あのギャグやボケが日本センチュリー交響楽団と夢のコラボ!「オーケストラ新喜劇」大盛況
3月15日(火)、なんばグランド花月にて、「オーケストラ新喜劇」が開催されました。よしもとクリエイティブ・エージェンシーでは、日本屈指のオーケストラ・日本センチュリー交響楽団とタッグを組み、大阪ならではの芸術文化を発信すべくさまざまなコラボレーションを展開していくことを決定。そのトップを切って行われたのが、オーケストラと新喜劇が融合するこのイベントです。
第一部では、日本センチュリー交響楽団がモーツァルトの名曲『アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク』第1楽章やグリーグの『ホルベルク組曲』プレリュード、リゴードンを演奏。曲の合間には、MCのグイグイ大脇と宇都宮まきが弦楽器の種類と音色について解説するコーナーも設けられ、クラシック初心者でも楽しめるよう工夫が。
最後はチャイコフスキーの『弦楽セレナード』第2楽章を披露し、見事なハーモニーで観客を酔わせました。
第二部はこちらもお待ちかね、初の試みとなる吉本新喜劇とオーケストラのコラボストーリーが上演されます。「花月コンサート劇場」でリハーサルを行う日本センチュリー交響楽団と、川畑泰史、島田珠代らおなじみの新喜劇メンバーが繰り広げるドタバタ劇。開幕を告げるおなじみのテーマ曲『Somebody stole my gal』がなんとオーケストラの生演奏で流れ始めると、客席からはさっそく歓声が上がります。今回の公演の音楽は、すべて日本センチュリー交響楽団が担当。関谷弘志さんの指揮により、出演者たちのセリフや動きに合わせて音楽が奏でられていきます。
「花月コンサート劇場」の新入り清掃員・川畑の登場シーンでは、「カーッ!」というあの出音もオーケストラバージョンに!
川畑は思わず「気持ちいいですね!」と口に出してしまい、笑いを誘います。先輩清掃員・珠代はチャイコフスキーの『弦楽セレナード』に乗って歌い踊りながら現れるというノリノリぶり。川畑との絡みでは、ギャグの「チーン」も生音という豪華さです。
さらに楽団スタッフ役の未知やすえも何故か川畑と同じ出音で「カーッ!」を決めたり、
講師役の西川忠志は『きよしのズンドコ節』とともに登場するなど、さまざまな音楽が見事なタイミングで繰り出され、爆笑を巻き起こしていきます。
と、ここで劇場スタッフの烏川により、川畑がかつて将来有望な指揮者の卵だったものの、ある事件をきっかけにクラシック界を追われたことが明かされます。
娘の手術のためお金が必要だった川畑に、後輩だった烏川が当時所属していた楽団の楽器を売って工面。娘は無事に手術を受けられましたが、その罪をあえてかぶった川畑は追放の憂き目に遭ってしまったのでした。結局、川畑は家族に迷惑をかけまいと姿を消し、妻や娘とは生き別れに...。
ところが日本センチュリー交響楽団にやって来た新団員・金原早苗が偶然にも川畑の娘であることが発覚。何とか父親であることを伝えようとする川畑でしたが、そのたびオーケストラが大音量の音楽をかぶせるという"音楽ボケ"が炸裂。続いて登場した楽団代表役・池乃めだかの「♪見下げてごらん〜」も、もちろん生演奏をバックに歌い上げられました。
吉田裕、松浦真也、島田一の介扮する借金取りが早苗を訪ねてくるシーンでは、コンサートマスターの山本さんが吉田とともに軽やかなステップを踏み、
指揮者の関谷さんは自ら巻きざっぱを手に「ドリルすんのかい、せんのかい」にも挑戦!?
