近くにいたなっちゃんに抱きついちゃったというだけで、僕もビックリ(笑)。なっちゃんとは、それから同期のピン芸人同志、仲良くやらせてもらってますよ」
――DVD化されて、改めて見てほしい芸人はいますか?
「やはり同期の鬼越トマホーク、マテンロウは見て欲しいですけど、当日は緊張で、他の人のネタは楽しく見られてないんですよね(笑)。でも。ジューシーズさんのネタで、お客さんがずーっと笑っていたのは覚えてます。舞台袖から、「すごいな」「あんなにウケるんだ」って思いながら見てましたね」
――確かにウケてましたね。MCは次長課長、品川庄司、トータルテンボスが務めましたけど、絡みはありましたか?
「結果発表のMCが品川庄司さんで、僕が名前呼ばれて、“ワー!”ってなってる時に、品川さんがいじってくれてたんですよ。僕、感極まりすぎて、それに気づけなくて、ただお辞儀していたっていう(笑)。今度お会いした時、謝りたいですね。他の先輩からしても、最後に選ばれて、泣いて、なんだこいつみたいな感じだったと思うんですけど、それからいろんな先輩と仲良くさせてもらったり、いじってもらったりして、『ing』は僕にとってのシンデレラストーリーだったのかもしれませんね」
――『ing』もそうですが、去年11月に出演された『ロケットライブ』(フジテレビ)以来、生活が激変しましたよね。いちばんの変化はなんですか?
「露骨な話になっちゃいますけど、出待ちしてくれるお客さんの量が増えました(笑)。あと、営業などの仕事の量が増えて、バイトもほとんどいけてないです。それから、ツイッターのフォロワーも急増して、ニューヨークが「なんでやねん!」って怒ってました(笑)」
――『大人のバナナ』では、バナナマンの設楽さんにいじられる姿に爆笑しましたよ。
「設楽さん、すごいですよね。ネタだけだったらヤバかったですけど、フリートークの時に、設楽さんにもてあそばれっぷりが、楽しかったです。いじられて、パッとやるみたいな経験がライブでもそんななかったんですけど、見てた人からも面白かったと言われましたね。その後に出演した『笑っていいとも!』でも振ってくれて、他事務所の先輩ですけど、すごい尊敬できるし、感謝しております」
――どの時点で、お笑いを目指そうと思ったんですか?
「NSCに入ったきっかけですと、大学で音楽を勉強してて、大学院に進んでコンサートの演出を勉強したかったんですけど、教授にハマってなくて、「君のやりたいこと、うちにはないよ」と言われて落ちちゃいました。悔しかったんですけど、当時はお笑いブームで、『爆笑レッドカーペット』や『爆笑レッドシアター』とかありまして、それならお笑いとかエンタテインメントの世界に飛び込んじゃおうと思って、大学4年の2月くらいにNSCに願書を送りました」
――それまで、お笑い番組など見てなかったんですか?
「ダウンタウンさんの『(ダウンタウンの)ごっつええ感じ』とか『笑う犬の冒険』、『めちゃイケ』、『内村プロデュース』など見てましたけど、自分がやるとは思ってなかったですね。パフォーマンスをするのは好きだったんですよ。ダンスや歌、ジャグリングだとデビルスティックやシガーボックスっていうのとか。でも自分から率先してやるクラスのムードメーカー的な感じではなかったです。趣味でこっそりやる感じで、むしろイケてないグループでしたね」
――影響を受けた芸人というと?
「う~ん……NSCへ入学する際は、尊敬する芸人に“マイケル・ジャクソン”って書いたんですよ。芸人さんも好きで見てましたけど、誰かを尊敬して、真似するみたいなことはしたことなかったです。NCSもお笑いをやりたくてというよりは、人を楽しませるエンタテインメントの世界を覗いてみたい、勉強したいという気持ちですね。今でも芸人っぽくないって言われるんですけど、多分それは、ネタが歌ったり踊ったりで、正統派じゃなく亜流みたいなところでしょうね(笑)」
――芸人よりもマイケル・ジャクソンからの影響は強いわけですね。
「そうですね。ダンスは習ってないんですけど、マイケルのPV見て自己流で真似してダンスしてみたり。それも大学で音楽を勉強してからですね。高校まではくすぶってて、大学で音楽の楽しさを教わって。大学ではサックスを専攻していて、ビッグバンドを組んで、そこで覚醒しましたね。初めてのステージで、こんなに楽しいのか、もっと目立ちたいって。ソロをやるようになっても、サックスを同時に2本吹いたりとか、吹かないでいきなり歌ったりとかそういう変化球で、お客さんが笑ってくれる空気は楽しかったですね」
――無意識に、お笑いへの道を進んでいたのかもしれませんね。NSC時代、コンビも組んでましたね。
「はい、在学中にコンビ組んで、コントとか漫才をやってたんですが、ことごとくうまくいかなくて、相方がお笑いを辞めると言ってコンビを解散してからは、自分がやりたいことをやろうかなと思いまして。それと、スタッフさんからのアドバイスで音楽を活かしていくことにしました」
――当時、すでに同期の横澤夏子さんはテレビに出始めてましたよね。焦りとか嫉妬心はなかったですか?
「なっちゃんは在学中から、在校生イベントも毎回出て、芸歴1年めで『R-1ぐらんぷり』の準決勝まで行って、テレビのレギュラーが決まって、すげーなと思って見てましたね。自分との差があまりにも大きかったんで、ジェラシーする気持ちもなかったです。当時の養成所のスタッフさんからも、「お前はコンビ解散してマイナスからのスタートだ」って言われてたくらいですから。『ロケットライブ』で、よしもとの人も、こんな芸人がいるんだって気づいた感じだと思います」
――そうだったんですね。今の芸風にたどり着いた経緯は?
「ピンになりたてのことは、一人コントとかやってたんですけど、無料の作曲ソフトを見つけて、それを使ってみたらたまたまうまくいったんですね。自分で作曲してやる人はあまりいないから、続けてみたらって作家さんとかにも言われて、歌ネタをやってました。2700さんやAMEMIYAさんのような歌ネタをひたすら作ってて、そこから音を使った一人ミュージカルみたいなことやってたんですけど、∞ホールだと若いお客さんが多いんで、恋愛ものの方がウケるんですね。最初にやったのが、“ロマンティック大相撲”ってネタだったんですけど、ミュージカルでひとつのストーリーにすると、2分間に笑いどころを作るのが難しい。だったらミニコントみたいなのをポンポンと入れた方が笑いが取れるのかなあと思って、今みたいなショートコント形式になりました。その時はまでコントだったんですよ。先生とか店員みたいな役で歌いながら、音かけて、芝居しながらミニコントが始まってみたいな。やっていくうちに、自分の声が曲にかき消されちゃうんで、スタンドマイク使って漫談みたいにやってみよう。そしたら、声も音も聞こえてミニコントも見やすい。どんどん形が整えられていって、今の“ロマンティック漫談”に至ったので、最初から狙ってやったっていうのはひとつもないんですね。たまたまいいのを取っていったら、今の形になりました(笑)」
――練習はどうやるんですか?
「ネタを作りながら、頭の中でしちゃうんですよ。曲を作って、曲を流して、曲の間にこのセリフのやりとりがあって、ちょっと短いからここの曲伸ばそうとか調整して。ネタが出来たらCDを焼いて、当日、劇場までの電車の中で、何回も頭の中で練習して、劇場について着替えて、やっとそこで振りをつけて練習するって感じですね。だからイメトレが8、9割ですね。そういう意味でもっと練習した方がいいと思うんですが」
――CDは完パケで、音響さんの仕事は再生ボタンを押すだけなんですね。
「そうですね」
――では、ネタでセリフと動きが音楽にピッタリ一致するのは、練習量の賜物ですね。
「はい。でも、笑い待ちが出来ないといったデメリットもありますよ」
――確かに、お客さんの爆笑が収まらないうちに次の展開に進めなくちゃならないシーンも出てきそうだし、逆に変な間が空くこともありそうですね。それから、今のメイクはどんな理由でするようになったんですか?