そのぎこちない手つきに、川畑から「見たことないやろ!」と容赦ないツッコミが入り、またまた爆笑を呼んでいました。
クライマックスでは、誤解により断絶していた川畑と金原のわだかまりも解け、川畑が指揮者、金原が得意のトロンボーンでオーケストラに参加。吉本新喜劇のテーマを再び演奏し、大団円となりました。
エンディングで川畑は「拍手が鳴り止まない。普段の新喜劇ならすぐ終わります」と自虐コメントで挨拶。池乃めだかは「見事に融合しましたね!」と自画自賛して拍手を浴びます。「生音でテンションが上がった」という未知やすえは、「お客さんはもちろん、後ろにいる団員の皆さんも笑ってくれるのが気持ちよくて。いいエネルギーをもらいました」とニッコリ。芝居と演奏の両方をこなした金原は、「どれに集中すればいいかわからなかった」と振り返りましたが、団員の皆さんからはその演奏ぶりに賞賛の拍手が。フィナーレはもう一つの新喜劇テーマ曲(『生産性向上のためのBG音楽 工場向け第一集その5』)が演奏され、会場は手拍子も起こる盛り上がりとなりました。
終演後の囲み会見には、川畑、めだか、やすえ、珠代、日本センチュリー交響楽団から指揮者の関谷さん、コンサートマスターの山本さん、コントラバスの坂倉さんが出席。川畑は「いろんなコラボをやってきたが、こんな賢そうな人たちとやるのは初めて。心配もあったが、無事終わってホッとしてます」。めだかは「新喜劇には台本はあるが台本通りにやらない、やれないもので、どんどんアドリブを入れる。一方、楽団の皆さんは譜面通りやるのが基本。そんな対極にあるものがコラボするなんて、一昔前ならやってもらえなかった。時代が変わり、お互いの良さを認め合うようになったのかな」としみじみ語ります。
観客はもちろん楽団の皆さんからも笑いが起こり「新喜劇って面白いねんなと改めて思った」と言うのはやすえ。なんと稽古は1回だけだったそうで、「それだけ皆さんの感覚が素晴らしく、私たちがビックリした。大きな器で受け止めてくださったのですごく楽しかった」と話していました。珠代は冒頭からきっかけを間違えてしまったことを詫びつつ、「開催会見で素敵な人がいれば...と言いましたが、いませんでした(笑)。皆さん、思っていたよりすごく高貴な感じがして、私なんて無理です...」としょんぼり。しかし「第2回があれば、そこに賭けます」と希望は捨てていませんでした。
関谷さんは「同じ舞台に立てるなんて思ったことがなかったので、本当にいい体験でした。ただ、私の仕事はきっかけに合わせて音を出すことだったので、素晴らしいアドリブがどんどん出てきて『いつ戻ってくるんだろう...』と思ったり(笑)。でもちゃんといいタイミングでパッと戻してくださって、やっぱりさすがだなと思いました。2回目も楽しみにしております」と感想を。山本さんは「小さい頃から憧れの舞台だったので、本当に興奮しっぱなしの1時間でした」。ちなみに吉田とともにステップを踏んだのは完全にアドリブだったそうで、川畑はその舞台度胸とセンスに脱帽。坂倉さんも、「本当ならお金を払って見に来ないといけないのに、タダでこんな楽しい生の喜劇を後ろから見られて、楽しかったです」と笑顔で述べていました。
質疑応答で関谷さんの「乳首ドリル」についてきかれると、川畑は「実はすごく上手にやってもらうという案もあったんですが、やはり照れくさいみたいですね」と裏話を。「次回はやってもらいます」との言葉に関谷さんは「すんまへんアニキ!」と島田一の介のギャグで返すなど、早くもやる気満々(?)です。新喜劇との初コラボについては「刺激になりました」と山本さん。「我々も音を出すという意味では瞬間芸。今後の活動へのヒントになったんじゃないかなと思う」とのことです。また、台本づくりの苦労については、「ここは役者として弾いてもらうのか、音響さんとして弾いてもらうのか。その違いをお客さんに理解してもらうのが難しかった」と川畑。一方で、「どこまで融合できるかわからなかったのでオーケストラの方々と関係ないところでも笑いを取ったが、結果としてもっともっと絡んでもよかった」と手応えも感じた様子で、「2回目は結構スラスラ台本が書けるんちゃうかな」と次回のコラボに向け気合十分でした。
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