「ピンになりたてのネタで、宝塚風コントっていうのがあったんです。それで宝塚みたいなメイクをしてまして、その方がミュージカルっていう設定が強くなるかなと思ったんですね。ロマンティック漫談になる頃にはそのメイクに慣れてて、メイクするとスイッチが入るというが、儀式みたいになっちゃってました。深い意味はホントないんですよ。メイクなしでもできるっちゃできるし、親からも反対されてるんで(笑)。でも、自分の素顔があんまり好きじゃないっていうのと、イメージとしては少女マンガに出てくる王子様みたいな白シャツで、シンプルな服装で、目が一重なので、目元をパッチリさせるためにメイクをしてるって感じですね」
――今後の目標もあるかと思いますが、『R-1ぐらんぷり』や『歌ネタ王』も惜しいところまでいきましたね。
「そうですね。『R-1』とかは逆に決勝まで行かなくて良かったかなとも思ってます。行けなかったからこそ、次の『R-1』までに、いろんな進化をさせなきゃと。まだ発展途上のネタだと思ってますので。それから、ロマンティック以外にも音を使ってこういうことが出来る、他の芸人には出来ない、自分にしか出来ないことをやっていきたいですね」
――得意のサックスも取り入れそうですね。
「はい。でも、サックスだと口にふさがっちゃうので、うまくやるのには考えなくちゃならないところです。そういうことも考えながら、芸人っぽくないエンタテインメント色を強いこともやっていきたいと思ってます。西村ヒロチョだったらやっても許されるというようなことをやっていきたいですね」
――ちなみに親しい先輩芸人はいるんですか?
「ジューシーズの松橋さんにすごく可愛がってもらってますね。アドバイスしてくれたり、こないだも営業一緒だった時に、ずっと話していただいたり、ありがたいですね。他には……ご飯行ったりという人は、あまりいませんすね(苦笑)。僕が人見知りっていうのもあるんで、これから仲良くなっていけたらなと。先輩と仲良くなるっていうのも、目標にしますね(笑)」
●DVD情報
『ing! to 2013 ~iNFINITY nEXT gENERATION~』
5月22日(水)発売
商品番号:YRBI-95028
価格:2,500円(税込)
【収録内容】
◆彩~irodori~Member18組のネタ
決勝戦5組のネタ
44組のダイジェスト
★特典映像
コーナー「推し芸祭り2013」
<出演者> 全62組
シソンヌ、ジャングルポケット、ジューシーズ、パンサー、エリートヤンキー、ニューヨーク、囲碁将棋、ライス、トレンディエンジェル、かたつむり、インポッシブル、ガリバートンネル、ボーイフレンド、ジェラードン、ネルソンズ、西村ヒロチョ、デニス、横澤夏子、 御茶ノ水男子、チョコレートプラネット、マヂカルラブリー、井下好井、ベイビーギャング、ラビッツ、天狗、ゆったり感、ヨコハマホームラン、少年少女、町のベーカリーズ、ランパンプス、スパイク、桃組、ラフレクラン、フレミング、トンファー、あわよくば、0.03秒、タモンズ、ダイタク、ダイス、田畑藤本、ざしきわらし、TEAM BANANA、やさしいズ、九次元、バース、オオカミ少年、エレベーターマンション、マンキンタン、えんにち、まえうしろ、光永、山田カントリー、ありがとう、鬼越トマホーク、オープンスペース、笑鷺、ハンマミーヤ、カゲヤマ、GO!皆川、あげは、マテンロウ
【収録分数】
本編167分+特典映像8分
【仕様】
16:9LB/片面2層/ステレオ/ドルビーデジタル/COLOR
c 2013 吉本興業
発売元/販売元:よしもとアール・アンド・シー
【特典情報】
よしもとテレビ通り、よしもとネットショップにて、DVD『ing! to 2013 ~iNFINITY nEXT gENERATION~』を予約、購入すると、先着購入特典として“彩~irodori~Member”18組の中から、お好きなメンバーの『差し替えジャケット』が1枚プレゼントされます。
詳細は、よしもとアール・アンド・シー公式サイト(http://www.randc.jp/ing/top.html)でご確認ください。
※各メンバーの特典数量には限りがあります。お問い合わせは各店舗まで。